フェチらぶ〜再会した紳士な俺様社長にビジ婚を強いられたはずが、世界一幸せな愛され妻になりました〜

羽村美海

文字の大きさ
上 下
82 / 91
蜜月なのに※冒頭を前の章の文末から移動しました

しおりを挟む
 数時間前まで奏に愛され尽くした余韻が色濃く残る身体には、またもやゾクゾクと怖気にも似た感覚が駆け巡る。

 昨夜のアレコレまでが脳裏に鮮明に浮かんでくる。

 たちまち下腹部の奥がズクンッと甘く疼いて、下肢にとろりとした感触をもたらす。

 おそらく昨夜奏に注がれた名残が蜜と共に溢れたのだろう。

 あたかも奏を欲して涎でも垂らしてでもいるかのようだ。

 いや、実際に奏を欲しているからこその反応である。

 自身の不埒な反応に言いようのない羞恥が込み上げる。顔にカアッと熱が集中して熱くてどうしようもない。

 けれどこのまま羞恥に身悶えていたのでは状況は変わらない。

 ――は、恥ずかしいけど、奏さんに早く触れて欲しい。そう伝えなきゃ。 

 穂乃香は羞恥に塗れつつも、意を決して言葉を紡ぎ出す。

「だ、旦那様である……奏さんに、は、早く、触れて欲しい……です」

 けれど奏に一部始終を見られているため、ただでさえか細い声が震えてしまう。

 羞恥に、顔どころか抜けるように白い肌をほんのりと桃色に染める穂乃香の様子に、奏はもう我慢ならないとばかりにごくりと喉を鳴らす。

 そのまま穂乃香に覆い被さってくるかと思いきや、奏からは感慨深げな呟きが降り注いだ。

「旦那様……か、なんとも良い響きだな」

 奏のレアな照れ顔に穂乃香の胸はまたもやキュンと甘い音色を奏でた。

 そこに再び、奏から俺様仕様の意地の悪いバリトンボイスが追い打ちをかけてくる。

「だが俺にどこに触れて欲しいのか言葉にしてくれないと、望みを叶えてやることができない。穂乃香、旦那様である俺にどこに触れて欲しいんだ? ん?」

 ――うっ……。で、ですよね、そうなりますよね。

 穂乃香は今度こそ覚悟を決めて思い切るように口を開いた。

「旦那様である奏さんに、胸と足の間に触れて欲しいですっ!」

 勢い任せに放った声は色気の欠片もないものだった。だが、奏は満足そうに形の良い唇を器用に片方だけもちあげる。

「〝足の間〟というのは、どこのことだ? そう言って問い詰めたいところだが、これ以上苛めて離婚なんてことになったら大変だからな。譲歩して、可愛い新妻の望みをこれからたっぷりと叶えてあげるよ。先ずは昨夜の名残を掻き出しておかないとなぁ」

 嬉々とした表情で宣言するやいなや、羞恥に駆られている穂乃香の身体をゴロンと転がすと、見る間に、四つん這いの体勢にさせられていた。

「ひゃッ⁉」

 突然のことに思考が追いつかない。

 驚嘆した穂乃香が高い声を放った時には、両の尻たぶを鷲掴みにした奏によって、秘孔をクパッと左右に開かれていた。

 みだりがましくヒクつく蜜口からは、蜂蜜のようにドロリとした粘着液がしたたり落ちる感触が内腿にまで伝わってくる。

「心配しなくても、掻き出した後でたっぷりと注ぎ込んであげるよ。穂乃香のお望み通り俺の子どもを孕むまで」

 同時に奏の熱い吐息が蜜口を掠めた。

 そうして続け様に、奏の長く節くれ立った指がズブリと蜜洞を押し開きながら深く穿たれる。

 当然のことながら、ただ穿たれただけではない。

 媚壁を引っ掻くように擦り立て、絶えず忙しなく蜜洞を攪拌し続けたのである。

 昨夜自ら注ぎ込んだ白濁を一滴残らず掻き出して、これから新たな子種を注ぎ込むためにーー。

「あっ、いきなり、ダメぇ……や、あぁぁっ……!」

 たちまち余韻の残る穂乃香の身体は、緩やかな快感の波に呑まれてしまう。

 この嬌声を皮切りに、本物の夫婦となった穂乃香と奏の蕩けるように甘い初夜の幕が再び開け放たれたのである。

 この日、穂乃香のあえかな嬌声は、いつまでもいつまでも途切れることはなかった。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

不埒な一級建築士と一夜を過ごしたら、溺愛が待っていました

入海月子
恋愛
有本瑞希 仕事に燃える設計士 27歳 × 黒瀬諒 飄々として軽い一級建築士 35歳 女たらしと嫌厭していた黒瀬と一緒に働くことになった瑞希。 彼の言動は軽いけど、腕は確かで、真摯な仕事ぶりに惹かれていく。 ある日、同僚のミスが発覚して――。

【完結】西の辺境伯令嬢は、東の辺境伯へと嫁ぐ

まりぃべる
ファンタジー
リューリ=オークランスは十七歳になる西の辺境伯の娘。小さな体つきで見た目は大層可憐であるが、幼い頃より剣を振り回し馬を乗り回していたお転婆令嬢だ。 社交場にはほとんど参加しないリューリだが一目見た者は儚い見た目に騙され、見ていない者も噂で聞く少女の見た目に婚約したいと願う者も数多くいるが、少女はしかし十七歳になっても婚約者はいなかった。 そんなリューリが、ある事から東の辺境伯に嫁ぎ、幸せになるそんなお話。 ☆まりぃべるの世界観です。現実世界でも同じような名前、地名、単語などがありますが関係ありません。 ☆現実世界とは似ていますが、異なる世界です。現実ではそんな事起こる?って事も、この世界では現象として起こる場面があります。ファンタジーです。それをご承知の上、楽しんでいただけると幸いです。 ☆投稿は毎日する予定です。 ☆間違えまして、感想の中にネタバレがあります…感想から読む方はお気をつけ下さい。

所詮、わたしは壁の花 〜なのに辺境伯様が溺愛してくるのは何故ですか?〜

しがわか
ファンタジー
刺繍を愛してやまないローゼリアは父から行き遅れと罵られていた。 高貴な相手に見初められるために、とむりやり夜会へ送り込まれる日々。 しかし父は知らないのだ。 ローゼリアが夜会で”壁の花”と罵られていることを。 そんなローゼリアが参加した辺境伯様の夜会はいつもと雰囲気が違っていた。 それもそのはず、それは辺境伯様の婚約者を決める集まりだったのだ。 けれど所詮”壁の花”の自分には関係がない、といつものように会場の隅で目立たないようにしているローゼリアは不意に手を握られる。 その相手はなんと辺境伯様で——。 なぜ、辺境伯様は自分を溺愛してくれるのか。 彼の過去を知り、やがてその理由を悟ることとなる。 それでも——いや、だからこそ辺境伯様の力になりたいと誓ったローゼリアには特別な力があった。 天啓<ギフト>として女神様から賜った『魔力を象るチカラ』は想像を創造できる万能な能力だった。 壁の花としての自重をやめたローゼリアは天啓を自在に操り、大好きな人達を守り導いていく。

俺を信じろ〜財閥俺様御曹司とのニューヨークでの熱い夜

ラヴ KAZU
恋愛
二年間付き合った恋人に振られた亜紀は傷心旅行でニューヨークへ旅立つ。 そこで東條ホールディングス社長東條理樹にはじめてを捧げてしまう。結婚を約束するも日本に戻ると連絡を貰えず、会社へ乗り込むも、 理樹は亜紀の父親の会社を倒産に追い込んだ東條財閥東條理三郎の息子だった。 しかも理樹には婚約者がいたのである。 全てを捧げた相手の真実を知り翻弄される亜紀。 二人は結婚出来るのであろうか。

契約結婚のはずが、幼馴染の御曹司は溺愛婚をお望みです

紬 祥子(まつやちかこ)
恋愛
旧題:幼なじみと契約結婚しましたが、いつの間にか溺愛婚になっています。 夢破れて帰ってきた故郷で、再会した彼との契約婚の日々。 ★第17回恋愛小説大賞(2024年)にて、奨励賞を受賞いたしました!★ ☆改題&加筆修正ののち、単行本として刊行されることになりました!☆ ※作品のレンタル開始に伴い、旧題で掲載していた本文は2025年2月13日に非公開となりました。  お楽しみくださっていた方々には申し訳ありませんが、何卒ご了承くださいませ。

身代わり婚~暴君と呼ばれる辺境伯に拒絶された仮初の花嫁

結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
【決してご迷惑はお掛けしません。どうか私をここに置いて頂けませんか?】 妾腹の娘として厄介者扱いを受けていたアリアドネは姉の身代わりとして暴君として名高い辺境伯に嫁がされる。結婚すれば幸せになれるかもしれないと淡い期待を抱いていたのも束の間。望まぬ花嫁を押し付けられたとして夫となるべく辺境伯に初対面で冷たい言葉を投げつけらた。さらに城から追い出されそうになるものの、ある人物に救われて下働きとして置いてもらえる事になるのだった―。

イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?

すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。 「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」 家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。 「私は母親じゃない・・・!」 そう言って家を飛び出した。 夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。 「何があった?送ってく。」 それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。 「俺と・・・結婚してほしい。」 「!?」 突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。 かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。 そんな彼に、私は想いを返したい。 「俺に・・・全てを見せて。」 苦手意識の強かった『営み』。 彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。 「いあぁぁぁっ・・!!」 「感じやすいんだな・・・。」 ※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。 ※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。 それではお楽しみください。すずなり。

地味系秘書と氷の副社長は今日も仲良くバトルしてます!

めーぷる
恋愛
 見た目はどこにでもいそうな地味系女子の小鳥風音(おどりかざね)が、ようやく就職した会社で何故か社長秘書に大抜擢されてしまう。  秘書検定も持っていない自分がどうしてそんなことに……。  呼び出された社長室では、明るいイケメンチャラ男な御曹司の社長と、ニコリともしない銀縁眼鏡の副社長が風音を待ち構えていた――  地味系女子が色々巻き込まれながら、イケメンと美形とぶつかって仲良くなっていく王道ラブコメなお話になっていく予定です。  ちょっとだけ三角関係もあるかも? ・表紙はかんたん表紙メーカーで作成しています。 ・毎日11時に投稿予定です。 ・勢いで書いてます。誤字脱字等チェックしてますが、不備があるかもしれません。 ・公開済のお話も加筆訂正する場合があります。

処理中です...