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10.かわいいものに癒されるあたしたち
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あれからあたしたちは作戦会議を重ね、ハンドメイドイベントへの参加に向けて準備をしていた。
桐ケ谷はマスコットやぬいぐるみ制作に集中。
あたしと鈴蘭は、自分たちのブースに置くかざりや値札の作成、お金の管理の方法、イベント参加のマナーやルールを勉強した。
そしてゴールデンウイーク突入!
いよいよその日がやってきた。
イベントが始まる前に、出店者は設営のための時間をもらえるから、開始一時間前から会場に入ったよ。
会場は、駅前のビルの最上階にある多目的ホール。広さは、体育館くらいかな。そこに横長の机がたくさん並んでいて、参加者はそれぞれ設営を始めている。
ほとんどが大人の女性たちで、子どもたちはあたしたちくらいのものだ……不安。
両隣の人にもちゃんとごあいさつしてから、あたしたちは机の上にクロスをひき、桐ケ谷が作ったマスコットたちを並べる。
桐ケ谷が今日までに作ったマスコットはどれもかわいい。
まるっこい青い鳥はしあわせを運んでくれそうにふっくらしている。
卵の殻を頭と身体につけた、カラフルな……タコ? はクセが強いけどおもしろい。タコ……。
いじわるそうな笑みを浮かべたパンダもいる。
数十個のマスコットを見るに、すっごくがんばって今日のために作成してきたんだなってわかる。
少しでも、多くの人に好きになってもらいたいって思う。だから、よりマスコットたちがかわいく見えるよう、並べ方も工夫していく。
でも、いっしょにクロスを選んだクマのぬいぐるみはなかった。間に合わなかったのかな……。
ま、これだけの量を作ってきたんなら、仕方ない。期待はしていたけど、桐ケ谷があたしにそこまでしてくれるわけ、ないって心のどこかで思っていたから。
それにしても……。
「子どもだけでだいじょうぶかな……」
無心で作業していくけど、あたしの頭の中はここ数日ずーっと不安でいっぱい! 商売の大変さは、おばあちゃんを見ていれば嫌というほどにわかる。
「陽乃葉って、前向きなんだか後ろ向きなんだかわからないよな」
当日になって急にネガティブになるあたしに、桐ケ谷はツッコミを入れる。とは言いつつ、桐ケ谷の顔も緊張しているように見えるよ。
こわいよね。自信を持って作ったのは間違いないけれど、それが人に受け入れてもらえるかは別問題だもん……。
黙ってしまったあたしの代わりに、鈴蘭が声をあげた。
「桐ケ谷くんのマスコットはかわいいからだいじょうぶだよ! すごいね! 才能ある!」
予想外に、鈴蘭は前向き。人って、わからないものだな……。
あれからも鈴蘭は学校に通い続けているけれど、今日にくらべたら表情はいつも固かった。無理はしないでほしいけど、鈴蘭ががんばりたいと思ったのなら、あたしは応援するし、なにかあれば助ける。
今日みたいに、学校以外の居場所だって作る。
設営が進むことでほかの人たちのスペースの特色が見えきた。
ぬいぐるみやマスコットのほか、アクセサリー、ハーバリウム、ポストカードなどなど、かわいいものがたくさんディスプレイされている。見ているだけでテンションがあがる!
みんな、かわいいもの、きれいなものが好きで、ハンドメイドが大好きな人たちなんだ。仲間って言ってもいいのかな。不安な気持ちが、少し軽減された気がする。
ラックやボードを活用して、華やかに見せている人もいた。すごくかわいい! 今後の参考にしようと心にメモする。
桐ケ谷はマスコットやぬいぐるみ制作に集中。
あたしと鈴蘭は、自分たちのブースに置くかざりや値札の作成、お金の管理の方法、イベント参加のマナーやルールを勉強した。
そしてゴールデンウイーク突入!
いよいよその日がやってきた。
イベントが始まる前に、出店者は設営のための時間をもらえるから、開始一時間前から会場に入ったよ。
会場は、駅前のビルの最上階にある多目的ホール。広さは、体育館くらいかな。そこに横長の机がたくさん並んでいて、参加者はそれぞれ設営を始めている。
ほとんどが大人の女性たちで、子どもたちはあたしたちくらいのものだ……不安。
両隣の人にもちゃんとごあいさつしてから、あたしたちは机の上にクロスをひき、桐ケ谷が作ったマスコットたちを並べる。
桐ケ谷が今日までに作ったマスコットはどれもかわいい。
まるっこい青い鳥はしあわせを運んでくれそうにふっくらしている。
卵の殻を頭と身体につけた、カラフルな……タコ? はクセが強いけどおもしろい。タコ……。
いじわるそうな笑みを浮かべたパンダもいる。
数十個のマスコットを見るに、すっごくがんばって今日のために作成してきたんだなってわかる。
少しでも、多くの人に好きになってもらいたいって思う。だから、よりマスコットたちがかわいく見えるよう、並べ方も工夫していく。
でも、いっしょにクロスを選んだクマのぬいぐるみはなかった。間に合わなかったのかな……。
ま、これだけの量を作ってきたんなら、仕方ない。期待はしていたけど、桐ケ谷があたしにそこまでしてくれるわけ、ないって心のどこかで思っていたから。
それにしても……。
「子どもだけでだいじょうぶかな……」
無心で作業していくけど、あたしの頭の中はここ数日ずーっと不安でいっぱい! 商売の大変さは、おばあちゃんを見ていれば嫌というほどにわかる。
「陽乃葉って、前向きなんだか後ろ向きなんだかわからないよな」
当日になって急にネガティブになるあたしに、桐ケ谷はツッコミを入れる。とは言いつつ、桐ケ谷の顔も緊張しているように見えるよ。
こわいよね。自信を持って作ったのは間違いないけれど、それが人に受け入れてもらえるかは別問題だもん……。
黙ってしまったあたしの代わりに、鈴蘭が声をあげた。
「桐ケ谷くんのマスコットはかわいいからだいじょうぶだよ! すごいね! 才能ある!」
予想外に、鈴蘭は前向き。人って、わからないものだな……。
あれからも鈴蘭は学校に通い続けているけれど、今日にくらべたら表情はいつも固かった。無理はしないでほしいけど、鈴蘭ががんばりたいと思ったのなら、あたしは応援するし、なにかあれば助ける。
今日みたいに、学校以外の居場所だって作る。
設営が進むことでほかの人たちのスペースの特色が見えきた。
ぬいぐるみやマスコットのほか、アクセサリー、ハーバリウム、ポストカードなどなど、かわいいものがたくさんディスプレイされている。見ているだけでテンションがあがる!
みんな、かわいいもの、きれいなものが好きで、ハンドメイドが大好きな人たちなんだ。仲間って言ってもいいのかな。不安な気持ちが、少し軽減された気がする。
ラックやボードを活用して、華やかに見せている人もいた。すごくかわいい! 今後の参考にしようと心にメモする。
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