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予期せぬ出来事とほころび

#16

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♪゜・*:.。. .。.:*・♪



「美菜、疲れただろう? もうしばらくこっちでゆっくりしてもいいんだぞ? 心配しなくても、仕事なら夏目がいるんだし。俺の方も特に今のところ急ぐような仕事もないし……」
「ありがとうございます。でも、全然大丈夫です。私、こうみえても体力には自信ありますからっ!」
「……いや、そういうことじゃなくて……」


お祖母ちゃんが亡くなった水曜日から、翌日木曜にはお通夜、金曜には葬儀というように、その数日間は慌ただしくあっという間に過ぎていった。


でも、それは、私にとっては好都合なことだった。


さすがに病院では泣いてしまったけれど。


それからは、葬儀場の手配やら役所への届けやらなんやかんや、要さんに手伝ってもらいながら色々奔走している間は、悲しんだり泣いたりしている暇なんてなかったからだ。


そして今は、告別式も出棺も無事に終えて、お祖母ちゃんの遺骨や遺品と一緒に、滞在中のホテルに着いて、お互い着替えも済ませたところ。


この数日間の慌ただしいスケジュールに追われて、悲しんでいるような暇もなかった私のことを心配してくれた要さんの優しい心遣いに、私がお断りを入れたところ、まだ納得いかない様子の要さんに渋られている、といった状況だ。


要さんの優しい心遣いは、とても嬉しいし、本当に有り難いことなのだけれど……。


こっちには、お祖母ちゃんだけじゃなく家族との思い出がいっぱいありすぎて、かえって辛くなってしまうから、速く東京に帰って、仕事をしている方が気が紛れるというのもあったり。


正直、要さんの家族や夏目さんにまで、これ以上迷惑をかけてしまうのは心苦しいし、嫌だ、っていうのも当然あった。


それにこれからは、ちゃんと一人でも大丈夫なように、周りの人に頼ってばかりもいられないし、っていう気持ちもあった。


一人になったからって悲しんで泣いてばかりもいられないんだし、しっかりしなきゃって。


そうしないと、お祖母ちゃんや両親だって、心配できっと成仏なんてできないだろうし。


だから、私の言葉にまだ半信半疑って感じで渋った表情をしている要さんに、なんとか納得してもらえるように、私は、極力元気な明るい声を出して。


「それより要さん。、見覚えないですか?」


くっつけて広げた両掌の上に"あるモノ"を乗せて、要さんの目の前に差し出すようにして見せると。


渋ったものから一変、驚いた表情をしている要さんからは、予想していた通りの言葉が返ってきて、私は思わず顔を綻ばせた。


「……って、だよな?」
「はいっ!」

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