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#33 めくるめく激情 ⑶ ✱

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 蜜口に挿入されたレオンの男性特有の長く節くれ立った指の動きが、加速するにつれて、甘やかな痺れはさらに甘味なものへと移り変わっていく。

 初めて受け入れた指の、キツく感じていた圧迫感が嘘だったかのように。

 それどころか、自分の体内へと取り込んでしまおうとするかのように、膣壁が忙しなく蠕動し、秘裂が厭らしくひくつき、指を強く咥え込む。

 その感覚が、どうにも恥ずかしい。

 そう思うのに……。

 レオンの指により絶えず与えられる甘味な快感を、身体が貪欲にもっともっと極めようとするかのように、腰を揺らめかせてしまう。

 悩ましく腰を揺らして、自らレオンの指に擦りつける様は、あたかも娼婦のようだなと、どこか他人事のように思いはしても、それをはしたないだとか、恥ずかしいだとか、そんな風に思っているような冷静さなどない。

 自分の奥底に眠っていた雌の本能を刺激され、呼び起こされ、それらに突き動かされるようにして、ただただ貪欲に甘味な快感を貪っていた。

 その先で与えてもらえるだろう、レオン自身を渇望しながら。

 そこへレオンが、呟きを落とすのが聞こえてきた。

「そんなに僕に腰を擦り寄せてきて、ノゾミは本当に可愛いなぁ」

 そうしてうっとりとするほど妖艶なレオンが、なんとも甘やかな声音で唆すように囁きかけてくる。

「ねえ、僕のノゾミ。そんなにも僕のことが欲しいの?」

 私は、何かを考えるよりも真っ先に、

「欲しい。お願い、レオン。早くちょうだい」

そんな大胆な言葉でレオンに懇願してしまっていた。

 その様を一瞬、ハッと息を呑むような素振りを見せたレオンが、苦しげに綺麗な顔を歪ませ、溜息交じりの声音を切なげに響かせる。

「あぁ、まるで、幾度も僕のことを惑わせてきた夢のようだ」
  
 ーーえ? 夢? もしかしてレオンもあの夢を?

 そう思い、聞き返すと。

「え、夢ってなに?」

  おそらく、さっきの言葉は無意識に放ったものだったのだろう。

 僅かに訝しそうな表情を浮かべたレオンが、私の質問の意図に思い当たったように、

「あぁ、なんでもないよ。ノゾミがあんまり美しかったものだから、夢のようだと思っただけだよ」

そう答えてくれたけれど、もしも私と同じように淫夢を見ていたとしたら、そんなこと好きな相手には隠そうとするに違いない。

 私だって、あんなはしたない夢を見ていたなんて、口が裂けても言えっこないもん。

 けど、同じ夢を見ていたとしたら、それは凄いことだと思う。

 もしかすると、お互いが想い合っている気持ちが強いものだったからじゃないのかな。

 そう思うと、どうしようもなく嬉しくなってくる。

 ーー私とレオンの出会いは本当に運命だったのかもしれない。

 だとしたらきっと、たとえなにがあろうと叶うに違いないーー。

 これから先の未来に希望の光が見い出せた気がして、私の胸はあたたかなもので満たされていく。

 そんな私に向けて、レオンから思いがけない言葉が届いて。

「ああ、僕のノゾミ。そんなに泣くほど僕のことが欲しいの?」

 自分が泣いてしまっていることに気づかされた。

 驚いてレオンに目を向けると、思わず息を呑むほどに、妖艶さを纏ったレオンの綺麗なサファイアブルーの瞳に射止められ、囚われたように身動ぎどころか瞬きさえも叶わない。

 そんな私にレオンから、甘やかな声音でのなんとも甘やかな台詞が囁かれた。

「ああ、僕のノゾミ。君が望むなら、この命でさえも与えてもいいと思うくらいに。この世でただひとり、愛しているよ、ノゾミ」

 これ以上にないくらいの甘やかな愛の言葉を受け、私の胸は幸福感に満たされていく。

 もう胸がいっぱいで、はち切れてしまいそうだ。

 涙ながらに、「うん、私も」そう応えるのが精一杯だった。

 そんな私の目尻から零れ落ちた涙をレオンが唇でそうっと拭ってくれる。

 その心地よさに、うっとりとしているうちに、甘やかな愛撫が再開されていたのだった。

 レオンの滾るように熱い舌と唇、長く節くれ立った指、それらすべてを駆使して施される愛撫は、どれもこれも甘味なものだ。

 中断したことで、中途半端に燻っていた火種に再び火を灯すことなど容易だった。

 レオンの舌と唇には、乳房と乳首とを嬲られ。手指では、もう片方の胸の膨らみを鷲掴まれ、やわやわと揉みしだかれて。

 もう片方の手指では、下肢の泥濘んだ蜜洞と花弁に包み込まれた花芽とを、器用に掌と指先とを使って、クチュッグチャッと濡れた音を響かせならがら、ぐりぐりと翻弄されてしまっている。

 初めて味わうこの甘味な快感を絶えることな与えられている私は、狂ったように身悶え、痙攣し続ける身体をくねらせ、甘ったるい声で喘ぎ続けていた。

「あっ、や……はぁう……んんッ!」

 どれくらいそうしていただろうか。

 気づけば、身体に覆い被さるようにして、のしかかってきたレオンの身体に、ピッタリと隙なく抱きすくめられていた。

 レオンの程よく鍛えられたしなやか胸筋と乳首と、自身のそれとが擦れて、それだけで甘やかな愉悦が芽生えてしまう。

「はぁ……んぅっ」
「あぁ、ノゾミ。僕のノゾミ」

 散々喘がされたせいで、もう何かを口にするような気力などない。

 余裕のない私に、まるで暗示でもかけるかのようにして、レオンの甘い囁きが繰り返されていた。

 そんななか、レオンにすべてを捧げるように身を委ねていた私の両足が押し開かれ、そこにレオンの身体が割り込んでくる。

 誰にも晒したことも触れられたこともなかった恥部をレオンに見られていると思うと、今更ながらに羞恥に襲われ、カッと全身が煮え滾るように熱くなる。

「////ーーみ、見ないでッ」
「隠さないで、ノゾミ。とても綺麗だよ。それに僕のことが欲しくてどうしようもないというように、ひくつく様が堪らなく愛らしいよ」

 思わず放った私の言葉にも、レオンはやっぱりうっとりするほど綺麗な恍惚の表情で見下ろしつつ、称賛と意地悪な言葉とで、ことごとく羞恥を煽ってくる。

 これ以上羞恥を煽られては堪らないと抵抗を諦めかけた、その時。

 足の間のレオンが恥部へと顔を埋めてしまった。

 驚愕のあまり、フリーズしたままでいると、愛撫で剥き出しになっている花芯にジュルルッ、という淫猥な水音をたてながらむしゃぶりつかれ。

「いッ、ひゃ、ンン~~ッ!?」

 脳天を突き上げるような強烈な刺激に見舞われた私は、のたうちまわるようにして身体を仰け反らせた。

 あっけなく達してしまった私のことをレオンがふわりと包み込むように抱きしめ、頭や顔や項、首筋というように、至るところにキスを降らせ続けてくれている。

 どこか夢見心地で絶頂の余韻に浸っていると、

「あぁ、ノゾミ。愛おしくてどうしようもないよ。本当はこのまま僕のすべてを注いでしまいたいけれど、今は我慢しておくね。でも、なにがあっても、ノゾミのことを手放すつもりはないからね」

レオンの声音が意識に届いたけれど、蕩けた思考ではすべてを聞き取れなかった。

 なので聞き返すと、

「……レオ……ン?」

「あぁ、心配ないよ。魔法でちゃんと子種が根付かないようにしておくし、痛みも感じないようにしているからね」

 考えも及ばないものが返されて。

 私の身体を気遣ってくれるレオンの優しさと誠実さに嬉しく思いつつ。

 ーーあぁ、だから噛まれても痛くなかったんだ。

 なんて感心している間に、レオンが淫夢で見た時と同じ姿に豹変しており、夢か幻かと目を凝らすも、そこには狼の獣人となったレオンの姿があるだけだった。

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