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episodo:14
#7
しおりを挟む私の膝にちょこんと乗ったミルクは、まるでオモチャでも見つけたみたいに、私の服の袖を前脚で器用に挟みながら、夢中でパシパシとジャレついてくる。
「あー! こらこら、オモチャじゃないんだからねぇ?」
私が騒ぎながらミルクに声を掛けていると、 私の隣に腰を降ろした海翔が、眩いほどの柔らかい笑みを浮かべて、フッと笑い声を漏らしながら見つめ返してくる。
はしゃいだ私が、
「海翔ー。 ミルクってば、ちょっと見ない間に大きくなってない?」
ジャレてくるミルクの相手をしながら、海翔に向き直って問いかければ、
「最近よく食うからな~。芽依と一緒で太ったんじゃねぇの?」
なんて、今度は悪戯っぽい笑みを零しながら、面白そうにからかうように言ってくる。
「ヒッドイ! 太ったんじゃないもんね~!」
ムッとした私がミルクに話しかけてると、
「やっと笑った…。 悔しいけど、やっぱりミルクには敵わねぇな…」
苦笑を漏らしながら呟いたと思ったら、 次の瞬間には海翔の胸に横から抱き寄せられていた。
「……海翔?」
急に、なんだろう?って思いながら海翔の顔を見上げると、
「芽依、約束してほしい…。 ってか、これから俺が言うようにしろっ! もう、俺の前で無理して笑うな!
無理して笑ったら、お仕置きだからな? 芽依が恥ずかしくてイヤだってことばっかさせるからな?
おい、こら、ボケってしてっけど、ちゃんと聞いてんのかよ?」
いつもの優しい口調と違って、 眉間に深いシワをいくつも刻んで、怒ったように、有無を言わせない物言いで言ってきた海翔に言葉が詰まってしまった。
私は、 膝上のミルクに視線を固定して、 グッと目元に力を込めて、唇を強く噛みしめた。
気を抜いてしまったら、涙が止めどなく込み上げてきそうで。
泣いたりして、これ以上海翔を困らせたくはないから……。
「全然、解ってねーじゃん。 そうやって、なんでもかんでも我慢すんなよ! 言っただろ? 芽依の支えになりたいって。
なんで一人で抱え込もうとすんだよっ! 俺って、そんなに頼りになんねぇのかよ?
俺って芽依にとって、ミルク以下ってことかよっ…」
でも、 海翔の悲しそうな声色を聞いてるうちに、 もう堪えることなんてできなくなってしまって。
まるで、ダムが決壊したみたいに涙が溢れて止まらなくなった。
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