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◆番外編◆ 夫婦になって初めての☓☓☓

#4

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そしたら要さんは、私の言葉を聞くや否や、首にしがみついて泣き始めてしまった私のことを、慌てた様子で、けれど身体を気遣い、やんわり引き剥がすと、

「美菜、そんなに泣かなくても。俺は、美菜の体形がどう変わろうと、美菜を愛する気持ちは変わらない。ましてや、その気にならないなんて、そんなこと、ある筈がない。現に、今だって、そういう気持ちにならないように、必死で抑え込んでいるくらいだ。それに、どんな女に誘惑されようと、美菜以外の女になんて、俺は絶対欲情なんてしたりしない。美菜に出逢うまで、六年もの間、俺のことを誰一人欲情させる女なんていなかったんだ。神に誓ってもいい。俺は浮気なんて絶対にしない。だから、安心してほしい」

この世の終わりみたいな表情だった要さんは、打って変わって、怖いくらいに真剣な表情を浮かべていて。

自分の首からやんわり引き剥がして、ベッドに優しく横たえた私の瞳を真っ直ぐ見つめながら、必死になって、きっぱりと宣言してくれている。

でも、そんなこと言っても、これも、ネットの情報だけれど、男の人のアレは別人格らしいし。

いくら要さんがそう思ってても、アレがどうなっちゃうかなんて分かんないし。

こんなこと、考えるのも嫌だけど、六年間、EDだったっていっても、今は違うんだし、そんなの、そういう状況になってみなきゃ、分かんないじゃないか。

もうすっかり、興奮してしまった私の気持ちは、一向におさまりそうもない。

それどころか、興奮しすぎて、気持ちが昂ってしまっている私の思考はもうメチャクチャで。

「そんなの、分かんないじゃないですか。そういう気持ちにならないように必死に抑えてるってことは、ムラムラするのをずっと我慢してるってことでしょ? アレは別人格だって、何かの記事にも書いてありました。ムラムラしてるときに誘惑されて、アレが勝手に誤作動起こすかもしれないでしょ?」

「……はぁ!?ごっ、誤作動?」

「そんなのヤダッ!要さんに触れていいのは、私だけなんだから。要さんに誰かが指一本でも触れるなんて、絶対イヤッ!そんなの必死に抑え込まなくても、私にぶつけてくればいいじゃないですかっ!」

「み、美菜っ、ちょっと待て。落ち着け」

「待てませんッ!今まで、あんなに可愛がってくれていたのに、妊娠した途端、めっきり可愛がってくれないから、不安になっちゃうんです。心配になるんです。怒ってるんですッ!ムラムラするんです。責任取って可愛がってくださいッ!」

”ムラムラ”をずっと我慢している要さんのことが心配なあまり、そのことばかりで埋め尽くされてしまっている私は、興奮状態の私をなんとか落ち着けようと慌てる要さんの言葉にも耳を貸さない始末。

そんな私は、”イライラ”と”ムラムラ”を誤用していることに気づくような冷静さなんて、勿論、持ち合わせてなどいないのだった。
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