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それぞれの思惑~後編~
#21
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後ろから伸びてきた副社長の長くて綺麗な指に顎を捉えられ上向かせられて。
至近距離で麗しい副社長の綺麗なお顔と対面させられてしまい、危うく息の根を止められてしまうところだった。
それをなんとか耐え忍んでポーッと綺麗なお顔を見つめていると、
「そんなモノ欲しそうに潤んだ目で見るな。病み上がりの美菜に無茶をさせたくない」
なんだか悩ましげにそう言ってきた副社長にギュッと強く抱きしめられてしまった。
どうやら、副社長は、病み上がりである私のことを気遣って、あーいうことは控えてくれていたようだ。
契約という鎖で繋いだ私なんかのために、そんなに優しくする必要なんてないのに。
こんなに優しくなんかしなくても、別に逃げたりしないのに。
もうこれ以上優しくしないでほしい。
これ以上、好きになんかなりたくないのに。 これ以上、好きになっても辛いだけなのに。
心にスットプをかけようと、なんとか頑張って踏ん張ってみても、ブレーキは壊れてしまっているのか、加速するだけで、スピードは少しも緩んでなんかくれない。
この優しさには裏があるって分かっていても、やっぱり副社長の優しさがなにより嬉しくて……。
麗しの副社長のためなら、どんなことだったしてあげたいなんてことを相も変わらず思ってしまっている。
たとえ、報われないと分かっていても、この想いは色褪せてしまうことはないんだろうと思う。
もうこうなったら、美優さんの身代わりでも偽りでも、なんだっていいから、副社長にとっての『要』にしてほしい。
それがどんなに辛いことになるのだとしても、必要としてもらえるんだったら、傍に居られるんだったらそれでいいーー。
いつか、煩わしくなって契約を解除されてしまうのだとしても。
副社長へのこの想いだけはもう偽っていたくない、もう偽ってなんかいられそうにない。
「……だって、仕方ないじゃないですか。いつもみたいに、可愛がってもらいたいって思っちゃうんだもん。キスして欲しいって思っちゃうんだもん。
何もかも全部、副社長のせいです」
「……美菜?」
私の言葉を聞いた副社長が驚いたような声を響かせるけれど、構うことなく振り返ると副社長の首に腕を絡ませ、そのまま形のいい柔らかな唇にそうっと口づけると。
微かに唇を重ね合わせたまま「好きです」 そう囁いた。
至近距離で麗しい副社長の綺麗なお顔と対面させられてしまい、危うく息の根を止められてしまうところだった。
それをなんとか耐え忍んでポーッと綺麗なお顔を見つめていると、
「そんなモノ欲しそうに潤んだ目で見るな。病み上がりの美菜に無茶をさせたくない」
なんだか悩ましげにそう言ってきた副社長にギュッと強く抱きしめられてしまった。
どうやら、副社長は、病み上がりである私のことを気遣って、あーいうことは控えてくれていたようだ。
契約という鎖で繋いだ私なんかのために、そんなに優しくする必要なんてないのに。
こんなに優しくなんかしなくても、別に逃げたりしないのに。
もうこれ以上優しくしないでほしい。
これ以上、好きになんかなりたくないのに。 これ以上、好きになっても辛いだけなのに。
心にスットプをかけようと、なんとか頑張って踏ん張ってみても、ブレーキは壊れてしまっているのか、加速するだけで、スピードは少しも緩んでなんかくれない。
この優しさには裏があるって分かっていても、やっぱり副社長の優しさがなにより嬉しくて……。
麗しの副社長のためなら、どんなことだったしてあげたいなんてことを相も変わらず思ってしまっている。
たとえ、報われないと分かっていても、この想いは色褪せてしまうことはないんだろうと思う。
もうこうなったら、美優さんの身代わりでも偽りでも、なんだっていいから、副社長にとっての『要』にしてほしい。
それがどんなに辛いことになるのだとしても、必要としてもらえるんだったら、傍に居られるんだったらそれでいいーー。
いつか、煩わしくなって契約を解除されてしまうのだとしても。
副社長へのこの想いだけはもう偽っていたくない、もう偽ってなんかいられそうにない。
「……だって、仕方ないじゃないですか。いつもみたいに、可愛がってもらいたいって思っちゃうんだもん。キスして欲しいって思っちゃうんだもん。
何もかも全部、副社長のせいです」
「……美菜?」
私の言葉を聞いた副社長が驚いたような声を響かせるけれど、構うことなく振り返ると副社長の首に腕を絡ませ、そのまま形のいい柔らかな唇にそうっと口づけると。
微かに唇を重ね合わせたまま「好きです」 そう囁いた。
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