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揺らめく心と核心~前編~
#1
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隼さんは、私が泣いていることに気づくと、
「美菜さん、以前にもお伝えした通り、僕は本来、気の強い女性をとことん苛め抜いて、追い詰めて、泣きながらその先の快楽を求めて懇願してくる様を見ることに、これ以上ない喜びを感じるという、少々理解されにくい性癖を持っているのですが……。そんなに泣かなくても大丈夫ですよ。出来うる限り優しくさせていただきますし、ちゃんと避妊もしておきますので、ご安心ください」
私の身体を背後から拘束している腕の力を、僅かに緩めながら、ふっと笑みを零しながら、耳元に囁いてきた。
けれど、『大丈夫ですよ』、『ご安心ください』、そんなことを言われたって、この状況で、安心なんてできる筈がない。
――要さん以外の男の人に、たとえ指一本たりとも触れられたくない。
でも、女の力では、男の人の力に適う筈なんてないだろうし……。
なんでもいいから、この状況から逃れる方法はないか、と色々思案しようとしても、恐怖と混乱でパニックに陥ってしまってる頭では、何も浮かばない。
そうこうしている間にも、私のことを拘束したままの隼さんが、会議室の中央に配置されている大きな机のすぐ傍まで移動していて。
隼さんが私の身体を反転させたかと思えば、私は机に背を向けるような体勢で、追い詰められるようにして、立たされてしまっていた。
お尻の辺りには、机の冷たく堅い感触が伝わってくる。
そこへ、
「まぁ、そうはいいましても、こういったところでとなりますと、少々痛みも伴うかもしれませんが、ご了承いただけると幸いです」
「――んっ!?」
再び聞こえてきた、隼さんの申し訳なさそうに、私のことを気遣うような声がした直後には、私はもう堅くて冷たい机の上へと背中から押し倒されて、隼さんの身体に組み敷かれてしまっていた。
当然、口はまだ隼さんの手に覆われて塞がれているため、声を出すことは叶わない。
暗闇に幾分慣れてきた視界には、薄暗い会議室の広い天井を背にした隼さんが、組み敷いた私のことを、静かに見下ろしている表情が、間近にはっきりと見て取れる。
その表情が、一瞬、要さんとダブって見えた気がした。
けれど、今目の前には、要さんじゃなく、確かに弟の隼さんが居るという、この受け入れがたい、残酷すぎる事実を突き付けられてしまった私の目からは、ポロポロと夥しい涙が、まるで滝のように、次から次へと溢れて止まらなくなってしまうのだった。
そんな私のことを嘲笑うかのように、無情にも、隼さんの顔がジリジリと、私との距離を詰めてくる。
「美菜さん、以前にもお伝えした通り、僕は本来、気の強い女性をとことん苛め抜いて、追い詰めて、泣きながらその先の快楽を求めて懇願してくる様を見ることに、これ以上ない喜びを感じるという、少々理解されにくい性癖を持っているのですが……。そんなに泣かなくても大丈夫ですよ。出来うる限り優しくさせていただきますし、ちゃんと避妊もしておきますので、ご安心ください」
私の身体を背後から拘束している腕の力を、僅かに緩めながら、ふっと笑みを零しながら、耳元に囁いてきた。
けれど、『大丈夫ですよ』、『ご安心ください』、そんなことを言われたって、この状況で、安心なんてできる筈がない。
――要さん以外の男の人に、たとえ指一本たりとも触れられたくない。
でも、女の力では、男の人の力に適う筈なんてないだろうし……。
なんでもいいから、この状況から逃れる方法はないか、と色々思案しようとしても、恐怖と混乱でパニックに陥ってしまってる頭では、何も浮かばない。
そうこうしている間にも、私のことを拘束したままの隼さんが、会議室の中央に配置されている大きな机のすぐ傍まで移動していて。
隼さんが私の身体を反転させたかと思えば、私は机に背を向けるような体勢で、追い詰められるようにして、立たされてしまっていた。
お尻の辺りには、机の冷たく堅い感触が伝わってくる。
そこへ、
「まぁ、そうはいいましても、こういったところでとなりますと、少々痛みも伴うかもしれませんが、ご了承いただけると幸いです」
「――んっ!?」
再び聞こえてきた、隼さんの申し訳なさそうに、私のことを気遣うような声がした直後には、私はもう堅くて冷たい机の上へと背中から押し倒されて、隼さんの身体に組み敷かれてしまっていた。
当然、口はまだ隼さんの手に覆われて塞がれているため、声を出すことは叶わない。
暗闇に幾分慣れてきた視界には、薄暗い会議室の広い天井を背にした隼さんが、組み敷いた私のことを、静かに見下ろしている表情が、間近にはっきりと見て取れる。
その表情が、一瞬、要さんとダブって見えた気がした。
けれど、今目の前には、要さんじゃなく、確かに弟の隼さんが居るという、この受け入れがたい、残酷すぎる事実を突き付けられてしまった私の目からは、ポロポロと夥しい涙が、まるで滝のように、次から次へと溢れて止まらなくなってしまうのだった。
そんな私のことを嘲笑うかのように、無情にも、隼さんの顔がジリジリと、私との距離を詰めてくる。
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