いじわるドクター

羽村美海

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episodo:5

#10

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*芽依side*


「ヒック……海翔…さん、傍に…居ても…いい…の?」


ベッドに優しく寝かしてくれて、

優しい声を掛けながら布団を掛けてくれるから、

迷惑じゃないのかって気になってしまう。


私が泣いちゃったから、

海翔さんが仕方なく優しくしてくれてるんじゃないかって……。





「俺が、芽依の傍に居たいから居るんだ。俺も芽依のこと好きだから、謝ったりするなよ」




布団の中から恐る恐る聞いてみると、

スッと滑り込むように私の隣に入って来たと思ったら、

ギュッ…と強く抱きしめながら耳元で囁くように言ってくれた。



……今、

私のこと”好き”って言ってくれたんだよね?

聞き間違いとかじゃないんだよね?


でも、それでもまだ信じられなくて。



「ホントに…?」



海翔さんから少し離れて、

ちゃんと顔を見て確かめようとしたら…



「あぁ。だから、もう泣くなよ」



そう言いながら、

もっと強く抱きしめてくれた。


やっと、

本当なんだって実感することができて、余計涙が溢れてくる。


これ以上泣いて海翔さんを困らせたくなんかないのに……。


海翔さんへの想いが嬉し涙と一緒に溢れてきて止まらない。



「ごめん、ムリみたい。嬉しいから…止まらないんだもん」


「解ったから、謝るなよ」



海翔さんのあったかい胸に、

これでもかってぐらいに顔をすり寄せて、

私も海翔さんにギュッと強く抱きついた。


海翔さんのあったかい温もりをもっと傍で感じたいから……。



泣き止んだ私は、

海翔さんに甘えるようにして、

あったかい腕の中で抱きしめられて幸せに浸っている。



「なぁ、芽依」


不意に呼ばれて、

愛おしい大好きな人の顔を見ると、



「なに?海翔さん」



何故か、

とても不安そうな表情をしている海翔さんが、

私を真っ直ぐに見つめていた。


どうして…

そんな顔をしてるの?


キュッと胸を締め付けられるような痛みを感じてしまった。



「1つだけ、聞いてもいいか?」



まるで、

声を絞り出すようにして、

苦しそうに言葉を紡ぎ出す海翔さんから、


切なさが痛いくらいに伝わってくるような気がして……。



「……芽依には、付き合ってるヤツが居るんだろ?」


……え?


居ると思ってたの……?


それで、そんなに不安そうにしてるの?


ゴクンと固唾を飲んで待っていたものは、

拍子抜けしちゃうようなものだった。


「そんな人居ないよ?居たら海翔さんと、……こんなこと、したりしないよ…」


だから、

そんなこと不安に思って欲しくなくって。


すぐに伝えたのに、

海翔さんの表情はさっきよりも、

もっと不安そうなものになっていく。
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