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第10弾 マイフェアレディ
A lover is a sexy dance girl(彼女は色っぽい踊り子)
しおりを挟む「ちょっと、ちょっと、今、トムとフレディから聞いてビックリなんすけど、2人の彼女がバミーとバーバラだって知ってましたっ?」
さっそくケントはみなに触れ回りにキャスト食堂へ駆け込んだ。
「ええっ?バミーとバーバラがトムとフレディの彼女ぉ?」
メラリーはあまりにビックリして豚肉の梅マヨ炒めをボタッと皿に落っことした。
「いや、全然、気付きませんでしたが、『灯台もと暗し』というヤツでしょうか」
太田も信じられないという表情だ。
「まさか。トムとフレディの妄想だろ妄想。彼女が欲しい願望が高じての妄想に違いねえ。憐れな奴等だぜ」
ジョーはまったく信じない。
トムとフレディに彼女がいるなど認めたくない。
しかも、可愛い彼女ときたら尚更だ。
バミーとバーバラは着ぐるみの中身という都合上、十年一日のごとく、すっぴんで髪を結んで前髪をヘアピンできっちりと留めて、Tシャツに短パンという色気のないダサダサの姿である。
だが、きちんとヘアメイクを整えてドレスを着たらば見違えるような美女に変身することはクリスマスイブのダンス大会で実証済みだ。
そのバミーとバーバラが春にカンカンの踊り子になったら普段からヘアメイクばっちりでコスチュームのドレス姿の美女のままということになる。
「ま、よしんば彼女だったとしてもカンカンデビューしたら、とたんにモテモテになってよ、トムとフレディになんざ鼻も引っ掛けなくなるだろうぜ」
ジョーはカラカラと笑う。
自分は不特定多数の美女と不純異性交遊するスケコマシのくせにトムとフレディの純粋な恋路は邪魔したいのだ。
(ジョーさんったら、トムとフレディに彼女がいたのがよっぽど悔しいみたいね)
(ひょっとしたら、ひょっとして、これをキッカケにジョーさんも特定の彼女が欲しくなるんじゃないかしら?)
クララは後ろ側のテーブルに着いて聞き耳を立てながらワクワクとポジティブな期待をした。
「それにしても、アニタ、まだ、いなご新聞のインタビュー終わらないのかなぁ?」
「いくらなんでも今頃は更衣室で私服に着替えてるんじゃない?」
スーザンとチェルシーが壁の時計を見やる。
もう20分は経っている。
「あら?あなた達、アニタならカンカンのみんながオーディションの祝勝会だとか言ってゲストルームへ連れてっちゃったわよ」
「バミーとバーバラもよ」
ゴードン、マダム、サンドラがキャスト食堂へやってきた。
ちなみにゲストルームというのはバックステージに大中小と3つある個室で、キャストは予約すると歓迎会やら送別会やらに利用することが出来る。
カラオケ完備で料理や飲み物は隣接するキャスト食堂から注文するのだ。
美女揃いのフレンチカンカンの踊り子はやたら目立つために地元の温泉街の飲食店では気兼ねなく酔って騒げないので飲み会にはもっぱら関係者以外立ち入り禁止のバックステージのゲストルームを利用していた。
マダムとサンドラは若い踊り子に気を利かせて祝勝会には参加しなかったのだ。
「なんだぁ。じゃあ、この隣のゲストルームにいるのね。お祝いを言おうと思って待ってたのに」
「仕方ないわ。アニタはもうカンカンの一員なんだもの」
「うん。これからはわたし達よりカンカンの先輩達との付き合いがどうしたって優先になるわよね」
「そうよね。カンカンデビューまではダンスのレッスンだって忙しいだろうし、友達も彼氏もほったらかしになっちゃうわよ」
クララ、ミーナ、スーザン、チェルシーは残念そうに顔を見合わせる。
「――え?ほったらかし?俺まで?」
ケントはハッと気付いた。
そういえば、フレンチカンカンの踊り子はウェスタン・タウンに来れば逢える身近なアイドルのような存在なのだ。
なにしろ50人もいてダンスで鍛えられたプロポーションは抜群で美女レベルが高い。
コスチュームのドレスは胸の谷間を強調した挑発的なデザインで脚線美を見せびらかすようなハイキックはブルマー丸出しでお色気たっぷりだ。
ジョーの言うようにバミーとバーバラがモテモテになるなら、アニタだってモテモテになってしまうかも知れない。
それでなくてもグラマーでフレンドリーでちょっとズボラでユルい雰囲気のアニタは男から声を掛けられやすいタイプなのだ。
「……」
ケントはとたんに不安いっぱいで情けない顔になった。
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