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curious people (好奇心旺盛な人々)
しおりを挟む一方、
(ジョーさんがお見合い――)
(ど、どうしよう?すっごく気になるんだけど)
(けど、ジョーさんに恋愛感情なんかないのよ)
(ジョーさんに恋していると思ったことすら勘違いだったのよ)
(それに、わたしにはアランという結婚間近のラブラブな彼氏だっているんだから)
(ああ、でも、ジョーさんのお見合い、覗きに行きたいっ)
クララはガンマンキャストの後ろのテーブルで両手を揉みしだいたり、首をブンブンと振ったり、ブルブルと震えたりと1人で百面相を繰り広げていた。
「――」
アランは向かい側で頬杖を突いてクララの百面相を眺めている。
(――はっ、いけないっ)
クララはハタと我に返ってアランの視線に気付いた。
気まずい。
「あ、やだ。ついついゴードンさんの話に耳がダンボになってしまったわ」
そう慌てて誤魔化し、
「ねえ?アラン。わたし達、みんなの会話が聞こえないくらい離れたテーブルに着いたほうがいいかしら?だって、ついつい耳に入ってきたら気になっちゃうもの」
しおらしく言ってみる。
「いや、みんなの話題に俺達だけ蚊帳の外ってのはつまらないと思うし、今のテーブルのままでいいよ」
アランはクララの想定どおりの答えだ。
「そうよねっ?」
クララはホッと安堵した。
「クララちゃん、分かってるよ。ジョーさんのお見合い、覗きに行きたいんだね?」
アランは何もかも達観したような笑顔で言った。
(――ぅう、やっぱり、バレバレなのね)
尚更に気まずい。
だが、そこへ、
クララにとって力強い援軍が。
「やっぱりぃ?クララも気になるわよねぇ?わたしもジョーさんのお見合い、覗きに行きたいものぉ。ねえ?ケント?」
「ああ。今時、お見合いなんて興味深いよな?」
アニタとケントは何の屈託もなく同調した。
「うん。わたし達も覗きに行きたいよねっ?」
「行きたい、行きたいっ」
さらにバミーとバーバラまでも。
「俺達も覗きに行きたいよな?――そうだ。メラリー、俺達にステーキ奢る約束だったよなっ?」
「だよなっ?」
また、さらにトムとフレディまでも。
「あ、じゃ、俺等もメラリーにステーキ奢ってもらおうぜ」
「そうだな。ついでだしな」
ヘンリーとハワードまでも便乗する。
(――むむぅ)
メラリーは渋面した。
以前からトム、フレディ、太田、ヘンリー、ハワード、マーティにはステーキを奢る約束をしていたのだ。
「じゃ、そういうことで決まりですね」
太田までが乗り気になっている。
(なんだ。バッキー、自分も行きたかったんじゃん)
まるで、この時のために今まで取っておいたかのようにメラリーのロデオ大会での優勝賞品、ウェスタン牧場直営ステーキハウスお食事券はみなのお見合い見物で使われることになった。
「じゃ、俺、アニタのカンカン合格のお祝いにステーキ奢るよ」
「交際復活のお祝いも兼ねてね」
メラリーの奢りのメンバーにいないケントとアニタもお見合い見物に行くつもりだ。
それならばと、
「ねえ、アラン?みんな行くんですって。ステーキはバレンタイン・ディナーのお返しってことで、わたしがご馳走するわ」
クララはみなに合わせるように、だが、有無を言わさずアランを誘う。
「うん。遠慮なくご馳走になるよ」
アランは引き攣った笑顔で答えた。
クララにジョーに対する恋愛感情が皆無なのは顔を見れば一目瞭然なので、たんにクララはタウンの看板スタァであるジョーの熱狂的ファンなのだろう。
この期に及んでまだカップルでジョーの追っ掛けを続けるのかと思うと些かゲンナリしたが、それがカップルの共通の趣味だとでも思えばいいのだとアランは悟った。
「おっ、みんなも来るなら俄然、楽しみになってきた。――で、お見合いの日はいつっすか?」
ジョーは意気込んでゴードンに訊ねる。
「明日よ。明日の午後6時にタウンのステーキハウス貸し切りよ」
ゴードンはしたり顔で答えた。
元からジョーの都合などお構いなしなのでとっくに予約済みだったのだ。
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