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#34 めくるめく激情 ⑷ ✱
しおりを挟む突然の出来事に頭が追いつかない。
驚きのあまり呆けていると、レオンに問いかけられた。
「ノゾミ。そんなにも気持ちがよかったの?」
「……え、あっ」
確かにこの世にこんなにも気持ちのいいことがあったのかと思うほどに、気持ちがよかったのは確かだ。
けれど今はレオンの姿のほうが気になってしょうがない。
かといって、そのことを言及してもいいものかと、躊躇われた。
獣人の血を受け継いだことで傷ついてきたであろうレオンに、そんなことを聞いたら悲しい気持ちにさせてしまうんじゃないかと思ったからだ。
レオンからの予想だにしていなかった質問に、言い澱んでいると。
「本当にノゾミは可愛いなぁ。もう僕、限界だよ。でも、安心して欲しい。できうる限りに優しくするからね」
レオンがいつもの甘やかな声音で囁きを落としてきた、次の瞬間には、私の唇はレオンの柔らかな唇によって奪われてしまっていた。
唇の微かな隙間から咥内へと押し入ってきたレオンのにゅるりとした熱い舌に、口蓋を擽られ、舌を搦め捕られて、徐々に思考が蕩かされていく。
夢と現実の狭間をふわふわと彷徨っているような感覚に浸っているうち、いつしかレオンの大きく誇張した昂りが泥濘んだ蜜口へと宛がわれていた。
その強大さに無意識に身体が慄いてしまう。
ーーこんなにも大きなものが? いくら痛さを感じないといっても、大丈夫なのかな?
得体の知れない未知の体験に、というより、狼の獣人の姿となったレオンの姿は、もふもふとした毛に覆われているせいか、通常(人間の姿)の一回りばかり大きく見える。
当然、その昂りも、とても人間のものとは思えないほどに、ご立派に見えてしまうのだ。
そりゃ、私が案じるのも無理はないだろう。
というくらいに、狼の獣人の姿となったレオンの男性器が、野生の狼同様の凶暴さを孕んでいるように感じてしまうのだった。
それも、魔法の力でなんとかなってしまうのだろうか。
ーーきっと大丈夫。レオンは魔法を使えるんだから。
そう思いながらも、生命の危機を感じつつ、瞼をギュッと閉ざし、神にでも祈る心地でいた。
そこへ、レオンから再び声がかけられて。
「大丈夫だよ、ノゾミ。そんなに不安がらないで。優しくするから。だからそんなに怖がらないで欲しい。それとも、僕のことが怖いの?」
自分のせいでレオンが思い違いをしていることに気づくこととなる。
慌てて声を放ったものの。
「ちっ、違うの。そんなんじゃないの。ただ……」
口にすることがどうにも躊躇われた。
じわじわと込み上げてくる羞恥のせいで、すでに紅潮していた顔が、尚も紅く色づいていく。
そんな私の様子に、僅かに首を傾げたレオンが優しい声音で言葉を促してくる。
「ただ、なに? なんでも遠慮せずにいって欲しい」
けれど、澱みなく澄んだ綺麗な蒼い瞳でマジマジと見つめられると、余計に言いづらい。
「////……そ、その」
「うん、なに?」
「////……そ、それって、普通なのかなって思って」
私の言葉を根気よく待ってくれる優しいレオンに、なんとか早く伝えようと、思い切って指でレオンの下肢を指し示すと、すぐに思い至ったようだ。
「ああ、大きさのことか。比較したことなんてないけど、普通だと思うよ。もしかして、物足りないの? なら、魔法で大きくーー」
「ーーちッ、違うのッ! 大丈夫! そのままで充分満足だから。だからお願い。気にしないで」
「そう。ならよかった」
けれど逆に捉えてしまったレオンが魔法で尚も大きくしようとしかけたのには、肝を冷やしたけれど、なんとか阻止することに成功をおさめた。
そのことに私がホッと安堵する間もなく、レオンからのお伺いによって、いよいよその時を迎えたのである。
「じゃあ、今からノゾミの中に入ってもいい?」
「う、うん」
レオンのご立派なアレのことも勿論だけれど、どうして突然、狼の獣人の姿になっただとか、色々気にかかることはあれど……。
ここは、雰囲気を壊さないためにも、潔く、避妊と痛みを感じなくしてくれているという、誠実なレオンの言葉を信じてすべてを委ねることにして、私はそっと瞼を閉ざした。
そうしたら私の肩までの髪を一房だけ持ち上げたレオンが口づけを落とす気配がしてすぐ、私の唇にもそうっと慈しむように優しいキスを降らせてくれたと同時。
身体にゆっくりとのしかかってきて、優しくふわりと包み込むようにして抱きしめると、雄々しくそそり勃った昂りを蜜口へと宛がってきた。
ただ花芽と蜜口とに触れられているだけなのに、じわじわと愉悦が芽生えてくる。
甘やかな口づけを交わしながら、レオンが腰をゆっくると揺らめかせ、猛々しい昂ぶりで蜜路を撫でられるだけで、えもいわれぬ快感が全身へと駆け巡り。
「あぁ、ふぅんッ」
ふたりの重なり合った唇の僅かな隙間から、甘えるような甘い音が漏れ出てしまう。
もう欲しくて欲しくてどうしようもないのに、焦らしているのか、なかなか満たしてもらえない。
ーーもうおかしくなってしまいそうだ。
堪らずレオンの首に腕を回してぎゅっとしがみついた刹那。
ゆらゆらと揺らめいていたレオンの腰の動きが止まったと思った時には、グッと腰を沈めてきたレオンの肉槍で、グリグリと押し開くようにして蜜洞を貫かれていた。
「ーーひっ、ぁああッ、んん~~~~ッ!?」
その圧迫感たるや、一瞬呼吸が止まったかと思うほどの凄まじい衝撃だったが、魔法のお陰で痛みはまったく感じない。
けれどもレオンが腰を巧みに揺り動かすたびに、内部の蠢く襞が肉棒でゴリゴリと抉られ、この世のものとは思えないほどの、強烈な快感が津波のように押し寄せてきて。
「あっ、あぁんッ! はぅ……んッ、ああぁッ!」
あられもない嬌声がとめどなく溢れてしまう。
その音と、レオンが時折悩ましく呻く声と荒々しい息遣いと、厭らしい水音とが合わさって、なんとも淫猥な雰囲気が部屋の中に立ちこめている。
その雰囲気に酔いしれ呑まれ溺れて、絶えず与えられる快感に翻弄されてしまっていた。
その最中、興奮しているのか、レオンは、ふうふうと荒い呼気を漏らしつつ、譫言のように「ノゾミ」と、幾度も幾度も繰り返し呼び続けていたようだ。
時間が経つにつれ、はじめは緩やかだったレオンの抽挿がよりいっそう激しさを増していく。
えもいわれぬ快感のせいで思考はドロドロに蕩けて、最早なにも考えられない。
押し寄せてくる快感の津波に押し流されないように、ただただ必死になって、私の首元に顔を埋めて怒濤の律動を繰り出すレオンのもふもふした背中にむぎゅっとしがみついていることしかできないでいる。
涙で滲んだ眼前には、チカチカと閃光が弾けはじめた。
強烈な快感のお陰で、至る所が気持ちよすぎて、今にも狂ってしまいそうだ。
どうやら私は、いよいよ限界を迎えてしまったらしい。
無我夢中で縋るようにしがみついているレオンの腕の中で、
「もっ、だめぇ、おかしく……なっ、ちゃう」
荒い呼気の合間に、訥々と掠れた声を紡ぎ出していた。
その声を拾ったレオンがぎゅうぎゅうに私のことを抱きしめたまま、私同様に、余裕のない声音を紡ぎ出す。
「あぁ、ノゾミ。僕も、もう限界のようだよ。ノゾミ。僕のノゾミ。愛……してる。あぁ……くッ!」
「ーーあっ、あぁあんッ!」
レオンが言い終えると同時、腰をパンッと力強く打ち付けてきた。
そうして苦しげに呻いたレオンとほぼほぼ同じタイミングで限界を迎えた私は、悲鳴のような嬌声を放ち、事切れるようにして、意識を手放してしまったようだ。
「ノゾミ、ノゾミ、僕のノゾミ。何があっても一生離しはしないからね」
その狭間で、ぐったりと弛緩した私の身体をぎゅうぎゅうに掻き抱いたレオンが、甘やかなキスの雨を降らせながら、なんとも切なげな声音を幾度も幾度も響かせていたようだった。
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