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◆番外編◆ かなわないもの~side要~
#7
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それなのに、腕の中に閉じ込めた美菜からは、笑ったような声が微かに身体から伝わってくる。
――俺の気も知らないで……。
……にしても、笑うことはないだろうと思う。
ついカチンときてしまった大人げない俺は、
「今、笑ったのか?」
そんな不機嫌丸出しな声を放つと同時、美菜の身体をソファの上へと押し倒してしまっていて。
そんな大人げないことを言ってしまった俺に、緩んだ表情をした美菜からは、
「笑ってなんかいません」
なんて白々しい言葉が返って来たもんだから、益々面白くなくなってきて。
「嘘をつくな。顔がだらしなくニヤけてる」
またまたそんな大人げないことを言ってしまう俺は、本当にただの子供のようだって、自分でも思う。
――でも、それは、全部美菜のせいだ。
俺は気づけば、いつもいつもこうやってすぐにペースを崩されてしまうんだ。
いつもいつもこうやって自分のコントロールが利かなくなってしまうんだ。
それなのに、俺の言葉を聞いた美菜はムッとした表情で、
「副社長が子供みたいなこと言うからです」
俺が思っていたことと同じことを言ってきた。
でも、それを美菜に言われてしまうと面白くなくて。
「それだけ、美菜のことが好きってことだ。子供みたいに必死になっても仕方ないだろ?」
またまたこんな風に、拗ねた子供のように言ってしまう俺は、本当にただの子供だ。
そうとは分かっていても、自分でも思い通りにならないのだから仕方ない。
それに、それだけじゃない。
またこうやって人を好きになることができたというのに。
やっとこうして想いを伝え合えることができたというのに。
――胸の奥が痛くて、切なくて、堪らない。
そんな俺の想いなんて知らずに、俺の放った言葉を聞いた美菜は、呆れているのかなんなのか何も言ってはこない。
沈黙に堪りかねた俺は、美菜の身体を姫抱きにして、可愛がって欲しいという美菜の望み通りに寝室へと脚を進めたのだが……。
「え、ちょっ……急に、なんですか!?」
思いがけず、ストップをかけてくる美菜。
――『今すぐここで』という意味だったのだろうか?
まぁ、夏目も今はいないし、美菜が良いのであれば、俺は別に構わないが。
――いや、まさか、今になってやっぱりなしにしてほしいなんて言うんじゃないだろうな?
美菜から誘ってきたのだから、今更そんなことはないとは思いながらも、美菜の考えがイマイチ理解できない俺は、
「何って、寝室に行こうと思うが、美菜はここがいいのか? まぁ、俺は構わないが」
美菜にどうしたいのか訪ねたのだが……。
俺がソファまで戻って、美菜を組み敷いてから華奢な身体に跨って、美菜のことを見下ろして反応を窺ってみれば。
恥ずかしいのか、途端に真っ赤になってアワアワし始めたなんとも可愛らしい美菜。
そんな可愛らしい美菜に、たちまちコロッと気を良くしてしまう俺の顔は、きっとだらしなく緩んでしまってるに違いない。
「美菜はいつになっても、そういう可愛らしい反応をするな? ここでもいいとは言ったが、こんな可愛い反応をする美菜を誰にも見せたくはない。すぐに可愛がって欲しいという美菜には悪いが、やっぱり寝室に行くとしよう。それまでの間、我慢できるか?」
そして、恥ずかしがる美菜に向けて、ワザとこんな意地の悪い言い方をしてしまう俺はもう、自分でも止めることなんてできないのだからしょうがない。
……それでも、こうやって、なんとか頑張って、自分を最大限に抑えているのだから、褒めて欲しいくらいだ。
俺は、そんな自分勝手なことを思いながらも、俺の意地悪な言葉に気を悪くしたのか、俺のことを恨めしげに見ている美菜のことを宥めるためにも、
「悪かった。ちょっと調子に乗り過ぎた。これで、許してくれるか?」
耳元でそうっと甘く囁いてから、美菜の艶やかな柔らかな唇の感触をゆっくり味わうようにして優しく口づけると、何度も甘く慈しむようにして啄み続けた。
――こんなにも美菜のことを想っている俺のこの想いが少しでも美菜に伝わってくれるようにと、そんなロマンチックならしくないことを願いながら……。
――俺の気も知らないで……。
……にしても、笑うことはないだろうと思う。
ついカチンときてしまった大人げない俺は、
「今、笑ったのか?」
そんな不機嫌丸出しな声を放つと同時、美菜の身体をソファの上へと押し倒してしまっていて。
そんな大人げないことを言ってしまった俺に、緩んだ表情をした美菜からは、
「笑ってなんかいません」
なんて白々しい言葉が返って来たもんだから、益々面白くなくなってきて。
「嘘をつくな。顔がだらしなくニヤけてる」
またまたそんな大人げないことを言ってしまう俺は、本当にただの子供のようだって、自分でも思う。
――でも、それは、全部美菜のせいだ。
俺は気づけば、いつもいつもこうやってすぐにペースを崩されてしまうんだ。
いつもいつもこうやって自分のコントロールが利かなくなってしまうんだ。
それなのに、俺の言葉を聞いた美菜はムッとした表情で、
「副社長が子供みたいなこと言うからです」
俺が思っていたことと同じことを言ってきた。
でも、それを美菜に言われてしまうと面白くなくて。
「それだけ、美菜のことが好きってことだ。子供みたいに必死になっても仕方ないだろ?」
またまたこんな風に、拗ねた子供のように言ってしまう俺は、本当にただの子供だ。
そうとは分かっていても、自分でも思い通りにならないのだから仕方ない。
それに、それだけじゃない。
またこうやって人を好きになることができたというのに。
やっとこうして想いを伝え合えることができたというのに。
――胸の奥が痛くて、切なくて、堪らない。
そんな俺の想いなんて知らずに、俺の放った言葉を聞いた美菜は、呆れているのかなんなのか何も言ってはこない。
沈黙に堪りかねた俺は、美菜の身体を姫抱きにして、可愛がって欲しいという美菜の望み通りに寝室へと脚を進めたのだが……。
「え、ちょっ……急に、なんですか!?」
思いがけず、ストップをかけてくる美菜。
――『今すぐここで』という意味だったのだろうか?
まぁ、夏目も今はいないし、美菜が良いのであれば、俺は別に構わないが。
――いや、まさか、今になってやっぱりなしにしてほしいなんて言うんじゃないだろうな?
美菜から誘ってきたのだから、今更そんなことはないとは思いながらも、美菜の考えがイマイチ理解できない俺は、
「何って、寝室に行こうと思うが、美菜はここがいいのか? まぁ、俺は構わないが」
美菜にどうしたいのか訪ねたのだが……。
俺がソファまで戻って、美菜を組み敷いてから華奢な身体に跨って、美菜のことを見下ろして反応を窺ってみれば。
恥ずかしいのか、途端に真っ赤になってアワアワし始めたなんとも可愛らしい美菜。
そんな可愛らしい美菜に、たちまちコロッと気を良くしてしまう俺の顔は、きっとだらしなく緩んでしまってるに違いない。
「美菜はいつになっても、そういう可愛らしい反応をするな? ここでもいいとは言ったが、こんな可愛い反応をする美菜を誰にも見せたくはない。すぐに可愛がって欲しいという美菜には悪いが、やっぱり寝室に行くとしよう。それまでの間、我慢できるか?」
そして、恥ずかしがる美菜に向けて、ワザとこんな意地の悪い言い方をしてしまう俺はもう、自分でも止めることなんてできないのだからしょうがない。
……それでも、こうやって、なんとか頑張って、自分を最大限に抑えているのだから、褒めて欲しいくらいだ。
俺は、そんな自分勝手なことを思いながらも、俺の意地悪な言葉に気を悪くしたのか、俺のことを恨めしげに見ている美菜のことを宥めるためにも、
「悪かった。ちょっと調子に乗り過ぎた。これで、許してくれるか?」
耳元でそうっと甘く囁いてから、美菜の艶やかな柔らかな唇の感触をゆっくり味わうようにして優しく口づけると、何度も甘く慈しむようにして啄み続けた。
――こんなにも美菜のことを想っている俺のこの想いが少しでも美菜に伝わってくれるようにと、そんなロマンチックならしくないことを願いながら……。
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