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◆番外編◆ それぞれの未来へ
#1
しおりを挟む昨年末に大好きな要さんと結婚し、新しい年を新しい家族と一緒に迎えた一月。
要さんの誕生日の前日であるバレンタインには手作りのチョコを渡して、そのチョコと一緒にたっぷりと堪能されてしまった二月。
そして三月には、私の担当医である香澄先生と夏目さんが付き合うことになったというビックニュースが飛び込んできて、心底驚かされることとなった。
ずっとお兄さんのように慕ってた夏目さんが遠い存在になってしまったような気がして、寂しくもあり、どうしようもなく嬉しくもあり。
翌朝、要さんのお迎えに訪れた夏目さんにお祝いの言葉を伝えると、意外にも、照れ臭そうにはにかんだ笑顔を満面に綻ばせた顔をほんのちょっぴり赤らめていて。
見ているこっちが照れてしまうくらい、とっても幸せそうだった。
要さんと夫婦になってからというもの、何気ない一日だったり、特別な記念日だったりを一日一日をゆっくりゆっくり、一歩一歩踏みしめるようにして日々を重ねて、早いもので季節は春を迎え、もうすぐ四月になろうとしている。
初めて脚を踏み入れた副社長室で要さんと運命ともいえる十八年ぶりの再会を果たした、私にとっては特別な季節だ。
あの日、要さんとの再会を果たしてからというもの、本当に色んなことがあった。
要さんのことを好きになって、ふわふわと幸せな気持ちになったり、甘酸っぱい気持ちになったことや、どうしようもなく苦しかったこと。
要さんの過去を知り、やるせなくなったり、悲しくなってしまったり、元カノが現れて、言いようのない不安に襲われたりもした。
何度泣いてしまったか分からないくらいだ。
でもそういう色んなことを乗り越えたからこそ、幸せに満ちた今があるんだと思うと、なんだか感慨深い気持ちになってくる。
こうして要さんと一緒に過ごしている間にもすくすくと育って、もうすっかり大きくなってしまったお腹にそうっと手を添えると元気な胎動が伝わってきて。
あと一か月もしたらこの子に逢えるんだと思うと自然と頬が緩んでしまう。
応援ありがとうございます!
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