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第3弾 虹の向こうへ

Spark(火花)

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 ゴードンが熱血指導するうちにどうにかこうにかリハーサルは終了した。

「みんな、お疲れ様。――あ、そうそ、アランちゃん、紹介がまだだったわね」

 ゴードンが手招きすると騎兵隊キャストの列から1人の若者が前に進み出た。

「この度、騎兵隊キャストになりました、アランこと荒井新哉あらい しんやですっ」

 明るくハキハキと挨拶するアラン。

 波打つ黒髪に目鼻立ちのハッキリした華やかなイケメンだ。

 パチパチ。

 ショウのキャスト達が拍手する。

「ねえ、格好良いコじゃない~?」

 マダムがフレンチカンカンの踊り子達に見返る。

「ホントに~」

「地元の高校の馬術部だったんだって~」

「まだ21歳だって~」

 踊り子達はみなアランに目をハートマークにしている。


「おい、バッキー、お前が書類選考で落っこちた騎兵隊キャストのオーディションで通った奴だぜ」

 ジョーがバッキーの太田の尻尾を突っつく。

「――(むう…)」

 バッキーの太田はアランを敵視するように睨み付けるが、いかんせん、キャラクターのバッキーは暢気な笑顔である。

「よろしくお願いします」

 アランはキャラクタートリオにもニッコリと微笑んでイケメン光線を放った。

「……」
「……」

 キャラクターのバミーとバーバラは声を出さないまでも内心で(きゃああああ~」と叫び、揃ってパタパタと飛び跳ねる。


「バッキー、馬に乗れなくて不合格だったというより」

「馬、乗れても勝ち目ねえじゃん?」

「だな」

 メラリーとトムとフレディはここは意見が合った。

「――(ガックリ)」

 うなだれるバッキーの太田。

「ゴートンさん、絶対、また顔で選んだな」

「だな」

 トムとフレディは不満げだ。

「当然でしょっ。馬に乗れる以外で他に何を基準に選ぶっていうのっ?」

 ゴードンはキッパリと言い放つ。


「あ~あ、騎兵隊にまたチャラチャラっちいのが入ってきちまったぜ~」

「やだやだ、どうせ騎兵隊のコスチュームを着てりゃ女のコにモテモテだとか思ってよ~。動機がスケベなんだよな~」

 先住民キャストのブルマン(青山大あおやま だい)とブラッツ(黒木高士くろき たかし)が聞こえよがしに言った。

「なんだとぉ?」

「イケメン見るとすぐそうやってひがむの、みっともねぇぞ」

 騎兵隊キャストのヘンリー(辺見竜太へんみ りゅうた)とハワード(和田晴人わだ はると)が喧嘩ごしに先住民キャストに言い返す。

「先住民キャストも顔で選ばれるみたいっすけど、インパクトのある顔って基準っすか?」

 ヘンリーが嫌みたっぷりにゴートンに訊ねた。

「――えっ?え~と」

 しどろもどろのゴードン。

「あ、たしかに」

 メラリーは先住民キャストの面々を見て納得した。  

 みなロン毛の三つ編みで、顔にインディアンの化粧でラインを描いているが、それをしても余りある独特の癖の強い顔立ちをしている。

「このやろぉ」

 先住民キャストのブルマンとブラッツが騎兵隊キャストのヘンリーとハワードに詰め寄る。

「やんのかっ?」

 前に踏み出るヘンリーとハワード。

「ちょ、ちょっと、よせよ。お前等」

 騎兵隊キャストのリーダーのマーティが間に割って入って止めるが、

「……」

 先住民キャストのリーダーのレッドストン(赤石修司あかいし しゅうじ)はニヒルに片頬で笑んで見ているだけだ。

 レッドストンは爬虫類系のイケメンで頭に派手な羽根飾りの出で立ちである。


 お互いに睨み合ってバチバチと火花を散らす騎兵隊キャストと先住民キャスト。

「こらっ、あなた達、いい加減にしないと怒るわよっっ」

 ゴードンがヒステリックに怒鳴り付けて、その場はなんとか収まった。
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