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全てが間違いだ……!!
『せいかーい』
ドス黒い目でそう言ったたけもん。真実はこれからだった。低い声を醸し出そうとしているのが分かるが、実質可愛らしい声には変わりない。うん。可愛い。声が。
『君がやっているのは、単なるお人形遊びみたいなものだ。君以外を自由に操作して君の反応を楽しむんだ。いずみもナイトもノヴィアもデイヴも全部偽名だ。設定も全部嘘だ。この街もこの世界も何もかもが矛盾して、嘘ばかりの世界だ』
今思った。なんでもアリだな。この世界は。異世界って聞いてワクワクしたあの気持ちを返せ。切実に。
あと、全部偽名って言ってたけど、たけもんの名前がなかった件について。たけもんは偽名ではないのか?そこのところを聞きたい。俺は偽名じゃないけど。
「あの。急展開すぎて分からないんだけど……。とりあえず、どうやったら天界へ行けるかだけでも……」
早く行きたい。のんびりしたい。転生とか、どうでも……良くはないけど、今は別にしたいとも思わない。ここで真実伝えられて終わり。とかないよな?ちゃんとここ出られるよな?焦りと不安で冷や汗が出る。
『天界?すぐに行けるさ。ただ、行っている途中に体が落ちるから行くときに半端じゃない痛みが襲うけど。君がそれで良いんだったら、連れて行ってあげるよ』
「結構です」
今のたけもんから聞くと、怖すぎて震えてしまう。痛いんだったら今のままで結構。痛いのは無理だ。体が落ちるって……。怖いにも程がある。絶対天界にたけもんとは行かないと誓う。
『ホルストは君がいるべきところじゃない。でも、天界には行きたくない。どういうことかわかるかい?』
俺は、首を横に振った。いや、全然分からないから。
そういえば、街の名前ホルストだったな。これも偽名なのか。どっからが本当でどっからが嘘なのか全くわからなくなってしまった。えっと……たけもん以外の人の名前が偽名で、それと、ホルストは偽名ではない?あれ?色々混ざってる?ホルストは偽名?よく分からないので、偽名ということにしておこう。
『君は、他の街に行かなければならない。ああ、もちろんレベルはそのままだ。ただ、人が変わるだけ。大丈夫だよな?そのくらい』
やっとあいつらから解放することができる!やったぞ!初めての街は絶対に緊張すると思うけど、そこで新たな出会いがあれば、女の子達ときゃっきゃできる!あ、でも、女の子達ときゃっきゃできるのは嘘かもしれないけど。だってあいつらともまともにきゃっきゃしたことなんてないし。何1つ……。
『なんで泣いているんだい?』
「へ?」
気がついたら涙がでていた。何度拭いても、止まらなかった。この急展開さに体がついていけていないのだろうか。あいつらに会いたいとか?いや、違うんじゃないのか。だって別にあいつらのことなんか……。
『その涙は、この街にいたいってことなのかい?それとも、またあの人たちにあいたいってことかい?』
図星をつかれ、ドキッとする。俺は悩んだ。少しの沈黙ではなかった。ずっとずっと、長い沈黙だった。やっと口が開けた時に言ったのは自分でも驚く内容だった。
「どっちも……」
『つまり君は、この街にいたいし、あの人たちにあいたいって言いたいのかい?それは少し難しいんじゃないかな。あの人たちはもう自我がないんだ。自分で動くことは不可能なんだ。それでもなお会いたいと?』
俺は、首を縦に振った。やはり大切な仲間なんだ。大事にしたいし、これからも一緒にいたい。たけもんがなんと言おうと。少し、自分に驚いているが。この展開に。
「これ、たけもんを倒したら本当の異世界に戻れるとかないの?」
面白半分で聞いてみる。これで戻れたら苦労はしない。でも、期待を裏切るたけもんだからな。
『え?あるよ?知らなかったの?あ、だからいつまでも襲ってこないわけだー』
ほら。やっぱり。たけもんが予想を裏切ってしまった。なんだよ、お前。倒したら戻れんのかよ。じゃあ、戻れたら自我が消えていないあいつらに会えるのか。ちょっとホッとした。いや、大分ホッとした。よかった。早く教えてくれ。たけもん。
『じゃあ、倒したってことで良いー?』
……は?何もしてないんだけど……。
『えーだって痛いの嫌だし。どうせ戻るんだったらすぐの方が良いでしょ?だから無理に争わなくたっていいじゃん?って話。分かった?』
女子か!……ツッコミたくなったが、すぐに戻れることには変わりはないのでここはあえて、あえて、突っ込まないようにする。たとえたけもんがツッコミを待っていたとしても。
「あのー早く戻りません?面倒だし。どんどん時間が経っていくと。あいつらも心配すると思うし」
『そうだね。じゃあ、戻ろうか。君に会えて楽しかったよ。あ、最後に一言だけ……』
たけもんが着ぐるみを脱いだ。そこには綺麗な人が立っていた。なんか、あいつに似てる。そう思った瞬間落とされて、ホルストへ向かうのだなと悟った。綺麗な人は、微笑んでこう告げた。
『いずみに大好きだって……後悔はしてないって伝えて……』
その声は暗闇に消されていった。
******
作者は思った。そう、ネタがない。
『せいかーい』
ドス黒い目でそう言ったたけもん。真実はこれからだった。低い声を醸し出そうとしているのが分かるが、実質可愛らしい声には変わりない。うん。可愛い。声が。
『君がやっているのは、単なるお人形遊びみたいなものだ。君以外を自由に操作して君の反応を楽しむんだ。いずみもナイトもノヴィアもデイヴも全部偽名だ。設定も全部嘘だ。この街もこの世界も何もかもが矛盾して、嘘ばかりの世界だ』
今思った。なんでもアリだな。この世界は。異世界って聞いてワクワクしたあの気持ちを返せ。切実に。
あと、全部偽名って言ってたけど、たけもんの名前がなかった件について。たけもんは偽名ではないのか?そこのところを聞きたい。俺は偽名じゃないけど。
「あの。急展開すぎて分からないんだけど……。とりあえず、どうやったら天界へ行けるかだけでも……」
早く行きたい。のんびりしたい。転生とか、どうでも……良くはないけど、今は別にしたいとも思わない。ここで真実伝えられて終わり。とかないよな?ちゃんとここ出られるよな?焦りと不安で冷や汗が出る。
『天界?すぐに行けるさ。ただ、行っている途中に体が落ちるから行くときに半端じゃない痛みが襲うけど。君がそれで良いんだったら、連れて行ってあげるよ』
「結構です」
今のたけもんから聞くと、怖すぎて震えてしまう。痛いんだったら今のままで結構。痛いのは無理だ。体が落ちるって……。怖いにも程がある。絶対天界にたけもんとは行かないと誓う。
『ホルストは君がいるべきところじゃない。でも、天界には行きたくない。どういうことかわかるかい?』
俺は、首を横に振った。いや、全然分からないから。
そういえば、街の名前ホルストだったな。これも偽名なのか。どっからが本当でどっからが嘘なのか全くわからなくなってしまった。えっと……たけもん以外の人の名前が偽名で、それと、ホルストは偽名ではない?あれ?色々混ざってる?ホルストは偽名?よく分からないので、偽名ということにしておこう。
『君は、他の街に行かなければならない。ああ、もちろんレベルはそのままだ。ただ、人が変わるだけ。大丈夫だよな?そのくらい』
やっとあいつらから解放することができる!やったぞ!初めての街は絶対に緊張すると思うけど、そこで新たな出会いがあれば、女の子達ときゃっきゃできる!あ、でも、女の子達ときゃっきゃできるのは嘘かもしれないけど。だってあいつらともまともにきゃっきゃしたことなんてないし。何1つ……。
『なんで泣いているんだい?』
「へ?」
気がついたら涙がでていた。何度拭いても、止まらなかった。この急展開さに体がついていけていないのだろうか。あいつらに会いたいとか?いや、違うんじゃないのか。だって別にあいつらのことなんか……。
『その涙は、この街にいたいってことなのかい?それとも、またあの人たちにあいたいってことかい?』
図星をつかれ、ドキッとする。俺は悩んだ。少しの沈黙ではなかった。ずっとずっと、長い沈黙だった。やっと口が開けた時に言ったのは自分でも驚く内容だった。
「どっちも……」
『つまり君は、この街にいたいし、あの人たちにあいたいって言いたいのかい?それは少し難しいんじゃないかな。あの人たちはもう自我がないんだ。自分で動くことは不可能なんだ。それでもなお会いたいと?』
俺は、首を縦に振った。やはり大切な仲間なんだ。大事にしたいし、これからも一緒にいたい。たけもんがなんと言おうと。少し、自分に驚いているが。この展開に。
「これ、たけもんを倒したら本当の異世界に戻れるとかないの?」
面白半分で聞いてみる。これで戻れたら苦労はしない。でも、期待を裏切るたけもんだからな。
『え?あるよ?知らなかったの?あ、だからいつまでも襲ってこないわけだー』
ほら。やっぱり。たけもんが予想を裏切ってしまった。なんだよ、お前。倒したら戻れんのかよ。じゃあ、戻れたら自我が消えていないあいつらに会えるのか。ちょっとホッとした。いや、大分ホッとした。よかった。早く教えてくれ。たけもん。
『じゃあ、倒したってことで良いー?』
……は?何もしてないんだけど……。
『えーだって痛いの嫌だし。どうせ戻るんだったらすぐの方が良いでしょ?だから無理に争わなくたっていいじゃん?って話。分かった?』
女子か!……ツッコミたくなったが、すぐに戻れることには変わりはないのでここはあえて、あえて、突っ込まないようにする。たとえたけもんがツッコミを待っていたとしても。
「あのー早く戻りません?面倒だし。どんどん時間が経っていくと。あいつらも心配すると思うし」
『そうだね。じゃあ、戻ろうか。君に会えて楽しかったよ。あ、最後に一言だけ……』
たけもんが着ぐるみを脱いだ。そこには綺麗な人が立っていた。なんか、あいつに似てる。そう思った瞬間落とされて、ホルストへ向かうのだなと悟った。綺麗な人は、微笑んでこう告げた。
『いずみに大好きだって……後悔はしてないって伝えて……』
その声は暗闇に消されていった。
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作者は思った。そう、ネタがない。
応援ありがとうございます!
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