22 / 201
episodo:4
#2
しおりを挟む
「お、それ、うちの企画が通ったやつだよな?海老のすり身使ったやつ。
どれどれ……うん、うまいなぁ」
楽しそうに言いながら、
私が食べてるお弁当を覗き込んできた主任が、
あろうことか私がお箸で挟んで食べようとしてた海老だんごを、
私の手を掴んだかと思うと、あっという間にパクリと口に入れてモグモグと咀嚼し始めた。
最後の楽しみにとっておいたのに……。
「あー、それっ。なんで食べちゃうんですかぁ!もう、信じられない。楽しみにしてたのにー」
「お前なぁ、そんなにギャーギャー怒ることないだろう?コーヒーで勘弁しろ。奢ってやるから」
「じゃぁ、カフェオレにしてください」
「はいはい、わかったよ。日下は?何がいい?」
「……え、あぁ、ありがとうございます。私も同じものを…」
急に呼ばれて驚いた優が、
いつになく遠慮がちに言うのを聞きながら、私は残りのお弁当を片付けていた。
主任は私たちに背中を向け、
休憩室の奥にある自販機にコインをじゃらじゃらと投入している。
視線を感じて優を見ると、
ニヤニヤして何か言いたげだったけど、
大体の予想がつくから無視を決め込んだ。
「ほら、カフェオレ2つ。
弁当食ってすぐによくそんな甘いの飲めるな。お前ら舌がおかしんじゃないのかぁ?」
主任がテーブルに紙コップを優と私の前に置いてから、
近くのテーブルの椅子を私の横へガタン…と引きずり寄せて、
ゆっくりと腰を下ろしながら面白そうに言ってくる。
「大きなお世話ですよ。主任、タバコ吸いに来たんじゃないんですか?早く吸わないと休憩時間終わっちゃいますよ」
「お前に言われなくてもわかってんだよ。うるさいやつだなぁ、高岡芽依は。そんなんじゃ男にモテないぞ?なぁ、日下」
「え、あぁ、そんなことないんじゃないですか?最近年上の彼と仲がいいみたいだし。ねえ、芽依」
また、優は、余計なことを……。
「へぇ、物好きがいて良かったなぁ」
「ゲホッ」
「芽依、急ぎすぎだってばぁ」
「お前、なに慌ててんだよ…」
カフェオレを飲んでた私は文句を言おうとして、思いっきり咳き込んでしまい、
二人に突っ込まれ、大笑いされてしまった。
「ゴホッ…、ゴホッ…」
どうも気管に入ってしまったようで、咳が止まらず苦しんでると、
「おいおい、大丈夫なのかよ?まったくお前は落ち着きのないやつだなぁ」
って言って、近くにいる主任が笑いながら私の背中を擦り始めた。
そしたら、
「あ、私、今日、トイレ掃除の当番だったんだ。じゃ、お先に行ってきます!」
なんて、
いかにも棒読みの優が、
私のと自分の空になってるお弁当の容器をゴミ箱に捨ててから、休憩室を出て行こうとしている。
こっそり、
私にだけ見えるように、下手なウインクをして、しかも満面にニッコリと笑みを浮かべて…。
あまりにも露骨過ぎて感心してしまう。
「あぁ、日下、頑張ってなぁ」
「はぁい!」
出る間際に、主任と呑気に言葉を交わしてから出て行ってしまった。
「お前、大丈夫か?涙目になってるじゃねえかよ」
「だ、大丈夫です。どうも、ありがとうございます…」
漸く、落ち着いた私が、
ふっと顔を上げると、主任の顔が思ったよりも至近距離にあって、私の顔を覗き込んでくる。
どれどれ……うん、うまいなぁ」
楽しそうに言いながら、
私が食べてるお弁当を覗き込んできた主任が、
あろうことか私がお箸で挟んで食べようとしてた海老だんごを、
私の手を掴んだかと思うと、あっという間にパクリと口に入れてモグモグと咀嚼し始めた。
最後の楽しみにとっておいたのに……。
「あー、それっ。なんで食べちゃうんですかぁ!もう、信じられない。楽しみにしてたのにー」
「お前なぁ、そんなにギャーギャー怒ることないだろう?コーヒーで勘弁しろ。奢ってやるから」
「じゃぁ、カフェオレにしてください」
「はいはい、わかったよ。日下は?何がいい?」
「……え、あぁ、ありがとうございます。私も同じものを…」
急に呼ばれて驚いた優が、
いつになく遠慮がちに言うのを聞きながら、私は残りのお弁当を片付けていた。
主任は私たちに背中を向け、
休憩室の奥にある自販機にコインをじゃらじゃらと投入している。
視線を感じて優を見ると、
ニヤニヤして何か言いたげだったけど、
大体の予想がつくから無視を決め込んだ。
「ほら、カフェオレ2つ。
弁当食ってすぐによくそんな甘いの飲めるな。お前ら舌がおかしんじゃないのかぁ?」
主任がテーブルに紙コップを優と私の前に置いてから、
近くのテーブルの椅子を私の横へガタン…と引きずり寄せて、
ゆっくりと腰を下ろしながら面白そうに言ってくる。
「大きなお世話ですよ。主任、タバコ吸いに来たんじゃないんですか?早く吸わないと休憩時間終わっちゃいますよ」
「お前に言われなくてもわかってんだよ。うるさいやつだなぁ、高岡芽依は。そんなんじゃ男にモテないぞ?なぁ、日下」
「え、あぁ、そんなことないんじゃないですか?最近年上の彼と仲がいいみたいだし。ねえ、芽依」
また、優は、余計なことを……。
「へぇ、物好きがいて良かったなぁ」
「ゲホッ」
「芽依、急ぎすぎだってばぁ」
「お前、なに慌ててんだよ…」
カフェオレを飲んでた私は文句を言おうとして、思いっきり咳き込んでしまい、
二人に突っ込まれ、大笑いされてしまった。
「ゴホッ…、ゴホッ…」
どうも気管に入ってしまったようで、咳が止まらず苦しんでると、
「おいおい、大丈夫なのかよ?まったくお前は落ち着きのないやつだなぁ」
って言って、近くにいる主任が笑いながら私の背中を擦り始めた。
そしたら、
「あ、私、今日、トイレ掃除の当番だったんだ。じゃ、お先に行ってきます!」
なんて、
いかにも棒読みの優が、
私のと自分の空になってるお弁当の容器をゴミ箱に捨ててから、休憩室を出て行こうとしている。
こっそり、
私にだけ見えるように、下手なウインクをして、しかも満面にニッコリと笑みを浮かべて…。
あまりにも露骨過ぎて感心してしまう。
「あぁ、日下、頑張ってなぁ」
「はぁい!」
出る間際に、主任と呑気に言葉を交わしてから出て行ってしまった。
「お前、大丈夫か?涙目になってるじゃねえかよ」
「だ、大丈夫です。どうも、ありがとうございます…」
漸く、落ち着いた私が、
ふっと顔を上げると、主任の顔が思ったよりも至近距離にあって、私の顔を覗き込んでくる。
0
お気に入りに追加
790
あなたにおすすめの小説

クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。
海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。
ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。
「案外、本当に君以外いないかも」
「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」
「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」
そのドクターの甘さは手加減を知らない。
【登場人物】
末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。
恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる?
田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い?
【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される
奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。
けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。
そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。
2人の出会いを描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630
2人の誓約の儀を描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる