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第25話「やっぱり、エミリアはレオンの事が好きなのか……」
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ギルドにシュタインを倒したと報告をすると、報奨金を受け取る為に一度大きな都市に寄ることとなった。シュタイン城の一番近くの都市は昔懐かしいオッドリーである。レオン君が人狼であるという秘密を知った都市だ。
歩いて三日程の距離にあるが、この頃の僕たちは他の魔物を倒した報奨金で潤っている。馬車に乗って二日で辿り着いたオッドリーはシュタインが倒された事による祝賀ムードが強かった。ギルドの人が各地に鳩を飛ばして連絡が行ったのだろう。
一週間くらい祭りが執り行われるようで、露店がいくつも連ねてあり大道芸人が道端で奇術を披露していた。
「すげぇ! 山分けしても向こう十年は遊んで暮らせる金じゃん!」
フィリップ君は目を輝かせ金貨の山を見ていた。先程報奨金をもらい、今はセキュリティのしっかりした宿で四人がフィリップくんの部屋に集まり金額の確認をしていた。エミリアさんは自分の分け前を受け取る。
「うん……。これで母さんを病院に入れられる。よかった」
彼女の瞳には涙が浮かんでいる。彼女が母の治療費を稼ぐために旅をしている事については今回も旅の最初の頃に聞いていた。
「エミリアさんは、この後ご実家に戻られるんですか?」
尋ねると、彼女は微妙そうな顔をした。
「まぁ、戻りたいような戻りたくないような……」
複雑な表情に僕とフィリップ君は首を傾げる。エミリアさんは眉尻を下げた。
「母さんのことは好きなんだけど、村のことは好きになれないんだ。あそこは保守的な村でね。女は二十までに結婚をしないと行き遅れになって一生結婚できないって言われている場所なんだよ」
「へぇ……」
フィリップ君が気まずそうに相槌を打つ。けれど、これは珍しいことではなかった。この国では女性は二十五歳までには結婚していて当たり前という風潮がある。その上、子供を産んでこそ女性は一人前と言われるのだ。
僕は目を伏せる。だからこの後レオン君と結婚するのか、と気分が沈んだ。二人の結婚式は目をつむるだけで鮮明に映像が脳裏に浮かぶ。
「今まではシュタインを倒すって名目があったけど、倒したんならこの村に居つけって絶対言われるんだよね……」
レオン君も俯いている。彼も同じ村で育ったから雰囲気は大体察するのだろう。エミリアさんは顔をあげるとぱっと笑った。
「ま、私のことなんてどうでもいいじゃない! 皆はこの後どうするの?」
これ以上踏み込んでほしくないのだろう。空気を察したフィリップ君は明るく告げる。
「俺は治療術師になるかな! シュタインを倒したパーティの治療術師なら引く手あまただろうし! よし! そういう話は酒を飲みながら話そうぜ!」
彼は鍵付きの箱に報奨金を入れ、皆を促す。いつも通りフィリップ君とエミリアさんが先導して酒場を探した。
「なぁ、ルカス」
大通りに出て、隣を歩いていたレオン君が話しかけてくる。皆祭りに夢中で大勢の中にいるのに二人きりのような感覚に陥った。彼は道の隅の方に移動した。
「この後だが、一緒にミランダの所に行ってくれるという話はまだ生きているか?」
彼は少し腰をかがめ、僕の顔を覗き込んでくる。僕は目を丸くした。約束をした時は実現するとは思っていなかった。コクコクと僕は頷く。
「あの……、はい。出来るなら……」
返すと、レオン君は嬉しそうに目を細めた。あまりの顔の麗しさと眩しさに目が焼けそうな錯覚を覚える。
「そうか。良かった」
「旅の間も積極的に探していましたもんね」
彼は行く先々の都市の図書室や長年生きている吸血鬼などの魔物の城で可能な限り書物を探していた。シュタイン城でも倒した後に図書室で本の背表紙をチェックしていた。
「ああ……。子供の頃からずっと願ってきていたことだから」
レオン君は視線を伏せる。僕個人としてはあの毛皮に触ることが出来なくなるのは寂しいが、レオン君が望んでいないのであれば仕方がない。
「そうですか。……わかりました。微力ながらお手伝いをさせていただきます」
「ありがとう……」
レオン君の口角が上がる。それに、と彼は付け足した。
「ルカスが心配だから、出来る限り近くに居たい。前に君は五年後に生きているかわからないと言っていただろう。一番の肝はシュタインとの戦いかと思うが、この先何があるかわからない」
「え……」
僕は目を瞬かせる。
「今回、無事に旅が出来たのはルカスのおかげだと思っている。満月の日の夜はいつも君が作ってくれた痺れ薬のお陰で何事もなく過ごせていたんだ。だから……」
じん、と鼻の付け根が熱くなる。どれだけレオン君は義理深いんだ。
「ありがとうございます……。そこまで言ってもらえるなんて嬉しいです」
心臓が喜びで跳ね回る。まだ、もう少し彼と一緒にいられるだなんて。両頬を押さえると、熱が指を伝ってきた。じんわりと幸せにひたり、すぐに思い直す。
「あ、あの、でも、もしレオン君が結婚したくなったり、好きな人が出来たら言ってくださいね。その時はいつでも旅を終えましょう」
「……ああ」
レオン君の顔が真顔になる。彼は視線を宙に泳がせ、再びフィリップくん達の行った方角へ歩き出した。
「それはルカスもだろう。もし君に好きな人が出来たら言ってくれ」
「それは大丈夫です! シュタインを倒した今、僕が望むのはスローライフだけです」
それについては断言出来るのではっきりと返す。彼は僕の方を振り向いた。
「……好きな人のことは、もういいのか?」
「はい。何度も言いますが、僕は彼の事はもう諦めているんです」
俯く。本人に言う事でもないが、この後の運命を受け入れる準備は出来ていた。エミリアさんとレオン君の結婚式を見るのはこれで二度目になるだろうが、きっと笑顔で祝福できると思う。
「……そうか。……あ」
レオン君が立ち止まる。何かを凝視しているようだった。彼の視線を追って僕も顔を向ける。すっかり出来上がったフィリップ君がいた。隣には可愛らしい女性が居て腕を組んでいる。金の髪に青い瞳、背の小さい彼女は十六回目のループの際にフィリップ君と結ばれていた女性だった。
僕とレオン君は無言でフィリップ君に近付く。
「おい、エミリアは?」
レオン君は眉間にしわを寄せ、フィリップ君の肩を叩く。彼は酔い潰れているようで、レオン君を見るとだらしなく頬を緩ませて抱きついてきた。
「おー、レオン! 飲んでるか?」
「まだ一滴も飲んでいない。……エミリアは?」
「さっき、用事があるとかでどっか行った……」
「用事?」
「んなことよりさ、レオンも飲もうぜ! せっかくシュタインを倒した祭りなんだからさ」
「そうね! お兄さんも一緒に飲みましょう!」
フィリップ君に腕を絡ませていた彼女もレオン君に絡む。フィリップ君もかっこいいが、レオン君も十分美形である。彼女は目をキラキラと輝かせ、レオン君の方に近寄った。
「俺はいい。おい、フィリップ。お前も飲みすぎるな」
レオン君は女の子を避けるようにフィリップ君の肩を抱いて近くのレストランに入っていった。僕も彼の後ろについていく。彼女は空気を察したのだろう、レストランの中にまでは入ってこなかった。
席につくなり、フィリップ君は机に頬をこすりつけた。酔って眠くなっているらしい。彼がここまで酔っ払うのは初めて見た。
「聞いてくれよ、レオン~。さっきエミリアに告白したんだよ」
「えっ」
涙声でフィリップ君が告げる。僕もレオン君も目を丸くして彼を見た。
「告白っていうか、提案? 戻るのが嫌なら、俺の所に母さんと一緒に嫁いで来ないかって……。俺の所ならほどほどに都会だし、村よりも居心地がいんじゃないかって」
「……ああ」
「そしたらさ、同情すんなって……! そんなかわいそうだから結婚してやるとか言われても嬉しくないって」
じわり、とフィリップ君の目が潤む。確かにエミリアさんなら言いそうだと思った。
「そういう事じゃないのに……。好きだから一緒にいたいってだけなのに」
「言い方が悪かったんだろう。……というか、それ言ったのか?」
さらりとレオン君が返す。長年の付き合いだからか、フィリップ君に対して彼はかなり気安くはっきりと物を言う。
「言ってない……、ていうか、言えてない。その前にビンタくらって逃げられた」
唇を尖らせてフィリップ君は水分の混じった声を出す。
「やっぱり、エミリアはレオンの事が好きなのか……」
彼は額を机にぐりぐりと擦り付けた。はぁ、とレオン君は大きなため息をつく。
「ただの幼馴染みだ」
「でも、多分レオンが偽装結婚しようかって言ったらエミリアは受け入れてたと思う」
「……まぁ」
そこは同意するのか。僕は内心ショックでレオン君の方を見る。フィリップ君は頬を膨らませた。
「くそ……。これだからモテる男は! もういい! 今日は飲む! ほら、ルカス! 一緒に飲もう! こんな奴放っておいて!」
僕のことを同族だと思ったのか、フィリップ君は隣りに座っていた僕の肩に腕をかけ、コップになみなみとラム酒を注いだ。ひえ、と目の前の茶色い液体を見つめる。
「おい、ルカス。俺がコイツの相手をしているから、エミリアを探してきてくれ」
レオン君はラム酒の注がれたコップを自分の方に寄せ、フィリップ君の腕を外させる。彼の助け舟に乗ることにした。
「わかりました。フィリップ君、飲みすぎないようにしてくださいね」
立ち上がり、レストランを後にする。レオン君には悪いけれど、助かったと思った。僕は押しと酒に弱い。ラム酒なんて強いお酒を飲んでしまったら、立つことすらままならなくなるだろう。
歩いて三日程の距離にあるが、この頃の僕たちは他の魔物を倒した報奨金で潤っている。馬車に乗って二日で辿り着いたオッドリーはシュタインが倒された事による祝賀ムードが強かった。ギルドの人が各地に鳩を飛ばして連絡が行ったのだろう。
一週間くらい祭りが執り行われるようで、露店がいくつも連ねてあり大道芸人が道端で奇術を披露していた。
「すげぇ! 山分けしても向こう十年は遊んで暮らせる金じゃん!」
フィリップ君は目を輝かせ金貨の山を見ていた。先程報奨金をもらい、今はセキュリティのしっかりした宿で四人がフィリップくんの部屋に集まり金額の確認をしていた。エミリアさんは自分の分け前を受け取る。
「うん……。これで母さんを病院に入れられる。よかった」
彼女の瞳には涙が浮かんでいる。彼女が母の治療費を稼ぐために旅をしている事については今回も旅の最初の頃に聞いていた。
「エミリアさんは、この後ご実家に戻られるんですか?」
尋ねると、彼女は微妙そうな顔をした。
「まぁ、戻りたいような戻りたくないような……」
複雑な表情に僕とフィリップ君は首を傾げる。エミリアさんは眉尻を下げた。
「母さんのことは好きなんだけど、村のことは好きになれないんだ。あそこは保守的な村でね。女は二十までに結婚をしないと行き遅れになって一生結婚できないって言われている場所なんだよ」
「へぇ……」
フィリップ君が気まずそうに相槌を打つ。けれど、これは珍しいことではなかった。この国では女性は二十五歳までには結婚していて当たり前という風潮がある。その上、子供を産んでこそ女性は一人前と言われるのだ。
僕は目を伏せる。だからこの後レオン君と結婚するのか、と気分が沈んだ。二人の結婚式は目をつむるだけで鮮明に映像が脳裏に浮かぶ。
「今まではシュタインを倒すって名目があったけど、倒したんならこの村に居つけって絶対言われるんだよね……」
レオン君も俯いている。彼も同じ村で育ったから雰囲気は大体察するのだろう。エミリアさんは顔をあげるとぱっと笑った。
「ま、私のことなんてどうでもいいじゃない! 皆はこの後どうするの?」
これ以上踏み込んでほしくないのだろう。空気を察したフィリップ君は明るく告げる。
「俺は治療術師になるかな! シュタインを倒したパーティの治療術師なら引く手あまただろうし! よし! そういう話は酒を飲みながら話そうぜ!」
彼は鍵付きの箱に報奨金を入れ、皆を促す。いつも通りフィリップ君とエミリアさんが先導して酒場を探した。
「なぁ、ルカス」
大通りに出て、隣を歩いていたレオン君が話しかけてくる。皆祭りに夢中で大勢の中にいるのに二人きりのような感覚に陥った。彼は道の隅の方に移動した。
「この後だが、一緒にミランダの所に行ってくれるという話はまだ生きているか?」
彼は少し腰をかがめ、僕の顔を覗き込んでくる。僕は目を丸くした。約束をした時は実現するとは思っていなかった。コクコクと僕は頷く。
「あの……、はい。出来るなら……」
返すと、レオン君は嬉しそうに目を細めた。あまりの顔の麗しさと眩しさに目が焼けそうな錯覚を覚える。
「そうか。良かった」
「旅の間も積極的に探していましたもんね」
彼は行く先々の都市の図書室や長年生きている吸血鬼などの魔物の城で可能な限り書物を探していた。シュタイン城でも倒した後に図書室で本の背表紙をチェックしていた。
「ああ……。子供の頃からずっと願ってきていたことだから」
レオン君は視線を伏せる。僕個人としてはあの毛皮に触ることが出来なくなるのは寂しいが、レオン君が望んでいないのであれば仕方がない。
「そうですか。……わかりました。微力ながらお手伝いをさせていただきます」
「ありがとう……」
レオン君の口角が上がる。それに、と彼は付け足した。
「ルカスが心配だから、出来る限り近くに居たい。前に君は五年後に生きているかわからないと言っていただろう。一番の肝はシュタインとの戦いかと思うが、この先何があるかわからない」
「え……」
僕は目を瞬かせる。
「今回、無事に旅が出来たのはルカスのおかげだと思っている。満月の日の夜はいつも君が作ってくれた痺れ薬のお陰で何事もなく過ごせていたんだ。だから……」
じん、と鼻の付け根が熱くなる。どれだけレオン君は義理深いんだ。
「ありがとうございます……。そこまで言ってもらえるなんて嬉しいです」
心臓が喜びで跳ね回る。まだ、もう少し彼と一緒にいられるだなんて。両頬を押さえると、熱が指を伝ってきた。じんわりと幸せにひたり、すぐに思い直す。
「あ、あの、でも、もしレオン君が結婚したくなったり、好きな人が出来たら言ってくださいね。その時はいつでも旅を終えましょう」
「……ああ」
レオン君の顔が真顔になる。彼は視線を宙に泳がせ、再びフィリップくん達の行った方角へ歩き出した。
「それはルカスもだろう。もし君に好きな人が出来たら言ってくれ」
「それは大丈夫です! シュタインを倒した今、僕が望むのはスローライフだけです」
それについては断言出来るのではっきりと返す。彼は僕の方を振り向いた。
「……好きな人のことは、もういいのか?」
「はい。何度も言いますが、僕は彼の事はもう諦めているんです」
俯く。本人に言う事でもないが、この後の運命を受け入れる準備は出来ていた。エミリアさんとレオン君の結婚式を見るのはこれで二度目になるだろうが、きっと笑顔で祝福できると思う。
「……そうか。……あ」
レオン君が立ち止まる。何かを凝視しているようだった。彼の視線を追って僕も顔を向ける。すっかり出来上がったフィリップ君がいた。隣には可愛らしい女性が居て腕を組んでいる。金の髪に青い瞳、背の小さい彼女は十六回目のループの際にフィリップ君と結ばれていた女性だった。
僕とレオン君は無言でフィリップ君に近付く。
「おい、エミリアは?」
レオン君は眉間にしわを寄せ、フィリップ君の肩を叩く。彼は酔い潰れているようで、レオン君を見るとだらしなく頬を緩ませて抱きついてきた。
「おー、レオン! 飲んでるか?」
「まだ一滴も飲んでいない。……エミリアは?」
「さっき、用事があるとかでどっか行った……」
「用事?」
「んなことよりさ、レオンも飲もうぜ! せっかくシュタインを倒した祭りなんだからさ」
「そうね! お兄さんも一緒に飲みましょう!」
フィリップ君に腕を絡ませていた彼女もレオン君に絡む。フィリップ君もかっこいいが、レオン君も十分美形である。彼女は目をキラキラと輝かせ、レオン君の方に近寄った。
「俺はいい。おい、フィリップ。お前も飲みすぎるな」
レオン君は女の子を避けるようにフィリップ君の肩を抱いて近くのレストランに入っていった。僕も彼の後ろについていく。彼女は空気を察したのだろう、レストランの中にまでは入ってこなかった。
席につくなり、フィリップ君は机に頬をこすりつけた。酔って眠くなっているらしい。彼がここまで酔っ払うのは初めて見た。
「聞いてくれよ、レオン~。さっきエミリアに告白したんだよ」
「えっ」
涙声でフィリップ君が告げる。僕もレオン君も目を丸くして彼を見た。
「告白っていうか、提案? 戻るのが嫌なら、俺の所に母さんと一緒に嫁いで来ないかって……。俺の所ならほどほどに都会だし、村よりも居心地がいんじゃないかって」
「……ああ」
「そしたらさ、同情すんなって……! そんなかわいそうだから結婚してやるとか言われても嬉しくないって」
じわり、とフィリップ君の目が潤む。確かにエミリアさんなら言いそうだと思った。
「そういう事じゃないのに……。好きだから一緒にいたいってだけなのに」
「言い方が悪かったんだろう。……というか、それ言ったのか?」
さらりとレオン君が返す。長年の付き合いだからか、フィリップ君に対して彼はかなり気安くはっきりと物を言う。
「言ってない……、ていうか、言えてない。その前にビンタくらって逃げられた」
唇を尖らせてフィリップ君は水分の混じった声を出す。
「やっぱり、エミリアはレオンの事が好きなのか……」
彼は額を机にぐりぐりと擦り付けた。はぁ、とレオン君は大きなため息をつく。
「ただの幼馴染みだ」
「でも、多分レオンが偽装結婚しようかって言ったらエミリアは受け入れてたと思う」
「……まぁ」
そこは同意するのか。僕は内心ショックでレオン君の方を見る。フィリップ君は頬を膨らませた。
「くそ……。これだからモテる男は! もういい! 今日は飲む! ほら、ルカス! 一緒に飲もう! こんな奴放っておいて!」
僕のことを同族だと思ったのか、フィリップ君は隣りに座っていた僕の肩に腕をかけ、コップになみなみとラム酒を注いだ。ひえ、と目の前の茶色い液体を見つめる。
「おい、ルカス。俺がコイツの相手をしているから、エミリアを探してきてくれ」
レオン君はラム酒の注がれたコップを自分の方に寄せ、フィリップ君の腕を外させる。彼の助け舟に乗ることにした。
「わかりました。フィリップ君、飲みすぎないようにしてくださいね」
立ち上がり、レストランを後にする。レオン君には悪いけれど、助かったと思った。僕は押しと酒に弱い。ラム酒なんて強いお酒を飲んでしまったら、立つことすらままならなくなるだろう。
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