【R18】訳あり御曹司と秘密の契約【本編完結・番外編不定期更新中】

甘くて苦いビターチョコのように

#２６

そんな、私の考えてることなんて、まるでお見通しだとでも言うように、私のことを抱き締める要さんの腕の力がいっそう強められた。

相変わらず、要さんは、脚上に股がる私のことを下から突き上げるようにして、軽快なリズムで揺すっているせいで、要さんの荒い息だって弾んでて、余裕なさげな声ではあるけれど。

「美菜」

それでも、しっかりと私の名前を呼んでくれる要さんは、私の顔を正面から優しくも艶を帯びた色気半端ない眼差しで、しかも上目遣い気味に見つめ返してきたかと思えば……。

軽快だった腰のリズムは、いつのまにやら、ゆったりとしたモノへと変えられて、それでも弱い箇所を要さん自身で撫でつけるようにして、巧みに攻めつつ。

甘くて蕩けるような深い口づけも何度も繰り返されて、それぞれの巧みな攻めのお陰で。

頭の芯から身体の芯までを溶かされてしまった私は、だんだんと何も考えられなくなっていく。

要さんの起こす快楽の波に流されてしまわないように、ただただしがみついて翻弄されることしかできない。

「……んっ……っんん、、はぁっ……ンン」

要さんによって飲み込まれた私の甘ったるい声と要さんの弾む吐息とが、重なりあった互いの唇の僅かな隙から、時折、微かに漏れて、広い寝室に響いては静寂に吸い込まれていく。

そうやって緩やかな快楽の波に漂っているうちに、いつのまにやら、気づけば、私の身体はベッドの上で、繋がりあったままの要さんに組み敷かれていて。

そんな私のことを優しい眼差しで見下ろしている要さんは、私の身体にゆっくりと覆い被さるようにして、それでも私に体重をかけないように優しくのし掛かってくると。

私の顔を挟むようにして両肘を突いて、吐息のかかるほどの至近距離で見つめられても、全てが蕩けてしまってる私は、要さんのことをボーッと見つめることしかできなくて。

そんな私のことを要さんは、愛おしそうに「美菜」と、呼びながら、チュッチュッと音を立てながら、額や瞼、鼻や頬という風に、至るところに、可愛くて優しいキスを降らせてくれるから。

嬉しくて堪らないだけじゃなくて、そんな可愛らしいことをする要さんのことが愛しくて堪らなくって、胸はキュンキュンさせられっぱなしで……。

きっと、私のことだから、さぞかし嬉しそうな表情をしていたんだろうと思う。

「そんなに可愛い表情をして、そんなに締め付けられたら……ヤバイ」

けれどまさか、急に困ったような苦しげな切羽詰まったような表情をした要さんに、そんなことを言われるとはつゆにも思わず。

それに、そんなことを言われたからといって、そんな自覚もないし、蕩けた頭では、どうすることもできないから、されるがままでいると……。

何故か、フウと盛大な溜め息をついた要さんが、

「とか言っても美菜は無自覚だもんなぁ……。まさか、夏目や木村にもこーじゃないだろうなぁ……」

となにやらブツブツと私が聞き取れないくらいの小さな声で呟いた後で。

「美菜、これだけは言っとく。

そういう可愛い表情をしていいのは、俺の前でだけだからな。夏目に限らず、他の男の前でも禁止だからな。

こーら、聞いてるのか？」

相も変わらず、蕩けた頭では、ちょっと拗ねたような口調になってる要さんの言ってることの全てを理解できないままで。

けれど、なにやら夏目さんにまで嫉妬しているようなニュアンスだけは感じとることができた私は、「はい！」と嬉しさ全開に応えてしまっていて。