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入れ替わりの世界 後編
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「あ、あと14時間も!?冗談じゃないわ!早く取り寄せてよ!」
「取り寄せたとしても来るのは早くて2日後だからねぇ。それは中々難しいんだよ」
「あ、あと1日もこんなクズになりすまして生活しないといけないの!?無理無理無理!!」
ナイトが金切声で叫ぶ中、マスターの深海さんはいたって冷静沈着。ナイトの言うことは放っておくとしても、これはガチでヤバい。
「どうしようか……。俺は今日この世界で知り合った友達と男子会と言う名のエ○本(自主規制)を見る会に参加しなければならないというのに……」
「治……。それは最低なのです……」
しまった……。心の声が漏れてしまっていた。
「わ、私だって!女子会に参加しないといけないのよ!?」
仲間に入るように、ナイトも入ってきた。とりあえず黙っていてほしい。
そんな俺たちの会話を聞いていたマスターは、あくびをしながら答えた。
「そんなものこのまま行っちゃえばいいじゃないか」
一瞬の沈黙。
「は、はぁぁあああああああああ!!!!!??」
「無理無理無理!絶対嫌よ!!!クズサムに代わって男子の中に混ざるなんて!死んでも嫌!」
「俺だって死んでも嫌だぞ!!お前に代わるなんて!」
「じゃあ死ぬぅ?私だったら死ぬよりそのクズサムとやらに代わっていく方がマシだけどねぇ。とにかく命は1人に幾つもないんだ。大事にしなさい」
ぐ、ぐうの音もでねぇ……。
「い、行ってやるわよ!それでいいんでしょ!!治!場所教えなさいよ!」
「お前も場所教えろよ!あと、その口調いい加減直せ!男友達に引かれるだろうが!」
「あんたもその口調直しなさいよ!この女神ナイト様はそんなに口調荒くないんだから!」
どんな耳をしているんだか。とりあえずは行くこと決定……。気が重い。
「じゃあ、2人とも楽しんできてねぇ。私はいずみとノヴィアと仲良く待ってるから。さぁ、いずみ。私と遊ぼうか」
「変な言い方やめるのです。それに、ノヴィアもいるのです」
本当にいずみとノヴィアを置いていっても良いのだろうか。そこも心配で仕方ない。帰ってきた時にいずみがどうなってしまっているのだろうか……。
しかし、現実とは代えがたいものだ。
ナイトと共に歩いて約20分。もう目的地に着いてしまった。
その約20分間にナイトは一言も発さず、ずっと溜息ばかりついていた。隣から物凄く長い溜息が聞こえたのは無視しよう。
「じゃあ、あんたになりきって行ってあげるけど、そっちで絶対変な真似しないでよね!絶対よ!」
「ああ!お前もなあ!絶対に変な会話とかすんなよ!」
「男子会開いてる時点でもう変よ!」
そう行ってズカズカと歩いて行ってしまった。本当に大丈夫なのか……。
俺の友達は引いたりはしないか。ナイトの不必要な言動で。
帰ったりしないか。ナイトの残酷な下ネタで。
もう友達でいてくれなくなるのではないか。ナイトのせいで。
次々と思い当たる不安要素に涙が溢れそうになる。大丈夫なのか……。本当の本当の本当に大丈夫なのだろうか。まあ、俺も結局は女子会に参加せざるをえないのだ。さっさと行ってさっさと帰ろう。
~女子会到着~
な、なんだ……コレ……。
パァァアラダイスじゃねぇかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああ!!!!!!
「ねぇ、ナイト。ジュース。おかわりいる?」
「ええ!喜んで!!!!!」
なんだ!?ナイトの友達ってこんなに可愛い子だったり、美人ばっかりなのか!?
これは、相当の当たりだ。入れ替わりも悪くないなあ……。あと、巨乳の子が多い((
男子だったら絶対そこ思うよな。だって普段あんなバカみたいにいびきかいたり、バカみたいに暴言吐くナイトとやらを見ているのだから。
「ナイトー。あの、治っていう人、どうなったの?」
「へ?治?」
ナ、ナイト!俺のことこの子たちに紹介してくれてたのか!!ありがたいありがたい……。
よし。ここはチャンスだ。いい男だっていうのを広めてやろう!
「治ねぇ!とっても優しくて笑顔が素敵なの!あと、面白いし、なんでもしてくれるし、ホントに一回会ってみなよー!」
彼女たちからのどよめき。うん。悪くない。
「ナイト……どうしちゃったの?この前まであんなに治さんのこと侮辱してたのに」
「は?」
「そうだよ。あ!もしかしてなんか急展開?ねえ、なんかあったの!?」
「ぶ、侮辱って……。お……私なんか言ったっけ?」
「え!?数え切れないほど言ってたじゃん!変態とかクズとか他にも色々!」
「もしかして忘れたの?え、まさかの記憶喪失?」
「だ……だよねぇ。思い出した思い出した!」
ナイト、あとでシバく。クソ……。期待した俺がバカだった。思えばあの自己中生意気女が俺のことよく言うはずないよな。そこに気がつかなかった俺も情けない。
「結局のところ、治さんってどういう人なの?」
「あ、私も聞きたい!」
もう……。いいです。
「あまり、良くはない人です……」
ここまでのテンションの下がりようは他にはなかった。もうこれ以上下がることはないのではないだろうか。
もう直ぐ、入れ替わりがとけるが……。あっちは何もやってないよな……。これ、フラグじゃないからな。絶対に何も起こらずして、俺は入れ替わりを終わりたいんだ。
「そうなんだ。まあ、あんまり治さんのこと気にしてもなかったから、いいんだけどね」
おい。
「あー。なんか、話聞く限りはクズって感じがするよね。会いたくはないかなぁ」
「そんな人と一緒にパーティー組んでるなんて、ナイトも大変なんだね」
「う、うん。そうなんだよねぇ。アハハハ……」
……泣きてぇ!これほどまでに、自分の言いたいことを抑えて別のことを言うのが辛かったなんて……!!!
「じゃあ、もうそろそろお開きにしますか」
「そうだね。私、パーティーに戻ってクエスト行かないといけないし」
私、塾があるから。みたいなノリで行くのはやめてほしい。本当に。まあ、これも異世界特有のノリなんだろうな。
すると、いきなり世界がぐにゃりと曲がり、虹色の景色が辺り一面を覆い尽くした。
「え、なんだこれ……」
目を開けるとあの巨乳で可愛いくて美人なナイトの友達はおらず、かわりに俺の友達2人が立っていた。
「も、戻った……」
長い長い道のりだった!神様。今だけ貴方をリスペクトです。ありがとう……!!!
「な、なあ治。お前……そんな奴だったんだな」
「は?」
「男が好きだなんて……全然知らなかった」
ナイト、あとでシバく。
「べ、別に男が好きって言ってないだろ!?」
「は!?お前あんなに迫ってきてよくもそんな軽々しいことが言えるな!」
「治が俺らに向かって口尖らせてきたり上半身脱がそうとしたり……!!!」
ナイト……お前……!!!
何やってんだよぉぉぉぉぉぉおおおおおお!!!!!
こうして、俺の悲惨な入れ替わりの世界は幕を閉じた。
********
どうもどうも。前編だしたの一ヶ月前!?
ごめんなさい。遅れました。もう直ぐ夏休みも終わりを告げますね。学生の方、今ある時間を有効活用して良い夏休みにしてくださいね。
「取り寄せたとしても来るのは早くて2日後だからねぇ。それは中々難しいんだよ」
「あ、あと1日もこんなクズになりすまして生活しないといけないの!?無理無理無理!!」
ナイトが金切声で叫ぶ中、マスターの深海さんはいたって冷静沈着。ナイトの言うことは放っておくとしても、これはガチでヤバい。
「どうしようか……。俺は今日この世界で知り合った友達と男子会と言う名のエ○本(自主規制)を見る会に参加しなければならないというのに……」
「治……。それは最低なのです……」
しまった……。心の声が漏れてしまっていた。
「わ、私だって!女子会に参加しないといけないのよ!?」
仲間に入るように、ナイトも入ってきた。とりあえず黙っていてほしい。
そんな俺たちの会話を聞いていたマスターは、あくびをしながら答えた。
「そんなものこのまま行っちゃえばいいじゃないか」
一瞬の沈黙。
「は、はぁぁあああああああああ!!!!!??」
「無理無理無理!絶対嫌よ!!!クズサムに代わって男子の中に混ざるなんて!死んでも嫌!」
「俺だって死んでも嫌だぞ!!お前に代わるなんて!」
「じゃあ死ぬぅ?私だったら死ぬよりそのクズサムとやらに代わっていく方がマシだけどねぇ。とにかく命は1人に幾つもないんだ。大事にしなさい」
ぐ、ぐうの音もでねぇ……。
「い、行ってやるわよ!それでいいんでしょ!!治!場所教えなさいよ!」
「お前も場所教えろよ!あと、その口調いい加減直せ!男友達に引かれるだろうが!」
「あんたもその口調直しなさいよ!この女神ナイト様はそんなに口調荒くないんだから!」
どんな耳をしているんだか。とりあえずは行くこと決定……。気が重い。
「じゃあ、2人とも楽しんできてねぇ。私はいずみとノヴィアと仲良く待ってるから。さぁ、いずみ。私と遊ぼうか」
「変な言い方やめるのです。それに、ノヴィアもいるのです」
本当にいずみとノヴィアを置いていっても良いのだろうか。そこも心配で仕方ない。帰ってきた時にいずみがどうなってしまっているのだろうか……。
しかし、現実とは代えがたいものだ。
ナイトと共に歩いて約20分。もう目的地に着いてしまった。
その約20分間にナイトは一言も発さず、ずっと溜息ばかりついていた。隣から物凄く長い溜息が聞こえたのは無視しよう。
「じゃあ、あんたになりきって行ってあげるけど、そっちで絶対変な真似しないでよね!絶対よ!」
「ああ!お前もなあ!絶対に変な会話とかすんなよ!」
「男子会開いてる時点でもう変よ!」
そう行ってズカズカと歩いて行ってしまった。本当に大丈夫なのか……。
俺の友達は引いたりはしないか。ナイトの不必要な言動で。
帰ったりしないか。ナイトの残酷な下ネタで。
もう友達でいてくれなくなるのではないか。ナイトのせいで。
次々と思い当たる不安要素に涙が溢れそうになる。大丈夫なのか……。本当の本当の本当に大丈夫なのだろうか。まあ、俺も結局は女子会に参加せざるをえないのだ。さっさと行ってさっさと帰ろう。
~女子会到着~
な、なんだ……コレ……。
パァァアラダイスじゃねぇかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああ!!!!!!
「ねぇ、ナイト。ジュース。おかわりいる?」
「ええ!喜んで!!!!!」
なんだ!?ナイトの友達ってこんなに可愛い子だったり、美人ばっかりなのか!?
これは、相当の当たりだ。入れ替わりも悪くないなあ……。あと、巨乳の子が多い((
男子だったら絶対そこ思うよな。だって普段あんなバカみたいにいびきかいたり、バカみたいに暴言吐くナイトとやらを見ているのだから。
「ナイトー。あの、治っていう人、どうなったの?」
「へ?治?」
ナ、ナイト!俺のことこの子たちに紹介してくれてたのか!!ありがたいありがたい……。
よし。ここはチャンスだ。いい男だっていうのを広めてやろう!
「治ねぇ!とっても優しくて笑顔が素敵なの!あと、面白いし、なんでもしてくれるし、ホントに一回会ってみなよー!」
彼女たちからのどよめき。うん。悪くない。
「ナイト……どうしちゃったの?この前まであんなに治さんのこと侮辱してたのに」
「は?」
「そうだよ。あ!もしかしてなんか急展開?ねえ、なんかあったの!?」
「ぶ、侮辱って……。お……私なんか言ったっけ?」
「え!?数え切れないほど言ってたじゃん!変態とかクズとか他にも色々!」
「もしかして忘れたの?え、まさかの記憶喪失?」
「だ……だよねぇ。思い出した思い出した!」
ナイト、あとでシバく。クソ……。期待した俺がバカだった。思えばあの自己中生意気女が俺のことよく言うはずないよな。そこに気がつかなかった俺も情けない。
「結局のところ、治さんってどういう人なの?」
「あ、私も聞きたい!」
もう……。いいです。
「あまり、良くはない人です……」
ここまでのテンションの下がりようは他にはなかった。もうこれ以上下がることはないのではないだろうか。
もう直ぐ、入れ替わりがとけるが……。あっちは何もやってないよな……。これ、フラグじゃないからな。絶対に何も起こらずして、俺は入れ替わりを終わりたいんだ。
「そうなんだ。まあ、あんまり治さんのこと気にしてもなかったから、いいんだけどね」
おい。
「あー。なんか、話聞く限りはクズって感じがするよね。会いたくはないかなぁ」
「そんな人と一緒にパーティー組んでるなんて、ナイトも大変なんだね」
「う、うん。そうなんだよねぇ。アハハハ……」
……泣きてぇ!これほどまでに、自分の言いたいことを抑えて別のことを言うのが辛かったなんて……!!!
「じゃあ、もうそろそろお開きにしますか」
「そうだね。私、パーティーに戻ってクエスト行かないといけないし」
私、塾があるから。みたいなノリで行くのはやめてほしい。本当に。まあ、これも異世界特有のノリなんだろうな。
すると、いきなり世界がぐにゃりと曲がり、虹色の景色が辺り一面を覆い尽くした。
「え、なんだこれ……」
目を開けるとあの巨乳で可愛いくて美人なナイトの友達はおらず、かわりに俺の友達2人が立っていた。
「も、戻った……」
長い長い道のりだった!神様。今だけ貴方をリスペクトです。ありがとう……!!!
「な、なあ治。お前……そんな奴だったんだな」
「は?」
「男が好きだなんて……全然知らなかった」
ナイト、あとでシバく。
「べ、別に男が好きって言ってないだろ!?」
「は!?お前あんなに迫ってきてよくもそんな軽々しいことが言えるな!」
「治が俺らに向かって口尖らせてきたり上半身脱がそうとしたり……!!!」
ナイト……お前……!!!
何やってんだよぉぉぉぉぉぉおおおおおお!!!!!
こうして、俺の悲惨な入れ替わりの世界は幕を閉じた。
********
どうもどうも。前編だしたの一ヶ月前!?
ごめんなさい。遅れました。もう直ぐ夏休みも終わりを告げますね。学生の方、今ある時間を有効活用して良い夏休みにしてくださいね。
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