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episodo:2
#2
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*芽依side*
「……ん、あれ?あ、寝ちゃってたんだ…」
「お前なぁ、やっと目覚ましたのかよ?
早くしろ、送ってく」
目を覚まして、ボーッ…としてる私に、
正面の席から、呆れたように言って来る松岡主任の声で、やっと頭が働き始めた。
「え、大丈夫ですよ。近くだし」
「今、何時だと思ってんだよ?お前を一人で帰せる訳ないだろ。一応、女だろうが、行くぞ、ほら、早く来い!」
「ちょっと、主任、待って下さいよっ。そんな、慌てなくても」
私が申し出を断ると、
明らかに機嫌の悪そうな表情になっていく松岡主任に急かすように言われて、
おとなしく主任の後を追いかけた。
いつのまにか、掛けてくれていた主任の上着を抱えて。
今までも、
残業で遅い時間になると、私が断っても、上司の役目だと言って、
車で通勤してる主任がこうして送ってくれることはあった。
でも、いつもは、
今日みたいに高圧的じゃないし、こんなに機嫌の悪い主任を見るのは初めてのことだった。
駐車場まで来ると、
先に運転席に乗り込んで、助手席のドアを開けて私に乗るように促してくる主任は、
さっきと変わらず、凄く機嫌が悪くて、怒った表情をしたままだ。
いつもより、
口数も少なく感じるし…。
どうしたんだろう。
私が寝ちゃうまでは、いつもと変わらない様子だったのに。
私、何か怒らせるようなことしちゃったのかなぁ。
「…主任、これ、ありがとうございます…」
「ん?あぁ、適当に置いといていいから」
助手席に座りながら、
恐る恐る、上着のお礼を言った私にチラッと視線だけ向けると、
主任からは、抑揚のない冷たい声が返ってきた。
主任がどうしてそんなに怒ってるのかが解らなくて、どうしたらいいのか解らなくなってしまう。
もし、仕事のことなんだとしたら、いつも直ぐに言ってくれるのに。
今までも、そうやって、指導してくれていたのに…。
入社して半年以上経つのに、私が思った以上の仕事ができないからかな。
だとしても、今までみたいに、はっきりと言って欲しい。
こんなの、松岡主任らしくないよ。
何が原因でそんなに怒っているのかが、どうしても気になった私は、
相変わらず機嫌が悪そうな表情をしたままで…、
運転を始めた主任に思いきって聞いてみることにした。
「…主任、私、仕事で何かミスでもしてたんですか?」
「……は?!どうして」
そしたら、
一瞬…考えを巡らすような素振りをした主任が、驚いたような声色で聞き返してきた。
「え、だって、凄く…怒ってるみたいだから…」
「……あぁ、ちょっとな。
お前には関係ないことだから気にするな」
そうは言われても、
前を見たまんまで、こちらに少しも視線を向けようとしない主任に不安になってしまう。
「本当ですか?」
「あぁ、本当だって」
「……なんか、今日の主任、主任らしくないですよ。いつもはっきり言ってくれるのに…」
何度、聞いても、誤魔化されてるような気がして…、スッキリしなくて、
気づいたら、思ったままを正直に口にしてしまっていた。
それを聞いた主任が、
ボソボソと小さな声で何かを呟くように言った気がしたけど…、
私には、エンジン音の方が大きくて、よくは聞こえなかった。
「……え?」
「…俺らしいって、どんなだよ?」
なんて言ったのか聞き返した私に、主任から返ってきた言葉は、
今まで…一度も聞いたことのないような冷たいものだった。
「…,主任?」
「俺のこと、知りもしねえで、いい加減なこと言うな!」
今度は、怒鳴るような声で言われて、
怖くて…ビクッと肩が跳ね上がってしまった。
「……すみません。私、勝手なこと言って…」
でも、
私の謝罪の声を聞いた途端に、
主任が急に我にかえったように、いつものような優しい口調に戻って、
「悪い。気が立ってただけだから。
そんな顔すんな。怖がらせて悪かった…ごめんな…」
私の頭を、少し乱暴に撫でまわし始めた。
「ちょっと、主任、髪がぐしゃぐしゃになるじゃないですかー!もう、やめて下さいってぇ」
「ウルサイ。ストレス発散だ!
お前には、いつも手を焼いてるからな、おとなしく黙って発散させろ」
やっと、いつもの主任に戻ってホッとしたけど…、何となく違和感を感じてしまった。
けど、最近、残業も続いているし、色々…仕事でストレスを抱えているんだろうなきっと。
そう考えると、私は漸く納得することができた。
「……ん、あれ?あ、寝ちゃってたんだ…」
「お前なぁ、やっと目覚ましたのかよ?
早くしろ、送ってく」
目を覚まして、ボーッ…としてる私に、
正面の席から、呆れたように言って来る松岡主任の声で、やっと頭が働き始めた。
「え、大丈夫ですよ。近くだし」
「今、何時だと思ってんだよ?お前を一人で帰せる訳ないだろ。一応、女だろうが、行くぞ、ほら、早く来い!」
「ちょっと、主任、待って下さいよっ。そんな、慌てなくても」
私が申し出を断ると、
明らかに機嫌の悪そうな表情になっていく松岡主任に急かすように言われて、
おとなしく主任の後を追いかけた。
いつのまにか、掛けてくれていた主任の上着を抱えて。
今までも、
残業で遅い時間になると、私が断っても、上司の役目だと言って、
車で通勤してる主任がこうして送ってくれることはあった。
でも、いつもは、
今日みたいに高圧的じゃないし、こんなに機嫌の悪い主任を見るのは初めてのことだった。
駐車場まで来ると、
先に運転席に乗り込んで、助手席のドアを開けて私に乗るように促してくる主任は、
さっきと変わらず、凄く機嫌が悪くて、怒った表情をしたままだ。
いつもより、
口数も少なく感じるし…。
どうしたんだろう。
私が寝ちゃうまでは、いつもと変わらない様子だったのに。
私、何か怒らせるようなことしちゃったのかなぁ。
「…主任、これ、ありがとうございます…」
「ん?あぁ、適当に置いといていいから」
助手席に座りながら、
恐る恐る、上着のお礼を言った私にチラッと視線だけ向けると、
主任からは、抑揚のない冷たい声が返ってきた。
主任がどうしてそんなに怒ってるのかが解らなくて、どうしたらいいのか解らなくなってしまう。
もし、仕事のことなんだとしたら、いつも直ぐに言ってくれるのに。
今までも、そうやって、指導してくれていたのに…。
入社して半年以上経つのに、私が思った以上の仕事ができないからかな。
だとしても、今までみたいに、はっきりと言って欲しい。
こんなの、松岡主任らしくないよ。
何が原因でそんなに怒っているのかが、どうしても気になった私は、
相変わらず機嫌が悪そうな表情をしたままで…、
運転を始めた主任に思いきって聞いてみることにした。
「…主任、私、仕事で何かミスでもしてたんですか?」
「……は?!どうして」
そしたら、
一瞬…考えを巡らすような素振りをした主任が、驚いたような声色で聞き返してきた。
「え、だって、凄く…怒ってるみたいだから…」
「……あぁ、ちょっとな。
お前には関係ないことだから気にするな」
そうは言われても、
前を見たまんまで、こちらに少しも視線を向けようとしない主任に不安になってしまう。
「本当ですか?」
「あぁ、本当だって」
「……なんか、今日の主任、主任らしくないですよ。いつもはっきり言ってくれるのに…」
何度、聞いても、誤魔化されてるような気がして…、スッキリしなくて、
気づいたら、思ったままを正直に口にしてしまっていた。
それを聞いた主任が、
ボソボソと小さな声で何かを呟くように言った気がしたけど…、
私には、エンジン音の方が大きくて、よくは聞こえなかった。
「……え?」
「…俺らしいって、どんなだよ?」
なんて言ったのか聞き返した私に、主任から返ってきた言葉は、
今まで…一度も聞いたことのないような冷たいものだった。
「…,主任?」
「俺のこと、知りもしねえで、いい加減なこと言うな!」
今度は、怒鳴るような声で言われて、
怖くて…ビクッと肩が跳ね上がってしまった。
「……すみません。私、勝手なこと言って…」
でも、
私の謝罪の声を聞いた途端に、
主任が急に我にかえったように、いつものような優しい口調に戻って、
「悪い。気が立ってただけだから。
そんな顔すんな。怖がらせて悪かった…ごめんな…」
私の頭を、少し乱暴に撫でまわし始めた。
「ちょっと、主任、髪がぐしゃぐしゃになるじゃないですかー!もう、やめて下さいってぇ」
「ウルサイ。ストレス発散だ!
お前には、いつも手を焼いてるからな、おとなしく黙って発散させろ」
やっと、いつもの主任に戻ってホッとしたけど…、何となく違和感を感じてしまった。
けど、最近、残業も続いているし、色々…仕事でストレスを抱えているんだろうなきっと。
そう考えると、私は漸く納得することができた。
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