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第八謎:直観と直感は似て非なるものらしい IQ90(一話完結)
僕からの出題
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ただでさえ暇な毎日なのに、一人で留守番していると間がもたないどころの話じゃない。
仕方なくパソコンで政治からスポーツまでさまざまな時事ネタを眺めていた。これだって探偵事務所の助手としては立派な仕事のひとつだ。と自分に言い聞かせる。
そこへ三回ノックが響いた。どうやら暇をもてあます僕への救いの女神が来たみたい。
扉を開けて招き入れる。
「こんにちは、美咲さん」
「こんにちは。あら、鈴木さまお一人ですか? 耕助さまは?」
「先輩は用事があるとかで家にいったん帰られました。もうすぐ戻ってくると思いますよ」
豪徳寺 美咲さんはこの探偵事務所の所長、武者小路 耕助さんの自称フィアンセだ。先輩に言わせると家族ぐるみのお付き合いで幼なじみ、でも彼女からは先輩を大好きオーラがあふれでている。
百済菜市育ちの百済菜っ子で恋人いないもの同士だと思っていた先輩には裏切られた感はあるけれど、お似合いの二人だし応援したい。それなのに、こともあろうか美咲さんは僕と先輩の仲を怪しんでいる。
そんな彼女だから、先輩がいないとなれば帰ってしまいかねない。せっかく現れた話し相手を逃がしてなるものか。
「先輩が帰ってくるまでゆっくりしてください。珈琲を淹れますね」とソファを勧める。
美咲さんはベージュのコートをハンガーに掛けて、いつも先輩が座るソファの正面へ腰を下ろした。白いニットに濃いブラウンのフレアスカート、やはりブラウンのショートブーツでいつもながらお嬢様感がある。デニムにパーカーばっかりの僕とは全く違う。
違うといえば、美咲さんはイギリスへ留学していて帰ってきて間もない。ずっと聞いてみたかったあの話をしてみよう。
「美咲さんに聞きたいことがあるんですけど」
珈琲を置きながら切り出した。
「なんでしょう」
「イギリスで勉強されてきた『シャーロックホームズにおける仮説演繹法の現代社会への応用』のことです。そもそも仮説演繹法って何なんですか」
「いくつかの事実から仮説を作り、その仮説を基に予測をします。予測が正しいか実証して、間違っていたら仮説をやり直す。それを繰り返すことによって正しいことを導き出す方法です」
さっぱり分からないんですけど。僕の思いが顔に出ていたのか、美咲さんが説明を続けてくれた。
「そうですね、例えば四十歳くらいの痩せた男性が杖を持っていたとします。これが事実です。太っているなら体重を支えるために杖を持つことがあるかもしれませんが、痩せているので足を怪我しているのではないか。これが仮説です。実際に歩いてもらうのが実証、足を庇うようにゆっくりと歩いたなら仮説が正しかったことになります」
「なるほど。もしすたすたと歩いたなら仮説が間違っていたということになるんですね」
「はい。その場合は仮説が間違っていたので、お洒落のために持っていたという新たな仮説をたてます」
「その実証は腕時計を調べたり、履いている靴のブランドを確かめたりすればいいのかな」
「まぁ鈴木さま、素晴らしいですわ。さすがです」
両手を叩いて褒められるとうれしくないわけがない。
照れ隠しにカップを手に取り口をつける。それなりの味だけれど、やっぱり先輩が淹れる珈琲には敵わないなぁ。
「でもホームズさんは仮説演繹法を使うだけでなく、そもそも直観力が素晴らしかったのだと思いますわ」
「直感で謎を解いていたんですか? そんなあてずっぽうだなんて意外だなぁ」
推理小説をあまり読まないので、ホームズほどの名探偵なら理詰めなのかと思っていた。
「鈴木さまがおっしゃっているのは感覚のほうの直感ではありませんか? わたくしが申したのは観察のほうの直観です」
「え、違うんですか」
「感覚のほうは文字通り『なんとなく肌で感じる』、日本語だと『勘』とも言いますよね。観察の方は自分が経験してきた知識を基にして無意識に判断することです」
「へぇ、そうなんだ」
「だから結果は同じでも直感は理由が説明できないのに対し、直観は根拠を上げることができるのです」
納得。やっぱりイギリスまで行って勉強してきたのは伊達じゃないんだな。
「すごいですよ美咲さん。僕でも理解することができました」
「いえいえ、わたくしもずっとこの違いを教授から言われ続けてきましたので」
「日頃から知識をたくわえることって探偵には大切なんですね」
「わたくしもそう思います」
直観ねぇ。あっ、ひらめいた。
バッグからノートを引っ張り出す。ここには今まで先輩と一緒に解いてきた謎や、気になったことをメモしてある。
その中に、いつか先輩へ投げかけてみようと作っていた謎があった。『直観』も使えるし、せっかくだから美咲さんで実証してみよう。
「あのぉ、先輩が帰ってくるまでにいつもの謎解きをやりませんか」
「まぁ! 今日は鈴木さまが問題を?」
「はい。作ってみたのがあるので」
美咲さんもバッグから手帳を取り出した。
出題する側は初めてでちょっと緊張する。
「それじゃいきますね。まず『直観』は目です」
「それは観察するほうですか」
「はい。次は『感嘆』、感心や感動するほうですが、これは口《くち》です」
「たしかに直観は目で見ますし、感嘆は口から発しますね」
「牧師さんなどの『聖職』は耳です」
「色々な方たちのお話を聞くからかしら」
「では思いやりなどを表す『厚意』、厚いのほうですがこれは何?」
「え、厚意ですか? 相手のお気持ちだから心……そんな簡単な答えではありませんわね。何かルールがあるはず」
手帳に目を落として考えている。よかった、すぐに答えを当てられなくて。
簡単かなぁと心配していたんだ。
「直観、感嘆、聖職、厚意。どれも同じ読み方で違う言葉がありますけれど、そのことも関係しているのかしら」
僕に問うでもなく、視線は手帳のまま独り言のように美咲さんはつぶやいた。
たしかにさっきの直感だけじゃなく簡単、生殖に行為もある。これは結果オーライのミスリードが出来るかも。
あるなしクイズもいけるな。この前のようにAチームとBチームに分けて最後は「これはどちらのチームでしょうか?」ってやればいい。
謎解きを作るのって意外と楽しい。
「あら?」
一人でニヤけていたら、じっと黙っていた美咲さんが声をだした。
満面の笑みを浮かべて顔を上げる。
「わたくし、分かってしまいました」
マジか。あの顔は絶対に正解だ。間違いない。思ったより早かったなぁ。
がっくりと肩を落として答えの説明を促した。
「それぞれの語句を見ていたら気づいてしまったのです。どの熟語にも共通して使われている文字があることを」
あー、やっぱり正解。
「直観は目、感嘆は口、聖職は耳です。厚意の答えは『日』ですよね」
「お見事です。参りました」
「とてもいい問題だと思いますわ。ほかにもたくさんありそうだし。楽しい時間をありがとうございました」
いえいえ、次回はもっと難しい問題を考えてみますなどと言っているところへ僕のスマホが鳴った。先輩からだ。
「はい、鈴木です」
『あぁ鈴木くん。こちらの用事が終わったのでこれから事務所へ戻るから』
「わかりました」
『二十分くらいかな。それじゃ』
「先輩からでした。あと二十分くらいで……」
電話の内容を美咲さんへ伝えようとしたら、何やら様子がおかしい。さっきまでは機嫌がよかったのに。
「なぜ鈴木さまに電話が掛かってくるのです!」
ヤバイ、怒ってるぞ。
「え、いや、それは僕が留守番していたから……」
「わたくしに掛けてくればいいじゃありませんか」
「美咲さんが来ているとは思わなかったのでは……」
「耕助さまなら推理すればわかることです!」
いやたしかにそうかもしれないけれど、まずは助手である僕に連絡してくるのはごく自然なことでしょ。
「やっぱり怪しい」と目を細めて斜めにこちらを見てる。
「だからいつも言ってるじゃないですか。先輩と後輩、探偵と助手というだけですから」
「わたくしの直感です。根拠はありませんが」
なんだよ、それ。ちゃんと仮説ナントカ法で検証してみてくれよぉ。
―第八謎:直観と直感は似て非なるものらしい 終わり―
仕方なくパソコンで政治からスポーツまでさまざまな時事ネタを眺めていた。これだって探偵事務所の助手としては立派な仕事のひとつだ。と自分に言い聞かせる。
そこへ三回ノックが響いた。どうやら暇をもてあます僕への救いの女神が来たみたい。
扉を開けて招き入れる。
「こんにちは、美咲さん」
「こんにちは。あら、鈴木さまお一人ですか? 耕助さまは?」
「先輩は用事があるとかで家にいったん帰られました。もうすぐ戻ってくると思いますよ」
豪徳寺 美咲さんはこの探偵事務所の所長、武者小路 耕助さんの自称フィアンセだ。先輩に言わせると家族ぐるみのお付き合いで幼なじみ、でも彼女からは先輩を大好きオーラがあふれでている。
百済菜市育ちの百済菜っ子で恋人いないもの同士だと思っていた先輩には裏切られた感はあるけれど、お似合いの二人だし応援したい。それなのに、こともあろうか美咲さんは僕と先輩の仲を怪しんでいる。
そんな彼女だから、先輩がいないとなれば帰ってしまいかねない。せっかく現れた話し相手を逃がしてなるものか。
「先輩が帰ってくるまでゆっくりしてください。珈琲を淹れますね」とソファを勧める。
美咲さんはベージュのコートをハンガーに掛けて、いつも先輩が座るソファの正面へ腰を下ろした。白いニットに濃いブラウンのフレアスカート、やはりブラウンのショートブーツでいつもながらお嬢様感がある。デニムにパーカーばっかりの僕とは全く違う。
違うといえば、美咲さんはイギリスへ留学していて帰ってきて間もない。ずっと聞いてみたかったあの話をしてみよう。
「美咲さんに聞きたいことがあるんですけど」
珈琲を置きながら切り出した。
「なんでしょう」
「イギリスで勉強されてきた『シャーロックホームズにおける仮説演繹法の現代社会への応用』のことです。そもそも仮説演繹法って何なんですか」
「いくつかの事実から仮説を作り、その仮説を基に予測をします。予測が正しいか実証して、間違っていたら仮説をやり直す。それを繰り返すことによって正しいことを導き出す方法です」
さっぱり分からないんですけど。僕の思いが顔に出ていたのか、美咲さんが説明を続けてくれた。
「そうですね、例えば四十歳くらいの痩せた男性が杖を持っていたとします。これが事実です。太っているなら体重を支えるために杖を持つことがあるかもしれませんが、痩せているので足を怪我しているのではないか。これが仮説です。実際に歩いてもらうのが実証、足を庇うようにゆっくりと歩いたなら仮説が正しかったことになります」
「なるほど。もしすたすたと歩いたなら仮説が間違っていたということになるんですね」
「はい。その場合は仮説が間違っていたので、お洒落のために持っていたという新たな仮説をたてます」
「その実証は腕時計を調べたり、履いている靴のブランドを確かめたりすればいいのかな」
「まぁ鈴木さま、素晴らしいですわ。さすがです」
両手を叩いて褒められるとうれしくないわけがない。
照れ隠しにカップを手に取り口をつける。それなりの味だけれど、やっぱり先輩が淹れる珈琲には敵わないなぁ。
「でもホームズさんは仮説演繹法を使うだけでなく、そもそも直観力が素晴らしかったのだと思いますわ」
「直感で謎を解いていたんですか? そんなあてずっぽうだなんて意外だなぁ」
推理小説をあまり読まないので、ホームズほどの名探偵なら理詰めなのかと思っていた。
「鈴木さまがおっしゃっているのは感覚のほうの直感ではありませんか? わたくしが申したのは観察のほうの直観です」
「え、違うんですか」
「感覚のほうは文字通り『なんとなく肌で感じる』、日本語だと『勘』とも言いますよね。観察の方は自分が経験してきた知識を基にして無意識に判断することです」
「へぇ、そうなんだ」
「だから結果は同じでも直感は理由が説明できないのに対し、直観は根拠を上げることができるのです」
納得。やっぱりイギリスまで行って勉強してきたのは伊達じゃないんだな。
「すごいですよ美咲さん。僕でも理解することができました」
「いえいえ、わたくしもずっとこの違いを教授から言われ続けてきましたので」
「日頃から知識をたくわえることって探偵には大切なんですね」
「わたくしもそう思います」
直観ねぇ。あっ、ひらめいた。
バッグからノートを引っ張り出す。ここには今まで先輩と一緒に解いてきた謎や、気になったことをメモしてある。
その中に、いつか先輩へ投げかけてみようと作っていた謎があった。『直観』も使えるし、せっかくだから美咲さんで実証してみよう。
「あのぉ、先輩が帰ってくるまでにいつもの謎解きをやりませんか」
「まぁ! 今日は鈴木さまが問題を?」
「はい。作ってみたのがあるので」
美咲さんもバッグから手帳を取り出した。
出題する側は初めてでちょっと緊張する。
「それじゃいきますね。まず『直観』は目です」
「それは観察するほうですか」
「はい。次は『感嘆』、感心や感動するほうですが、これは口《くち》です」
「たしかに直観は目で見ますし、感嘆は口から発しますね」
「牧師さんなどの『聖職』は耳です」
「色々な方たちのお話を聞くからかしら」
「では思いやりなどを表す『厚意』、厚いのほうですがこれは何?」
「え、厚意ですか? 相手のお気持ちだから心……そんな簡単な答えではありませんわね。何かルールがあるはず」
手帳に目を落として考えている。よかった、すぐに答えを当てられなくて。
簡単かなぁと心配していたんだ。
「直観、感嘆、聖職、厚意。どれも同じ読み方で違う言葉がありますけれど、そのことも関係しているのかしら」
僕に問うでもなく、視線は手帳のまま独り言のように美咲さんはつぶやいた。
たしかにさっきの直感だけじゃなく簡単、生殖に行為もある。これは結果オーライのミスリードが出来るかも。
あるなしクイズもいけるな。この前のようにAチームとBチームに分けて最後は「これはどちらのチームでしょうか?」ってやればいい。
謎解きを作るのって意外と楽しい。
「あら?」
一人でニヤけていたら、じっと黙っていた美咲さんが声をだした。
満面の笑みを浮かべて顔を上げる。
「わたくし、分かってしまいました」
マジか。あの顔は絶対に正解だ。間違いない。思ったより早かったなぁ。
がっくりと肩を落として答えの説明を促した。
「それぞれの語句を見ていたら気づいてしまったのです。どの熟語にも共通して使われている文字があることを」
あー、やっぱり正解。
「直観は目、感嘆は口、聖職は耳です。厚意の答えは『日』ですよね」
「お見事です。参りました」
「とてもいい問題だと思いますわ。ほかにもたくさんありそうだし。楽しい時間をありがとうございました」
いえいえ、次回はもっと難しい問題を考えてみますなどと言っているところへ僕のスマホが鳴った。先輩からだ。
「はい、鈴木です」
『あぁ鈴木くん。こちらの用事が終わったのでこれから事務所へ戻るから』
「わかりました」
『二十分くらいかな。それじゃ』
「先輩からでした。あと二十分くらいで……」
電話の内容を美咲さんへ伝えようとしたら、何やら様子がおかしい。さっきまでは機嫌がよかったのに。
「なぜ鈴木さまに電話が掛かってくるのです!」
ヤバイ、怒ってるぞ。
「え、いや、それは僕が留守番していたから……」
「わたくしに掛けてくればいいじゃありませんか」
「美咲さんが来ているとは思わなかったのでは……」
「耕助さまなら推理すればわかることです!」
いやたしかにそうかもしれないけれど、まずは助手である僕に連絡してくるのはごく自然なことでしょ。
「やっぱり怪しい」と目を細めて斜めにこちらを見てる。
「だからいつも言ってるじゃないですか。先輩と後輩、探偵と助手というだけですから」
「わたくしの直感です。根拠はありませんが」
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