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◆番外編◆ 夫婦になって初めての☓☓☓
#6
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興奮して、これまで募らせていた思いの丈を思いつくままに言い放ったことで、気が抜けてしまった私は、放心したままで。
呆気にとられ、けれど心配そうに私のことを見下ろしている要さんのことを見つめたままで、荒くなってしまった呼吸を繰り返すことしかできないでいる。
そんな数秒間を経て、私のことを見つめている要さんが、やっと大人しくなった私に心底ホッとしたように、ふっと柔らかな笑みを零して、
「まさか、俺のせいで、美菜をそこまで不安にさせてしまっていたとは、知らなかったこととはいえ、本当にすまなかった」
ベッドに横になったまま放心してしまっている私の乱れてしまった髪を手で優しく撫でつつ、そういって謝ってくれて。
「本当に? 分かってくれましたか?」
思わず訊き返した私の言葉にも、「あぁ」そういって、私の露わになったオデコにそうっと優しく口づけてくれた要さん。
要さんは、涙に塗れた私の目尻や頬を柔らかな眼差しで、愛おしそうに見つめつつ、柔らかな唇でも優しく拭ってくれている。
――良かった。分かってくれたんだ。
そう思って、要さんの優しい口づけにうっとりしながら、ホッと安堵の息をついていると、要さんが、私が妊娠してからどうして触れなくなったのか理由を話し始めた。
「ただ、美菜の身体が心配で仕方なかっただけだったんだ。だって、そうだろう? こんなに医療が発達しているのに、未だに、出産で亡くなったりすることもあるんだ。もし、美菜に、何かあったらと考えただけで、俺は怖くて堪らなくなる。でも、確かに、心配しすぎだったかもしれない。ヘタレな俺のせいで、身重の美菜をこんなに不安にさせて、本当にすまなかった。美菜が少しでも安心できるのなら、美菜のいうとおり、これからは、できる限り可愛がるようにする」
それで、改めて、私のことを要さんがどんなに大事に想ってくれているかを実感することができて。
相変わらず、うっとりとしたまま、幸せな心地で、「はい」なんて答えつつ、要さんのことを見つめていたのだった。
それなのに……。
「まさか、俺のせいで、美菜のことをムラムラさせていたなんて、俺は、夫として失格だな。これからは、可愛い新妻である美菜をムラムラさせないように、めいっぱい可愛がって、夫婦そろって、欲求不満にならないようにしなくちゃな。
まぁ、でも、あんまり頻繁に可愛がって、小石川に言われたように、この子を驚かせても困るから、毎日は無理だが。ムラムラして仕方がない時は、いつでも言ってくれれば、可愛がるようにするから、安心してほしい」
「……へ!?あ、あのう、要さん? 私はただ、妊娠してからそういうことがめっきり減ったから寂しかっただけで。別に、欲求不満でもないし、ムラムラしてたワケでもないんですけど」
「恥ずかしいのは分かるが、そういう感情を無理矢理抑え込むのは身体にも良くないからやめた方がいい。さっき、美菜が俺にそう言ってくれたじゃないか。
そうだ。いいことを思いついた。今日は、主導権は美菜に任せるから、美菜のやりたいようにすればいい。そしたら今までのムラムラも解消できるだろうし」
どういう訳だか、なにやら大きな勘違いをしてしまっている様子の要さんが、そんなことを言ってきたかと思えば。
私の隣にゴロンと寝転んで、仰向けになってしまっている。
そうして、瞼を閉ざして、両腕まで広げて、私を促すように、
「ほら、こうしてれば見えないから恥ずかしくないだろう? 俺は美菜だけのものだ。美菜の好きなように可愛がってくれ」
そういって、私が要さんのことを可愛がるのを待ってくれているようだ。
私が要さんに可愛がってもらえるんじゃなかったの?
なにがどうしてこうなっちゃったのか、さっぱり分かんないんですけど……。
――だ、誰か、要さんを止めてください。
呆気にとられ、けれど心配そうに私のことを見下ろしている要さんのことを見つめたままで、荒くなってしまった呼吸を繰り返すことしかできないでいる。
そんな数秒間を経て、私のことを見つめている要さんが、やっと大人しくなった私に心底ホッとしたように、ふっと柔らかな笑みを零して、
「まさか、俺のせいで、美菜をそこまで不安にさせてしまっていたとは、知らなかったこととはいえ、本当にすまなかった」
ベッドに横になったまま放心してしまっている私の乱れてしまった髪を手で優しく撫でつつ、そういって謝ってくれて。
「本当に? 分かってくれましたか?」
思わず訊き返した私の言葉にも、「あぁ」そういって、私の露わになったオデコにそうっと優しく口づけてくれた要さん。
要さんは、涙に塗れた私の目尻や頬を柔らかな眼差しで、愛おしそうに見つめつつ、柔らかな唇でも優しく拭ってくれている。
――良かった。分かってくれたんだ。
そう思って、要さんの優しい口づけにうっとりしながら、ホッと安堵の息をついていると、要さんが、私が妊娠してからどうして触れなくなったのか理由を話し始めた。
「ただ、美菜の身体が心配で仕方なかっただけだったんだ。だって、そうだろう? こんなに医療が発達しているのに、未だに、出産で亡くなったりすることもあるんだ。もし、美菜に、何かあったらと考えただけで、俺は怖くて堪らなくなる。でも、確かに、心配しすぎだったかもしれない。ヘタレな俺のせいで、身重の美菜をこんなに不安にさせて、本当にすまなかった。美菜が少しでも安心できるのなら、美菜のいうとおり、これからは、できる限り可愛がるようにする」
それで、改めて、私のことを要さんがどんなに大事に想ってくれているかを実感することができて。
相変わらず、うっとりとしたまま、幸せな心地で、「はい」なんて答えつつ、要さんのことを見つめていたのだった。
それなのに……。
「まさか、俺のせいで、美菜のことをムラムラさせていたなんて、俺は、夫として失格だな。これからは、可愛い新妻である美菜をムラムラさせないように、めいっぱい可愛がって、夫婦そろって、欲求不満にならないようにしなくちゃな。
まぁ、でも、あんまり頻繁に可愛がって、小石川に言われたように、この子を驚かせても困るから、毎日は無理だが。ムラムラして仕方がない時は、いつでも言ってくれれば、可愛がるようにするから、安心してほしい」
「……へ!?あ、あのう、要さん? 私はただ、妊娠してからそういうことがめっきり減ったから寂しかっただけで。別に、欲求不満でもないし、ムラムラしてたワケでもないんですけど」
「恥ずかしいのは分かるが、そういう感情を無理矢理抑え込むのは身体にも良くないからやめた方がいい。さっき、美菜が俺にそう言ってくれたじゃないか。
そうだ。いいことを思いついた。今日は、主導権は美菜に任せるから、美菜のやりたいようにすればいい。そしたら今までのムラムラも解消できるだろうし」
どういう訳だか、なにやら大きな勘違いをしてしまっている様子の要さんが、そんなことを言ってきたかと思えば。
私の隣にゴロンと寝転んで、仰向けになってしまっている。
そうして、瞼を閉ざして、両腕まで広げて、私を促すように、
「ほら、こうしてれば見えないから恥ずかしくないだろう? 俺は美菜だけのものだ。美菜の好きなように可愛がってくれ」
そういって、私が要さんのことを可愛がるのを待ってくれているようだ。
私が要さんに可愛がってもらえるんじゃなかったの?
なにがどうしてこうなっちゃったのか、さっぱり分かんないんですけど……。
――だ、誰か、要さんを止めてください。
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