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女装男子とまさかの熱夜!?
②
しおりを挟む無自覚な恋のお強請り攻撃を受け、女装男子に戻りかけていたはずのカレンが再び雄の姿に豹変した。
そうしてあたかも小説や漫画によく登場してくる、俺様ヒーローのごとく、えらく傲慢な口吻で宣言するかのように念押ししてくるという……。
これまた恋の見かけと同じく、平々凡々だった日常にはまったくといっていいほどに無縁だと思っていたことが起こっている。
ーーこれも酔っているせいなのかな? イヤイヤ、こんなの酔っているからに決まってるでしょ。
朝になったら、泡沫の夢となって跡形もなく消え去っているのだろう。
ーーそうでもないと、こんなことあり得ないんだから。
元々、恋は恋愛ごとに疎くて鈍いうえに、楽観的な性格の持ち主だ。
自分では解決できそうもない、何もかもを酔ったせいにして、本能の赴くままに身を委ねるのだった。
こうなってしまえば、鬼に金棒。恋に怖いものなど何もない。
けれどもはや獣と化してしまったカレンからなされる思いの外丁寧な愛撫にかかってしまえば、不慣れどころか未経験の恋など呆気なく陥落させられてしまう。
その鮮やかさと言ったらなかった。
ただでさえほろ酔い気分の心地よさの中。先程までの優しいキスは何だったのかと思うほどに、キスはどんどん激しいものとなり、より一層深まり濃厚さを増してゆく。
口腔を余すことなく蹂躙し、戸惑う恋の舌をカレンの滾るように熱くねっとりと舌が逃がさないとばかりに搦め捕る。
「あっ……ふ、んぅ」
辺りに、互いの乱れた熱い吐息と溢れ出た唾液とが奏でる、濡れた音が淫らに響く。
その中で互いの肌と舌同士が擦れ合い、縺れあうたびに、甘やかな痺れが次々に生じる。
身体の奥深くまで飛び火して、小さな火種が共鳴でもするかのように、燻り続ける。
それらが愛撫とともに徐々に身体の隅々にまで及んで、滾りに滾ったマグマのように炎をくゆらせながら駆け巡る。
やがて膨張し、今にも爆ぜてしまいそうだ。
その頃には、恋の身体からくたりと力が抜けきっていた。
ただただカレンの腕の中で、潤みきった眼から涙を流しつつ、身悶えながら身を捩り、カレンの背中に必死になってしがみつくのが精一杯だ。
恋にはもう何かを思考するような余裕など一切ない。
そんな有様だったものだから、カレンによって衣類を一枚一枚花弁でも捲るようにして、焦らすように剥ぎ取られ、一糸まとわぬあられもない姿を晒していることにも、まるで気づいてなどいなかった。
気づいたときには、甘美なキスで口腔を蹂躙し尽くしていたはずの、カレンの大きな手により、恋の華奢なスタイルの割には、女性らしい豊かな丸みを帯びた胸の膨らみは、むんずと鷲掴みにされており。
「あっ、はぁ……んぅ」
無意識に半開きとなった恋の、微かな唇のあわいから、鼻から抜けたような、悩ましげな甘ったるい声音がまろび出る。
そんなタイミングで、ふにふにとたわわな果実の質量と柔らかさを確かめるようにして、揉み込みつつ。
「穢れを知らない恋の身体はどこもかしこも綺麗だな。それに触り心地も申し分ないし、感度も頗るいい。なにより俺の手で善がる恋は途轍もなく可愛いくて、どうにも堪らない」
キスこそ中断しているものの、互いの唇を触れあわせたままの状態で、恋への称賛と感想とを恥ずかしげもなく口にするカレン。
途端に、恋は顔どころか全身から火でも噴くんじゃないかと思うほど、カァッと紅潮し全身を滾らせる。
そんな初心な反応を見せる恋のことを、存外愛おしげに見遣ったカレンが破顔する。
今にもとろんと蕩けてしまいそうな、極上の微笑だ。
涙が滲んで潤みを帯びた視界にアップに映し出されているカレンの、色香ましましの綺麗な微笑に恋の身も心も釘付けになる。
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