14 / 25
両親からの叱責
しおりを挟む
「ライアス……! このっ……馬鹿息子が!!」
「あれほどロザリンドさんを大切にしなさいと言ったのに……! アニーなんかと不倫するなんて!! 母さんは情けないよ!!」
ロザリンドと離婚したライアスは生まれ故郷である村に戻っていた。
アニーと不倫したという噂はなぜかここにも広まっており、村に足を踏み入れた時から住民の蔑んだ視線が突き刺さる。
いたたまれなくなったライアスは生家へと急いだが、そこでも不倫と離婚の話を聞いていた両親によって詰られた。
「あんな綺麗で気立てのいいお嬢様がお嫁さんになってくれたのに……。よりにもよって不倫だと? お前はいつから嫁さん裏切って女遊びが出来るほど偉くなったんだ! 隊長になれたからって調子に乗ってるんじゃないか!?」
「違う! 俺は不倫なんかしていない! アニーとはそういうんじゃない!」
「じゃあどうして離婚されたんだ? それにアニーがお前に手作りの料理に毒を入れて殺そうとしたらしいじゃないか? 何の関係もないならなんでアニーの料理をお前が食べるんだよ! そういう関係としか思えないじゃないか!!」
ライアスの両親は息子がどういった経緯で毒を摂取したか知らない。
知っているのはただ“アニーの手料理に毒が入っていた”とそれだけ。
そこから想像されたのは、息子がアニーの住む部屋に通い、そこで口にした手料理から毒を摂取したのではないかというもの。
「田舎者には到底手にすることが出来ないような幸運を掴んでおきながら……こんなつまらないことで全部ぶち壊しやがって!! あんなどこにでもいるような地味な女に手ぇ出してロザリンドさんを悲しませやがって!」
「はあぁ!? だから誤解だって言ってるだろう? アニーと俺はそんな関係じゃないって!」
「じゃあなんだ? アニーが無理矢理お前の口に毒入りの食べ物でも突っ込んだって言うのか? 軍人のお前が非力な小娘にいいようにされたと?」
「いや……そうじゃないけど……。と、とにかく俺はアニーみたいな地味な女に手を出していない!! ただロザリンドに嫉妬してほしかっただけだ!」
「嫉妬してほしかっただと? お前……それはどういうことだ!」
ライアスが馬鹿正直に“妻に嫉妬してほしくて他の女の手料理を食べた”ことを話すと、両親の顔は怒りの形相から軽蔑の表情へと変わる。
「はあぁ~……。お前、ロザリンドさんにそんなくだらないことをしたのか? 離婚も毒も自業自得だろう? この馬鹿が!」
「ライアス……アンタ、お嫁さんの愛を試すような行動して恥ずかしくないのかい? 母さんは恥ずかしいし情けないよ! そんなことでロザリンドさんに辛い想いさせて……ああ、もうっ……!」
二人共ひどく落胆し、母親にいたっては涙を流してすすり泣いている。
「もう終わったことだし仕方ないだろう!? だいたい、息子が毒殺されかけたってのに心配の一つもないのかよ!」
「自業自得だろうが! くっだらないことするからそんな目に合うんだよ! だいたいなんでノコノコとこの村に戻ってきたんだ!? 村中でお前は最低な不倫男だと噂になってるんだぞ? 村一番の大出世を果たしたと言われたお前が、今や村一番の恥さらしだ! 恥ずかしくて俺や母さんも外に出れないんだからな!」
「そんな噂が!? ……俺だってこんな田舎に帰ってきたくなかったけど、他に行く場所もないからしょうがないだろう……!」
ライアスがなぜ故郷である村に戻ってきたか。
それにはある理由があった。事の発端はロザリンドに離別を告げられた日まで遡る。
「あれほどロザリンドさんを大切にしなさいと言ったのに……! アニーなんかと不倫するなんて!! 母さんは情けないよ!!」
ロザリンドと離婚したライアスは生まれ故郷である村に戻っていた。
アニーと不倫したという噂はなぜかここにも広まっており、村に足を踏み入れた時から住民の蔑んだ視線が突き刺さる。
いたたまれなくなったライアスは生家へと急いだが、そこでも不倫と離婚の話を聞いていた両親によって詰られた。
「あんな綺麗で気立てのいいお嬢様がお嫁さんになってくれたのに……。よりにもよって不倫だと? お前はいつから嫁さん裏切って女遊びが出来るほど偉くなったんだ! 隊長になれたからって調子に乗ってるんじゃないか!?」
「違う! 俺は不倫なんかしていない! アニーとはそういうんじゃない!」
「じゃあどうして離婚されたんだ? それにアニーがお前に手作りの料理に毒を入れて殺そうとしたらしいじゃないか? 何の関係もないならなんでアニーの料理をお前が食べるんだよ! そういう関係としか思えないじゃないか!!」
ライアスの両親は息子がどういった経緯で毒を摂取したか知らない。
知っているのはただ“アニーの手料理に毒が入っていた”とそれだけ。
そこから想像されたのは、息子がアニーの住む部屋に通い、そこで口にした手料理から毒を摂取したのではないかというもの。
「田舎者には到底手にすることが出来ないような幸運を掴んでおきながら……こんなつまらないことで全部ぶち壊しやがって!! あんなどこにでもいるような地味な女に手ぇ出してロザリンドさんを悲しませやがって!」
「はあぁ!? だから誤解だって言ってるだろう? アニーと俺はそんな関係じゃないって!」
「じゃあなんだ? アニーが無理矢理お前の口に毒入りの食べ物でも突っ込んだって言うのか? 軍人のお前が非力な小娘にいいようにされたと?」
「いや……そうじゃないけど……。と、とにかく俺はアニーみたいな地味な女に手を出していない!! ただロザリンドに嫉妬してほしかっただけだ!」
「嫉妬してほしかっただと? お前……それはどういうことだ!」
ライアスが馬鹿正直に“妻に嫉妬してほしくて他の女の手料理を食べた”ことを話すと、両親の顔は怒りの形相から軽蔑の表情へと変わる。
「はあぁ~……。お前、ロザリンドさんにそんなくだらないことをしたのか? 離婚も毒も自業自得だろう? この馬鹿が!」
「ライアス……アンタ、お嫁さんの愛を試すような行動して恥ずかしくないのかい? 母さんは恥ずかしいし情けないよ! そんなことでロザリンドさんに辛い想いさせて……ああ、もうっ……!」
二人共ひどく落胆し、母親にいたっては涙を流してすすり泣いている。
「もう終わったことだし仕方ないだろう!? だいたい、息子が毒殺されかけたってのに心配の一つもないのかよ!」
「自業自得だろうが! くっだらないことするからそんな目に合うんだよ! だいたいなんでノコノコとこの村に戻ってきたんだ!? 村中でお前は最低な不倫男だと噂になってるんだぞ? 村一番の大出世を果たしたと言われたお前が、今や村一番の恥さらしだ! 恥ずかしくて俺や母さんも外に出れないんだからな!」
「そんな噂が!? ……俺だってこんな田舎に帰ってきたくなかったけど、他に行く場所もないからしょうがないだろう……!」
ライアスがなぜ故郷である村に戻ってきたか。
それにはある理由があった。事の発端はロザリンドに離別を告げられた日まで遡る。
312
お気に入りに追加
4,152
あなたにおすすめの小説
(完結)婚約破棄から始まる真実の愛
青空一夏
恋愛
私は、幼い頃からの婚約者の公爵様から、『つまらない女性なのは罪だ。妹のアリッサ王女と婚約する』と言われた。私は、そんなにつまらない人間なのだろうか?お父様もお母様も、砂糖菓子のようなかわいい雰囲気のアリッサだけをかわいがる。
女王であったお婆さまのお気に入りだった私は、一年前にお婆さまが亡くなってから虐げられる日々をおくっていた。婚約者を奪われ、妹の代わりに隣国の老王に嫁がされる私はどうなってしまうの?
美しく聡明な王女が、両親や妹に酷い仕打ちを受けながらも、結局は一番幸せになっているという内容になる(予定です)

〖完結〗もうあなたを愛する事はありません。
藍川みいな
恋愛
愛していた旦那様が、妹と口付けをしていました…。
「……旦那様、何をしているのですか?」
その光景を見ている事が出来ず、部屋の中へと入り問いかけていた。
そして妹は、
「あら、お姉様は何か勘違いをなさってますよ? 私とは口づけしかしていません。お義兄様は他の方とはもっと凄いことをなさっています。」と…
旦那様には愛人がいて、その愛人には子供が出来たようです。しかも、旦那様は愛人の子を私達2人の子として育てようとおっしゃいました。
信じていた旦那様に裏切られ、もう旦那様を信じる事が出来なくなった私は、離縁を決意し、実家に帰ります。
設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。
全8話で完結になります。

真実の愛の言い分
豆狸
恋愛
「仕方がないだろう。私とリューゲは真実の愛なのだ。幼いころから想い合って来た。そこに割り込んできたのは君だろう!」
私と殿下の結婚式を半年後に控えた時期におっしゃることではありませんわね。

あなたの破滅のはじまり
nanahi
恋愛
家同士の契約で結婚した私。夫は男爵令嬢を愛人にし、私の事は放ったらかし。でも我慢も今日まで。あなたとの婚姻契約は今日で終わるのですから。
え?離縁をやめる?今更何を慌てているのです?契約条件に目を通していなかったんですか?
あなたを待っているのは破滅ですよ。

彼女は彼の運命の人
豆狸
恋愛
「デホタに謝ってくれ、エマ」
「なにをでしょう?」
「この数ヶ月、デホタに嫌がらせをしていたことだ」
「謝ってくだされば、アタシは恨んだりしません」
「デホタは優しいな」
「私がデホタ様に嫌がらせをしてたんですって。あなた、知っていた?」
「存じませんでしたが、それは不可能でしょう」

【完結】私が貴方の元を去ったわけ
なか
恋愛
「貴方を……愛しておりました」
国の英雄であるレイクス。
彼の妻––リディアは、そんな言葉を残して去っていく。
離婚届けと、別れを告げる書置きを残された中。
妻であった彼女が突然去っていった理由を……
レイクスは、大きな後悔と、恥ずべき自らの行為を知っていく事となる。
◇◇◇
プロローグ、エピローグを入れて全13話
完結まで執筆済みです。
久しぶりのショートショート。
懺悔をテーマに書いた作品です。
もしよろしければ、読んでくださると嬉しいです!

不実なあなたに感謝を
黒木メイ
恋愛
王太子妃であるベアトリーチェと踊るのは最初のダンスのみ。落ち人のアンナとは望まれるまま何度も踊るのに。王太子であるマルコが誰に好意を寄せているかははたから見れば一目瞭然だ。けれど、マルコが心から愛しているのはベアトリーチェだけだった。そのことに気づいていながらも受け入れられないベアトリーチェ。そんな時、マルコとアンナがとうとう一線を越えたことを知る。――――不実なあなたを恨んだ回数は数知れず。けれど、今では感謝すらしている。愚かなあなたのおかげで『幸せ』を取り戻すことができたのだから。
※異世界転移をしている登場人物がいますが主人公ではないためタグを外しています。
※曖昧設定。
※一旦完結。
※性描写は匂わせ程度。
※小説家になろう様、カクヨム様にも掲載予定。

今日は私の結婚式
豆狸
恋愛
ベッドの上には、幼いころからの婚約者だったレーナと同じ色の髪をした女性の腐り爛れた死体があった。
彼女が着ているドレスも、二日前僕とレーナの父が結婚を拒むレーナを屋根裏部屋へ放り込んだときに着ていたものと同じである。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる