上 下
10 / 47

#10 加速するフラストレーション!?

しおりを挟む

 奇妙な夢を見るようになってから、かれこれ数週間が経った。

 レオンと一緒に暮らすようになってもうすぐ一月半。私がこの異世界にきてから二ヶ月半が過ぎた。

 召喚されたときには、春らしい赤色のボーダー柄のカットソーにワイドパンツという装いだったはずが……。今ではこちらの世界の人々が着ている地味な色のワンピースような服のしたにシュミーズという肌着を身につけている。

 ーー何これ、地味な服。それに動きにくい。

 はじめは、元いた世界で身につけいたものとは違い、伸縮性のない生地でできた服での動作に苦戦したが、もうそんなこともなく、馴染んでしまっている。

 幼少期から羽目も外すことなく、家庭という狭い世界の中で、両親の言葉は絶対だった。そういう環境にいたせいか、少々のことは我慢できる。だからどんな環境でも順応できるのかもしれない。

 そういう意味では、過干渉気味だった両親に感謝している。

 ただ、しっかりとした下着ではないので、胸の辺りが心許ないというのが難点だ。

 まぁ、別に、上に来ている服の生地がしっかりしているし色も濃いので、透けるようなことはないから支障はない。

 けれども寝ているときに、一緒に寝床を共にしているレオンをぎゅっと抱きしめているせいか、レオンが身動ぎするたびに、デリケートゾーンに触れてしまうのだ。

 それだけなら特段、気にもしなかっただろう。

 けれど、例のはしたない夢のことがあるので、どうにも気にかかってしょうがない。

 もしかしたら、その時に生じてしまう甘やかな刺激に触発されて、例の夢を見るようになったのではないか。

 そう思えてならなかった。

 だったら、レオンと一緒に寝なければいいと思うだろうが。

 私に偉く懐いて離れようとしなかったレオンとずっと一緒に寝ていたせいで、今では、私の方がレオンなしでは寝付けなくなってしまっているので、その選択肢はない。

 ふと足下で丸くなって転た寝しているレオンを見遣ると、気持ちよさげに穏やかな寝息を立てていた。

 その様子を見ているだけで、心は穏やかになれるし、なにより癒やされる。

 ルーカスさんの言葉通り、ゴブリンの呪いとやらの所為だったのか、まだ傷は完全には癒えてはいない。

 けれど順調に回復しているので、このままだとお別れする日も、そう遠くはないだろう。

 ーーレオンとの時間を大事にしたい。

 今一度、私は心に決めたのだった。

 ……となると、やっぱり下着の改善しかないのかなぁ。

  ということで、私は最近、薬草探しの合間を縫って、下着の開発にも勤しんでいる。

 けれども、この異世界にというより、この精霊の森を出て王都の市井に出向くことのできない、追われる身である私には、材料を探すことさえもままならない。

 なので、開発は難航している。

 自分に与えられた、お世辞にも広いとは言えない部屋の小さな丸テーブルの上に置いたたった一着しかない貴重なブラジャーを前に、かれこれ数十分経つというのに、なんの妙案も浮かばず溜息を垂れ流して、そのままテーブルに突っ伏していた。

 未だに睡眠不足も解消しないままなので、そのままいつしか寝落ちしてしまっていたらしい。

 そうしてまた例の夢を見ていたようだ。

 でもいつもと違ったことがあった。

 驚くことに、とうとうレオンが登場したのだ。

 ただ登場していたならさほど気にしなかっただろうが、野々宮先輩に翻弄されいたはずが、いつの間にやら野々宮先輩からレオンに取って代わっているという、なんともはしたない、淫夢だった。

 どうやら私は、そうとうな欲求不満に陥っているらしい。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

嫌われ女騎士は塩対応だった堅物騎士様と蜜愛中! 愚者の花道

Canaan
恋愛
旧題:愚者の花道 周囲からの風当たりは強いが、逞しく生きている平民あがりの女騎士ヘザー。ある時、とんでもない痴態を高慢エリート男ヒューイに目撃されてしまう。しかも、新しい配属先には自分の上官としてそのヒューイがいた……。 女子力低い残念ヒロインが、超感じ悪い堅物男の調子をだんだん狂わせていくお話。 ※シリーズ「愚者たちの物語 その2」※

イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?

すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。 「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」 家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。 「私は母親じゃない・・・!」 そう言って家を飛び出した。 夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。 「何があった?送ってく。」 それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。 「俺と・・・結婚してほしい。」 「!?」 突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。 かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。 そんな彼に、私は想いを返したい。 「俺に・・・全てを見せて。」 苦手意識の強かった『営み』。 彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。 「いあぁぁぁっ・・!!」 「感じやすいんだな・・・。」 ※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。 ※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。 それではお楽しみください。すずなり。

身代わり婚~暴君と呼ばれる辺境伯に拒絶された仮初の花嫁

結城芙由奈 
恋愛
【決してご迷惑はお掛けしません。どうか私をここに置いて頂けませんか?】 妾腹の娘として厄介者扱いを受けていたアリアドネは姉の身代わりとして暴君として名高い辺境伯に嫁がされる。結婚すれば幸せになれるかもしれないと淡い期待を抱いていたのも束の間。望まぬ花嫁を押し付けられたとして夫となるべく辺境伯に初対面で冷たい言葉を投げつけらた。さらに城から追い出されそうになるものの、ある人物に救われて下働きとして置いてもらえる事になるのだった―。

【完結】神から貰ったスキルが強すぎなので、異世界で楽しく生活します!

桜もふ
恋愛
神の『ある行動』のせいで死んだらしい。私の人生を奪った神様に便利なスキルを貰い、転生した異世界で使えるチートの魔法が強すぎて楽しくて便利なの。でもね、ここは異世界。地球のように安全で自由な世界ではない、魔物やモンスターが襲って来る危険な世界……。 「生きたければ魔物やモンスターを倒せ!!」倒さなければ自分が死ぬ世界だからだ。 異世界で過ごす中で仲間ができ、時には可愛がられながら魔物を倒し、食料確保をし、この世界での生活を楽しく生き抜いて行こうと思います。 初めはファンタジー要素が多いが、中盤あたりから恋愛に入ります!!

夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました

氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。 ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。 小説家になろう様にも掲載中です

勇者パーティーから追放された魔法戦士ディックは何も知らない~追放した勇者パーティが裏で守り続けてくれていたことを僕は知らない~

うにたん
恋愛
幼馴染五人で構成された勇者パーティを追放されてしまった魔法戦士ディック。 追放を決断したやむを得ない勇者パーティの事情とは? 真の追放事情を知らない追放された魔法戦士ディックはこれからどうなるのか? 彼らが再度交わる時は来るのか? これは勇者パーティを追放された魔法戦士ディックに事情を知られない様に勇者パーティが裏でディックを守り続ける真の勇者の物語

5分前契約した没落令嬢は、辺境伯の花嫁暮らしを楽しむうちに大国の皇帝の妻になる

西野歌夏
恋愛
 ロザーラ・アリーシャ・エヴルーは、美しい顔と妖艶な体を誇る没落令嬢であった。お家の窮状は深刻だ。そこに半年前に陛下から連絡があってー  私の本当の人生は大陸を横断して、辺境の伯爵家に嫁ぐところから始まる。ただ、その前に最初の契約について語らなければならない。没落令嬢のロザーラには、秘密があった。陛下との契約の背景には、秘密の契約が存在した。やがて、ロザーラは花嫁となりながらも、大国ジークベインリードハルトの皇帝選抜に巻き込まれ、陰謀と暗号にまみれた旅路を駆け抜けることになる。

異世界で王城生活~陛下の隣で~

恋愛
女子大生の友梨香はキャンピングカーで一人旅の途中にトラックと衝突して、谷底へ転落し死亡した。けれど、気が付けば異世界に車ごと飛ばされ王城に落ちていた。神様の計らいでキャンピングカーの内部は電気も食料も永久に賄えるられる事になった。  グランティア王国の人達は異世界人の友梨香を客人として迎え入れてくれて。なぜか保護者となった国陛下シリウスはやたらと構ってくる。一度死んだ命だもん、これからは楽しく生きさせて頂きます! ※キャンピングカー、魔石効果などなどご都合主義です。 ※のんびり更新。他サイトにも投稿しております。

処理中です...