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第12弾 ショウほど素敵な商売はない
Is that all you can do about it? (あなたが出来ることはそれだけですか?)
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一方、
その頃。
~~♪
アランはミーナと2人でホテルアラバハのカラオケルームにいた。
クララ攻略のための作戦会議である。
タウンのバックステージでアランとミーナが2人でコソコソと話し合うのはあまりに怪しいし、他人に話を聞かれないために個室のカラオケルームを選んだのだ。
「とにかく、クララは今のうちに何とかしないといけないと思うの。5年もジョーさんに無駄な片想いを続けて、いまだに諦めないんだもの。もう来月で23歳なのよ。せっかくの花盛りの年頃をこれ以上、無駄にしていい訳がないわよ」
ミーナは真剣に心から親友のクララの行く末を案じている。
そのクララが、今、パティへの対抗心でジョーへの無駄な片想いを再燃させているとは知る由もない。
「そう、俺がクララちゃんにジョーさんとは両想いになれる確率0パーセントだと断言しても絶対に諦めないと頑固一徹なんすよ」
アランは嘆かわしげに首を振る。
「でも、クララがアランにも恋心を抱いているのは間違いないのよ。あのコは気持ちがすぐに顔に出るから分かるわ」
「ですよね?」
「だからアランはクララに強引に攻めてもいいと思うの。そこで作戦決行はバレンタインのダブルダブルデートの夜よっ」
ミーナは意気込んで司令を出す。
「いや、けど、強引にと言われてもクララちゃんの護身術はかなりの威力っすよ?」
アランは弱気に言って自分の鼻を撫でた。
一昨日の木曜にクララに頭突きを食らった鼻がまだ少し赤くなっている。
「それよねぇ。女子大生の頃だったかしら?クララと一緒に電車に乗っていて、わたしが痴漢にお尻を触られたの。そしたら、クララが『何、してんのよっ』って即座に痴漢の小指を握って逆方向に折り曲げてバキッと――」
「――ひいぃーっっ」
ミーナが言い終わらないうちにアランは両手を頬に当てて絶叫した。
~~♪
個室のカラオケルームで良かった。
「護身術ってクララみたいに華奢な女のコでも大した力は必要ないらしいのよ。それにクララはほとんど反射神経で動いて躊躇がなく速攻攻撃だから」
その時、「いくら何でもやり過ぎじゃない?」と痴漢に同情的なミーナに対して、クララは「だって痴漢は殺しても正当防衛だってお父さんが言ってたもの」と悪びれずにケロッと返したのだった。
「――怖い、怖い、怖い、無理、無理、無理――」
アランはブルブルと震えた。
自分は鋼鉄の処女クララをまだまだ甘く見ていた。
今まで鼻血くらいで済んでいたのは運が良かったのだ。
「そんな恐ろしい話を聞いたらクララちゃんに強引に攻めるなんて絶対に無理っすよ」
アランはとたんに弱腰になる。
「ええ、だから、クララにお酒を飲ませちゃえばいいんじゃないかしら?」
ミーナは大真面目な顔でとんでもないことを言った。
「ほら、クリスマスイブのダンス大会でアランと熱烈なkissした時だってクララは酔っていたから大丈夫だったんだもの」
「あ、そういえば、そうっすね」
あの時のクララはアランにうっとりとして素直なままkissまですんなりと順調だった。
クララはアルコールの力によって貞操帯の鍵が外れて、自らを縛る天然記念物乙女という鎧から解き放たれるのかも知れない。
「で、でも、なんか酔った勢いってのも――」
アランはまだ弱腰だ。
「だって、アランは真剣交際で結婚前提なんでしょ?クララと結婚するのよね?」
ミーナの質疑にアランが「勿論っ」と即答すると、ミーナは「それなら問題はないじゃない」とハッキリと請け合った。
「クララはラブストーリーのように素敵なムードに弱いのよ。ホテルは奮発して夜景の綺麗なゴージャスな部屋を用意してね。今からでもあなたのコネで部屋は取れるでしょ?」
ミーナはまるで遊郭の遣り手ババアのようにクララの床入りの段取りを仕切る。
「ええ、ホテルアラバハなら大丈夫っす」
大きなホテルでは満室といっても政治家やら何やらの急用のために2つ3つの部屋は常に空けてある。
バレンタインの夜でも一部屋くらいは使えるだろう。
作戦会議を終えると、せっかくカラオケがあるんだからとミーナとアランは士気を高めるように『荒刃波よいとこ湯けむり音頭』を拳を突き上げながら熱唱した。
「それ、源泉温泉、沸いた、沸いた、沸いた~♪湯けむり、人情、熱いよ、熱いよ、あっつ、あつ~♪」
そして、2人は人目を気にして15分ずらして別々にカラオケルームを後にした。
ミーナは駅前の薬局や和菓子屋で買い物をしてからマイカーでキャスト宿舎へ帰り、アランは馬当番なのでタウンへ戻る送迎バスに乗る。
(――う~ん、アルコールで酩酊状態の女のコをホテルに連れ込んで初体験なんて性犯罪みたいで気が引けるけど、ミーナさんも問題ないって言うし、ここは思い切って――)
どう考えても性犯罪なのだが、そもそもが馬鹿でよく考えずに先走るアランなのでバレンタインの夜の作戦で果敢に鋼鉄の処女クララに攻め込もうと決意していた。
その頃。
~~♪
アランはミーナと2人でホテルアラバハのカラオケルームにいた。
クララ攻略のための作戦会議である。
タウンのバックステージでアランとミーナが2人でコソコソと話し合うのはあまりに怪しいし、他人に話を聞かれないために個室のカラオケルームを選んだのだ。
「とにかく、クララは今のうちに何とかしないといけないと思うの。5年もジョーさんに無駄な片想いを続けて、いまだに諦めないんだもの。もう来月で23歳なのよ。せっかくの花盛りの年頃をこれ以上、無駄にしていい訳がないわよ」
ミーナは真剣に心から親友のクララの行く末を案じている。
そのクララが、今、パティへの対抗心でジョーへの無駄な片想いを再燃させているとは知る由もない。
「そう、俺がクララちゃんにジョーさんとは両想いになれる確率0パーセントだと断言しても絶対に諦めないと頑固一徹なんすよ」
アランは嘆かわしげに首を振る。
「でも、クララがアランにも恋心を抱いているのは間違いないのよ。あのコは気持ちがすぐに顔に出るから分かるわ」
「ですよね?」
「だからアランはクララに強引に攻めてもいいと思うの。そこで作戦決行はバレンタインのダブルダブルデートの夜よっ」
ミーナは意気込んで司令を出す。
「いや、けど、強引にと言われてもクララちゃんの護身術はかなりの威力っすよ?」
アランは弱気に言って自分の鼻を撫でた。
一昨日の木曜にクララに頭突きを食らった鼻がまだ少し赤くなっている。
「それよねぇ。女子大生の頃だったかしら?クララと一緒に電車に乗っていて、わたしが痴漢にお尻を触られたの。そしたら、クララが『何、してんのよっ』って即座に痴漢の小指を握って逆方向に折り曲げてバキッと――」
「――ひいぃーっっ」
ミーナが言い終わらないうちにアランは両手を頬に当てて絶叫した。
~~♪
個室のカラオケルームで良かった。
「護身術ってクララみたいに華奢な女のコでも大した力は必要ないらしいのよ。それにクララはほとんど反射神経で動いて躊躇がなく速攻攻撃だから」
その時、「いくら何でもやり過ぎじゃない?」と痴漢に同情的なミーナに対して、クララは「だって痴漢は殺しても正当防衛だってお父さんが言ってたもの」と悪びれずにケロッと返したのだった。
「――怖い、怖い、怖い、無理、無理、無理――」
アランはブルブルと震えた。
自分は鋼鉄の処女クララをまだまだ甘く見ていた。
今まで鼻血くらいで済んでいたのは運が良かったのだ。
「そんな恐ろしい話を聞いたらクララちゃんに強引に攻めるなんて絶対に無理っすよ」
アランはとたんに弱腰になる。
「ええ、だから、クララにお酒を飲ませちゃえばいいんじゃないかしら?」
ミーナは大真面目な顔でとんでもないことを言った。
「ほら、クリスマスイブのダンス大会でアランと熱烈なkissした時だってクララは酔っていたから大丈夫だったんだもの」
「あ、そういえば、そうっすね」
あの時のクララはアランにうっとりとして素直なままkissまですんなりと順調だった。
クララはアルコールの力によって貞操帯の鍵が外れて、自らを縛る天然記念物乙女という鎧から解き放たれるのかも知れない。
「で、でも、なんか酔った勢いってのも――」
アランはまだ弱腰だ。
「だって、アランは真剣交際で結婚前提なんでしょ?クララと結婚するのよね?」
ミーナの質疑にアランが「勿論っ」と即答すると、ミーナは「それなら問題はないじゃない」とハッキリと請け合った。
「クララはラブストーリーのように素敵なムードに弱いのよ。ホテルは奮発して夜景の綺麗なゴージャスな部屋を用意してね。今からでもあなたのコネで部屋は取れるでしょ?」
ミーナはまるで遊郭の遣り手ババアのようにクララの床入りの段取りを仕切る。
「ええ、ホテルアラバハなら大丈夫っす」
大きなホテルでは満室といっても政治家やら何やらの急用のために2つ3つの部屋は常に空けてある。
バレンタインの夜でも一部屋くらいは使えるだろう。
作戦会議を終えると、せっかくカラオケがあるんだからとミーナとアランは士気を高めるように『荒刃波よいとこ湯けむり音頭』を拳を突き上げながら熱唱した。
「それ、源泉温泉、沸いた、沸いた、沸いた~♪湯けむり、人情、熱いよ、熱いよ、あっつ、あつ~♪」
そして、2人は人目を気にして15分ずらして別々にカラオケルームを後にした。
ミーナは駅前の薬局や和菓子屋で買い物をしてからマイカーでキャスト宿舎へ帰り、アランは馬当番なのでタウンへ戻る送迎バスに乗る。
(――う~ん、アルコールで酩酊状態の女のコをホテルに連れ込んで初体験なんて性犯罪みたいで気が引けるけど、ミーナさんも問題ないって言うし、ここは思い切って――)
どう考えても性犯罪なのだが、そもそもが馬鹿でよく考えずに先走るアランなのでバレンタインの夜の作戦で果敢に鋼鉄の処女クララに攻め込もうと決意していた。
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