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揺らめく心と核心~後編~
#10
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それから一週間が経った頃、私は妊婦健診を受けるため、約二週間ぶりに、光石総合病院に訪れていた。
勿論、忙しい仕事の合間を縫って、一緒に付き添ってくれている大好きな要さんと一緒に。
妊娠十二週目に入ったばかりの私の経過は、酷かった悪阻もようやく落ち着いたようだし、少々貧血気味なのを除けば、頗る順調です、と主治医である小石川香澄さんにも言ってもらえ。
なにより驚いたのが、超音波検査のモニターに映る、見た目的にも、ずいぶんと人間らしくなって、元気そうに手足を動かしている赤ちゃんの姿だった。
ちょうどこの時期までの赤ちゃんの成長スピードが早いらしく、元気に動く赤ちゃんの姿に、感激してしまう妊婦さんも珍しくないらしい。
かくいう私も、例に漏れず大感激してしまっている妊婦の一人だ。
お腹もまだそんなに目立つほど膨らんでもいなかったし、胎動だってまだ感じられないし、悪阻はあるものの、あんまり実感がわかなかったから余計だ。
感激してまたまた大泣きしてしまった私は、同じように感激して目頭を押さえていた要さんに、しばらくの間、いつもの”よしよし”をしてもらっていて。
「神宮寺先輩、良かったじゃないですかぁ。生まれてくる我が子をあやす練習ができて。あっ、いっけない。お取込み中悪いんですけど、次の方がお待ちのようなんで、そろそろ撤収してもらっていいですか? あー、その前に一つだけ。悪阻、だいぶん落ち着いてるようなんで、そろそろアッチのほうも大丈夫だと思います。でもまぁ、赤ちゃんがビックリして出てきちゃったら大変なんで、あんまりハードなことはしないようにお願いしますね?」
「決まっているだろう? 近頃はキスだけで我慢させていたんだ。もうこれ以上にないってくらい優しくするつもりだ」
「まぁ、それは良かったですねぇ?美菜さん!」
「////」
これまたお決まりのように、要さんの腕の中で、私は真っ赤にさせられてしまったのだった。
そんなこんなで無事に妊婦健診も終えて、あとは帰るだけという時、従兄である譲さんに、引き止められてしまった要さん。
要さんは、面倒くさそうにしながらも、結構楽しそうに譲さんと話し込んでいて。
ちょっと外の空気を吸いたかった私は、二人の話がすむまで、中庭のベンチに腰を落ち着け、綺麗に手入れのなされた中庭のすっかり秋めいた景色を、呑気にぼんやり眺めていたのだった。
「あら、美菜さん」
そこに、まさか、西園寺静香さんが現れるなんて思ってもみなかった。
勿論、忙しい仕事の合間を縫って、一緒に付き添ってくれている大好きな要さんと一緒に。
妊娠十二週目に入ったばかりの私の経過は、酷かった悪阻もようやく落ち着いたようだし、少々貧血気味なのを除けば、頗る順調です、と主治医である小石川香澄さんにも言ってもらえ。
なにより驚いたのが、超音波検査のモニターに映る、見た目的にも、ずいぶんと人間らしくなって、元気そうに手足を動かしている赤ちゃんの姿だった。
ちょうどこの時期までの赤ちゃんの成長スピードが早いらしく、元気に動く赤ちゃんの姿に、感激してしまう妊婦さんも珍しくないらしい。
かくいう私も、例に漏れず大感激してしまっている妊婦の一人だ。
お腹もまだそんなに目立つほど膨らんでもいなかったし、胎動だってまだ感じられないし、悪阻はあるものの、あんまり実感がわかなかったから余計だ。
感激してまたまた大泣きしてしまった私は、同じように感激して目頭を押さえていた要さんに、しばらくの間、いつもの”よしよし”をしてもらっていて。
「神宮寺先輩、良かったじゃないですかぁ。生まれてくる我が子をあやす練習ができて。あっ、いっけない。お取込み中悪いんですけど、次の方がお待ちのようなんで、そろそろ撤収してもらっていいですか? あー、その前に一つだけ。悪阻、だいぶん落ち着いてるようなんで、そろそろアッチのほうも大丈夫だと思います。でもまぁ、赤ちゃんがビックリして出てきちゃったら大変なんで、あんまりハードなことはしないようにお願いしますね?」
「決まっているだろう? 近頃はキスだけで我慢させていたんだ。もうこれ以上にないってくらい優しくするつもりだ」
「まぁ、それは良かったですねぇ?美菜さん!」
「////」
これまたお決まりのように、要さんの腕の中で、私は真っ赤にさせられてしまったのだった。
そんなこんなで無事に妊婦健診も終えて、あとは帰るだけという時、従兄である譲さんに、引き止められてしまった要さん。
要さんは、面倒くさそうにしながらも、結構楽しそうに譲さんと話し込んでいて。
ちょっと外の空気を吸いたかった私は、二人の話がすむまで、中庭のベンチに腰を落ち着け、綺麗に手入れのなされた中庭のすっかり秋めいた景色を、呑気にぼんやり眺めていたのだった。
「あら、美菜さん」
そこに、まさか、西園寺静香さんが現れるなんて思ってもみなかった。
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