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episodo:14
#5
しおりを挟む「ふっ。冗談だよ」
バーカ…って言いながら、私の額に軽くコツンと額をぶつけてくる海翔。
「…へ?」
赤面して固まってた私がポカンとしてると、
「芽依はホントにカワイイよな? 苛め甲斐があるからイッパイ苛めたくなる」
今度は、 そんなことを言ってきた。
そ、それは、流石に嬉しくないんですけど……。
当然、ムッとしてしまった私は、
「ヒドイッ!」
海翔に非難の声を投げ返した。
それなのに、
「こうやって、すぐに反応が返ってくるってことが、どんなに幸せなことかって。身をもって痛いほど実感した。
芽依、生きててくれてホントにありがと。 俺、この一月、ずっと怖くて堪んなかった。 もう、あんな想いなんてしたくねぇからな?」
思い出しているのか、綺麗な濃いブラウンの瞳を潤ませながら、ソッと優しくふわりと包み込むようにして抱きしめられてしまい、なんにも言えなくなってしまって。
ただ黙って抱きしめられていた。
微かに震える海翔のあったかい体温を感じながら、この幸せを二人で噛み締めるようにして。
あの後、驚いたのが、私が意識を失ってる間に、海翔がうちの両親に結婚の許しを貰っていたってことだ。
まぁ、確かに、 うちの両親は理解がある方だとは思うけれど。
夕方病院に来たお母さんから聞かされた時には、ただただ驚きでしかなかった。
海翔からは挨拶したとしか聞いてはいなかったし……。
お母さんの話によれば、突然のことで、渋っていたお父さんに、許しを貰えなくてもいいからせめて付き添わせて欲しい… そう言って、海翔が何度も頭を下げるもんだから、根負けしたお父さんが了承したらしい。
海翔のことを気に入った、お母さんの協力もあったようだ。
まぁ、お母さん情報だから定かじゃないんだけど……。
そして、その日の夜は、海翔は朝までずっと傍に居てくれた。
いくら個室だと言っても、ゆっくり眠れないだろうと思って 一人で大丈夫だって何度言っても、
『部屋に帰って、また明日ここに来るのが面倒臭い』 っていう不機嫌そうな声が返ってくるだけだった。
本当は、入院なんて初めてのことだったし、 まだ身体も思うようには動いてはくれないし、シーンと静まり返った病室で一人っきりの夜を過ごす そう思っただけで不安でしょうがなかった。
だから、海翔がそう言って傍に居てくれたことがとっても嬉しかった。
事故に遭うまでは、あんなに不安で一杯だった筈なのに、あまりに幸せすぎて怖いくらいだ……。
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