146 / 161
10巻
10-2
しおりを挟む
◆ ◆ ◆
皆がいなくなってしまい、リグを抱えて小走りでアインドへ戻る。
大通りを抜けて噴水広場へ行くと、隅っこの方に、ガックリ肩を落としているヒバリ達がいた。
俺が近寄ると、メイや小桜小麦がパッと顔を上げ、それに合わせて顔を上げ、一気に口を開くヒタキ、ヒバリ、ミィ。
「……む、ステータス下がったしお金もちょっぴり失った」
「めっちゃ悔しい~!」
「ファンタジーは脳筋だけではダメですのね……」
そう言えば、初めて死に戻りってやつ? をしたな。
ステータスが下がって、お金も失うというペナルティがあって、ステータスが下がる時間は1時間だっけ?
落ち込んでいた彼女達も、少し経てば元気を取り戻し、早速ゴーレムを倒すための作戦を立て始めた。
弱点が露出していないゴーレムなら、高火力で一気にHPを削りきる。
物理耐性のあるゴーレムなら、魔法攻撃。
他にギミックと呼ばれる仕掛けがあるなら、それをどうにかすれば弱体化するとかなんとか。
ヒタキが攻撃の合間に、ゴーレムの様々なところをスクリーンショットしていたので、じっくりねっとりと弱点を探す。
「石っぽいのは無い……」
ヒタキが頑張って撮ったスクリーンショットを見ても、ミィが言っていた魔石の露出は無い。
うーん、いつものチーム編成に魔法とか全部盛りすれば行けるかな……って、これがいわゆる脳みそ筋肉かもしれない。
負けたことによるペナルティがあるから、再戦は時間が経ってからだけどな。
失った分のお金を俺が渡すと、ヒバリ達は屋台へ走って行ってしまった。
お菓子や買い食いにはあまり興味ないし、俺はリグ達と大人しく待つことにした。
暇なのでスクリーンショットを眺める。
魔石なぁ……頭の天辺にも無いから足? いや、関節とか見えない場所? 脇? 太股?
「……んん? いーえむいー、てぃーえいち?」
頭にある溝に、微かな文字が彫られていることに気づいた俺は、視力の限界と戦いながら一文字一文字読んでいく。
emeth? 読み方はそのままで良いのかな?
そんなことをしていたら、ヒバリ達が屋台巡りから帰ってきた。
もちろん両手には戦利品が握られ、口をモグモグさせたヒバリが俺の手元を覗いてくる。
「ふぇへ?」
「……ヒバリちゃん、口にものがあるときはしゃべっちゃダメ」
「あ! そうでした。ゴーレムには大概、エメスと書かれているのがお約束でしたわ。確か真理、生命を吹き込むという意味です。こちらもお約束なのですが、頭のeを消してメスにすると、自壊するのです。ここを狙えば次は勝てますかしら?」
ミィがお約束と口にしていることから、ゲームのゴーレムにはよくある展開らしい。
敵の弱点が分かったと言っても、その文字が彫り込まれているのは、頭というか、額にある真一文字の溝。狙って消すには難しい位置だ。
弱点があるなら余裕余裕と、やっとの思いで肉を呑み込んだヒバリが、作戦会議を始めた。
ヒバリがゴーレムの敵愾心を煽り、ミィとメイが攻撃などは変更なし。
しかし、なんと今回、重要な役割を持つのは小桜と小麦。
2匹のにゃん術で、ひたすら頑張って文字を削ってもらおうって寸法だ。
もちろん俺はヒバリにポーションを投げる係。
リグはゴーレムの関節に糸を吐いて行動を阻害する係で、ヒタキは遊撃隊としてサポート。
そんなこんなで色々と話していたら、ステータスダウンも終わり、ヒバリ達がとてもやる気に満ち溢れている。やる気があるのは良いことだ。
「よぉ~し、第2回戦に向けて出発~!」
元気の良いヒバリのかけ声と共に、俺達は再び歩き出す。
先ほどと同じだけの時間をかけてゴーレムの場所へたどり着き、鎮座している大岩を確認。
近寄らなければ大丈夫っぽいけど、いつ暴れ出すか分かったものじゃ無いからな。とりあえず位置について準備しよう。
ゴーレムの正面にはヒバリ、左右にミィとメイ、ゴーレムの後方にヒタキ、ヒバリの後ろの方に小桜と小麦。
リグは俺の頭から下りて、元気良くピョンピョン飛び跳ねていて、すごく可愛いと思いました。
皆がポジションにつくと、ヒバリの一撃と共に戦いが始まる。
「メイ! 足の関節を狙いますわ、出来れば折りますわよ!」
「めめっ! めぇめめぇめ!」
「ふっふっふ、今回は全部の攻撃を受け止めてみせるんだからね!」
俺はポーション係なので、ゴーレムからの攻撃が来ない場所にいる。
やはりゴーレムの大振りな攻撃が掠るだけでも、ヒバリのHPがゴリッと削られてしまう。
俺はすぐさまヒバリにHPポーションを投げ、補填出来たことを確認してホッとする。
ひたすら投げるだけの簡単なお仕事……ただし気を揉む。
「この攻撃は横に飛んで、斜めからの振りかぶりは盾を当ててそらして、正拳突きも横に飛ぶ! あとぶん回しは後ろに飛ぶ!」
前回の戦いからなにかを学んだヒバリは、大きな独り言を呟きながら、自分の何倍もの体格差があるゴーレムの攻撃を、避けたりそらしたりと忙しない。
若干ハラハラしながら見守っていると、ヒタキが大きな声で「あ!」と言うので、そちらに視線を向ける。
彼女が両手に持っていたナイフの1本が無くなっているので、多分それ関係だと思うけど。
「ナイフ投げたら関節に刺さって抜けなくなった。がっくし」
「メイ聞きましたわね! あのナイフを狙って大鉄槌を打ち付けなさい。きっとゴーレムの足が壊れますわ!」
「めっ!」
ヒタキの悲しい嘆きに反応したのはもちろんミィで、的確にメイへ指示を出した。
ヒタキがナイフを見て、なんとも言えない表情を浮かべているけど、これも魔物を倒すための尊い犠牲ということで諦めてくれ。
よそ見をしていると思われそうだけど、ヒバリにポーションを投げる作業を忘てはいない。
あと、小桜と小麦にはMPポーションかな。
何度もにゃん術で頭の溝にある文字を消そうと頑張っているが、さすがにゴーレムも自身の弱点だと分かっているのか、しっかり手で守るので上手くいっていない。
けど、守るものがたくさんあるのは大変らしい。どんどんゴーレムの動きが鈍ってくる。
リグが何をしているのかと言うと、頑張って糸を吐いているんだけど、ゴーレムに通用するわけも無く、ちょっと落ち込み気味の背中が悲しい。
チラッとこちらを見たので、手招きで呼び戻しておいた。
そしてHPが半分を切ったヒバリの背中に向け、HPポーションを放る。よし、投擲成功率は6割だ。
卓越したジャンプ技術により俺の頭に着地したリグに、簡単な提案をしてみる。
「リグ、俺のMPも全部使って、強い糸吐けるか?」
「シ、シュッ!」
「ゴーレムに一泡吹かせてやろう」
「シュッシュ」
妹達のために、一瞬の隙を作ることが出来れば、って感じ。
リグからOKをもらったので、俺は早速行動に移すことにした。
◆ ◆ ◆
リグ自身のMPと、俺の【MP譲渡】で渡したMPを使い、しっかりがっしりした糸を、投網のように投げてもらう。
ゴーレムは邪魔くさそうに糸を払うも、今度はちゃんとまとわりついた。
ゴーレムが腕を振り上げた瞬間、リグの体がフワッと持ち上がったので、俺は糸を掴み踏ん張った。
なんとなく読めてはいたけど、俺が踏ん張っても、あの岩で出来たゴーレムに力で勝てはしない。
そして、俺とリグは面白いくらい簡単に宙を舞った。
わぁ、良い天気だぁ。
「ふぁっ! あばばば! ツグ兄ぃが空飛んでるんですけど!」
「でも今が攻め時ですわ! メイ!」
「めっ!」
俺とリグが空を飛んだことに驚いたヒバリだったが、彼女以外の対応は早い。
ミィとメイの猛攻が始まった。
時間がゆっくり進むのを感じながら、俺は来る衝撃に備え、体に力を入れた。
俺がリグを離せばスマートな着地が出来るかも、なんて思ったが体は動かない。
痛くないから大丈夫だと信じて目を瞑る。
「おーらぁーいおーらぁーい」
ヒタキの間延びした声が聞こえて、衝撃の代わりに細くて柔らかいものに包まれた。
恐る恐る目を開くと、珍しく満面の笑みを浮かべたヒタキの姿。
お姫様だっこ……いや、コレは横抱きでただの救助活動。気にしたら負け。
上機嫌なヒタキと苦笑いの俺が顔を見合わせていると、ガラガラと大きなものが崩れる音がして、ヒバリが声を張り上げた。
「よっし! ゴーレム倒した! ひぃちゃん、ツグ兄ぃは!」
「ん、無事。リグも無事」
「シュ~」
ヒバリに返事をするヒタキの肩越しに視線を向けると、あれだけ大きな敵だったゴーレムが岩の塊と化し、光の粒となって消え去ろうとしていた。
って、早くヒタキから下りないと。
「た、助かったよヒタキ。ありがとう」
「ん」
ちょっと恥ずかしいけれど、ヒタキの機転によって俺とリグが助かったので、ちゃんとしっかり感謝しなければ。
それにしても、もう少し考えて行動しないとダメだな。
俺の作戦は、ゴーレムじゃなくてヒバリを一泡吹かせた感じになってしまったし。反省。
ゴーレム戦は俺とリグが空を舞った一瞬に決まり、トドメの一撃は、小桜と小麦のにゃん術だったらしい。
俺達の糸を振り払うため片腕が使えず、もう一方の腕はヒバリの相手。
すると足元ががら空きになるので、ミィとメイがゴーレムの関節に刺さっているナイフを執拗に狙い、狙い通り足に亀裂を入れることに成功する。
ゴーレムは石で出来ていて重いので、自重に耐えられず、片足は崩れ去った。
片膝をついた分ゴーレムの頭も下がり、チャンスとばかりに小桜と小麦がにゃん術で攻撃。
あとは時間の問題ですぐに倒すことができ、今に至るってわけだ。
俺も一応役には立ったわけだけど、自分とリグの身を危険にさらしているので落第点だな。
「ゴーレム倒したし、ギルドに報告してから反省会でもする?」
武器をしまったヒバリが俺達を見渡し、とりあえずといった感じで提案した。
ヒタキがヒバリの近くに寄り、至極真顔で「ギルドには行くけど、私は過去を振り返らない女」と一言。皆でひとしきり笑ってから、アインドへ向かう。
「過去は振り返らないにしても、今回の作戦はもう少し練った方が良かったのは確かですわ。情報収集も不十分でしたものね。情報は世界を制しますのに」
「んん~、私達は屍を越えて前進するのです」
「む、自分達の屍で前進する件について」
楽しそうに話しながら歩くヒバリ達の後ろに、俺とペット達が続く。
リグは俺の頭の上にいるから良いとして、メイや小桜、小麦は疲れてないんだろうか?
視線を落としメイ達を見ると、それはそれは元気な姿が目に映った。スキップしそうな勢いだ。
元気なのは良いことだ。うん。
ヒタキ大先生のスキルのおかげで、魔物に絡まれること無くアインドに帰還。
ささっとギルドにゴーレム退治の報告をして、いつものように噴水広場の端っこに陣取った。
するとヒバリが「ねぇねぇ、こいつを見て」と、自身のインベントリからアイアンバックラーを取り出す。
アイアンバックラーは真ん中が大きくヘコんでおり、その他にも大小様々なヘコみがあって、もはや盾としての機能は無さそうだ。
もちろん説明文には破損と書いてあり、次は鍛冶屋へ行かないと……かな。
ところが、ヒバリは盾をしまい、俺に向かって両手を突き出してきた。
「むふ~、お駄賃くれたら鍛冶屋さん行ってくるよ」
「え、ついていかなくても良いのか?」
「お駄賃! お駄賃! お、だ、ち、ん!」
「えー。まぁ良いけど」
見る者も楽しくなるニコニコ笑顔で手を差し出してくるものだから、俺はお正月にお年玉を孫へあげる祖父母の気分を味わいつつ、多めにお駄賃を渡した。
ヒタキもミィもついて行くだろうし、なんか食べたいものがあったら買ってお食べ、って感じで。
「じゃあ行ってきます!」
「ツグ兄ぃ、お留守番よろしくね」
「めっめめぇめ~!」
元気に走り去っていくヒバリ達3人を見送り、俺とメイ達は芝生の上に座って、ちょっと休憩。
仲の良さそうな親子が座って、ベンチが全て埋まったので、たまにはこういう自然を感じられる場所に座ればいいと思う。
寝転がってる人もいるけど、それはしなくていいや。
インベントリの隅にちょっと残っていたクラーケンボールを取り出し、期待に満ち溢れたリグ達に渡そうとすると、違うと首を横に振られた。
これはもしや、マシュマロキャッチを、このクラーケンボールでやって欲しい、と?
受け止められる自信があるなら良し、俺の投げで良ければやろうじゃないか。
右からリグ、メイ、小桜、小麦が横一列に並び、俺がクラーケンボールを投げるのを今か今かと待ちわびている。
そこまで数が無いので、クラーケンボールを4つに割り、まずはリグへ軽く投げる。
リグは少し身を屈め、簡単だと言わんばかりに跳び上がり、クラーケンボールをくわえ、クルッと前転して着地した。
幸せそうに口をモグモグさせていて可愛らしい。
「素晴らしい運動神経を持ってるみたいだな。ほい、ほいほい。おー、ちょっと羨ましい」
手放しで褒めてあげたいが、クラーケンボールを持っているし、メイと小桜小麦も投げて欲しいと待っている。
ポンポンポーンっと軽く投げると、メイも小桜も小麦も、軽やかな動きでくわえてモグモグ。
3回それをやって、在庫がなくなりおしまい。美味しく楽しめたはず。
「「にゃにゃっ」」
「ん? あ、帰ってきたな」
小桜と小麦が小さく鳴きながら俺の方を見て、プイッと顔を背けた。
その先を見ると、ヒバリ達がホクホクした表情を浮かべ、帰ってくる姿が見える。
妹達はクレープのような、具材をなにかで巻いた食べ物を持っていた。
本当に色々売ってるんだなぁ。
◆ ◆ ◆
ヒバリから肉巻きクレープを受け取り、俺は興味津々のリグと一緒に食べ始めた。
座ったヒバリ達もメイ達と食べ始め、ゆったりとした時間が流れる。
リグに食べさせるのが楽しく、俺はほとんどあげてしまった。
残った紙ゴミを地面に置くと、規定の時間待てば消え去る。
同じ食べ終えたヒバリが自身の口をグィッと拭い、俺の方を見た。
「さて、一大イベントはまだ終わってないよ~!」
「そうですわね。たくさん考えたイベントが残っておりますの」
ミィもヒバリの言葉を肯定するように頷き、手を合わせてニッコリ微笑む。
ゴーレム退治で一大イベントが終わった気でいたけど、楽しそうな彼女達を見れば、それが間違いであることは一目瞭然。
くふくふと謎の声で楽しそうに笑うヒバリを横目に、ヒタキがウインドウを開いて見せてきた。
覗き込むと……ええと【子供職場体験・アインド騎士団】か。
騎士団の職場体験って、具体的にはなにをするんだ?
俺の気持ちをヒタキは察したのか、画面をスクロールして体験内容の場所を指で示す。
【子供職場体験・アインド騎士団】
・15歳以下のお子様を対象としており、勇敢なアインド騎士団の職場体験をすることが出来ます。
・保護者の方の付き添いを必須とさせていただきます。
・職場体験の主な任務は、市民の安全を守る見回りです。
・見回り時は随行員の指示に必ず従ってください。
主な内容はこんな感じか。
見回りついでに、市民へのアピールの意味合いもありそうだ。
騎士団員について回った市民が、憧れて入団してくれたら良いな、って思惑があるかもしれない。推測だけども。
「ここでしか体験出来ないイベント、それは騎士団の職場体験」
「子供向けですので大したことはいたしませんが、普通では出来ないことはとても心が躍りますわ」
「ツグ兄ぃ、一緒に見回りして治安守ろう~!」
「ツグ兄がいないと無理、だから」
答えはもちろん「良い」に決まっているので、俺はしっかりと頷いた。
でも……と、暗くなってきた空を見上げる。
ゴーレムとの戦闘に意外と時間を取られたので、今から職場体験をすると遅くなってしまう。仕切り直ししないと。
皆がいなくなってしまい、リグを抱えて小走りでアインドへ戻る。
大通りを抜けて噴水広場へ行くと、隅っこの方に、ガックリ肩を落としているヒバリ達がいた。
俺が近寄ると、メイや小桜小麦がパッと顔を上げ、それに合わせて顔を上げ、一気に口を開くヒタキ、ヒバリ、ミィ。
「……む、ステータス下がったしお金もちょっぴり失った」
「めっちゃ悔しい~!」
「ファンタジーは脳筋だけではダメですのね……」
そう言えば、初めて死に戻りってやつ? をしたな。
ステータスが下がって、お金も失うというペナルティがあって、ステータスが下がる時間は1時間だっけ?
落ち込んでいた彼女達も、少し経てば元気を取り戻し、早速ゴーレムを倒すための作戦を立て始めた。
弱点が露出していないゴーレムなら、高火力で一気にHPを削りきる。
物理耐性のあるゴーレムなら、魔法攻撃。
他にギミックと呼ばれる仕掛けがあるなら、それをどうにかすれば弱体化するとかなんとか。
ヒタキが攻撃の合間に、ゴーレムの様々なところをスクリーンショットしていたので、じっくりねっとりと弱点を探す。
「石っぽいのは無い……」
ヒタキが頑張って撮ったスクリーンショットを見ても、ミィが言っていた魔石の露出は無い。
うーん、いつものチーム編成に魔法とか全部盛りすれば行けるかな……って、これがいわゆる脳みそ筋肉かもしれない。
負けたことによるペナルティがあるから、再戦は時間が経ってからだけどな。
失った分のお金を俺が渡すと、ヒバリ達は屋台へ走って行ってしまった。
お菓子や買い食いにはあまり興味ないし、俺はリグ達と大人しく待つことにした。
暇なのでスクリーンショットを眺める。
魔石なぁ……頭の天辺にも無いから足? いや、関節とか見えない場所? 脇? 太股?
「……んん? いーえむいー、てぃーえいち?」
頭にある溝に、微かな文字が彫られていることに気づいた俺は、視力の限界と戦いながら一文字一文字読んでいく。
emeth? 読み方はそのままで良いのかな?
そんなことをしていたら、ヒバリ達が屋台巡りから帰ってきた。
もちろん両手には戦利品が握られ、口をモグモグさせたヒバリが俺の手元を覗いてくる。
「ふぇへ?」
「……ヒバリちゃん、口にものがあるときはしゃべっちゃダメ」
「あ! そうでした。ゴーレムには大概、エメスと書かれているのがお約束でしたわ。確か真理、生命を吹き込むという意味です。こちらもお約束なのですが、頭のeを消してメスにすると、自壊するのです。ここを狙えば次は勝てますかしら?」
ミィがお約束と口にしていることから、ゲームのゴーレムにはよくある展開らしい。
敵の弱点が分かったと言っても、その文字が彫り込まれているのは、頭というか、額にある真一文字の溝。狙って消すには難しい位置だ。
弱点があるなら余裕余裕と、やっとの思いで肉を呑み込んだヒバリが、作戦会議を始めた。
ヒバリがゴーレムの敵愾心を煽り、ミィとメイが攻撃などは変更なし。
しかし、なんと今回、重要な役割を持つのは小桜と小麦。
2匹のにゃん術で、ひたすら頑張って文字を削ってもらおうって寸法だ。
もちろん俺はヒバリにポーションを投げる係。
リグはゴーレムの関節に糸を吐いて行動を阻害する係で、ヒタキは遊撃隊としてサポート。
そんなこんなで色々と話していたら、ステータスダウンも終わり、ヒバリ達がとてもやる気に満ち溢れている。やる気があるのは良いことだ。
「よぉ~し、第2回戦に向けて出発~!」
元気の良いヒバリのかけ声と共に、俺達は再び歩き出す。
先ほどと同じだけの時間をかけてゴーレムの場所へたどり着き、鎮座している大岩を確認。
近寄らなければ大丈夫っぽいけど、いつ暴れ出すか分かったものじゃ無いからな。とりあえず位置について準備しよう。
ゴーレムの正面にはヒバリ、左右にミィとメイ、ゴーレムの後方にヒタキ、ヒバリの後ろの方に小桜と小麦。
リグは俺の頭から下りて、元気良くピョンピョン飛び跳ねていて、すごく可愛いと思いました。
皆がポジションにつくと、ヒバリの一撃と共に戦いが始まる。
「メイ! 足の関節を狙いますわ、出来れば折りますわよ!」
「めめっ! めぇめめぇめ!」
「ふっふっふ、今回は全部の攻撃を受け止めてみせるんだからね!」
俺はポーション係なので、ゴーレムからの攻撃が来ない場所にいる。
やはりゴーレムの大振りな攻撃が掠るだけでも、ヒバリのHPがゴリッと削られてしまう。
俺はすぐさまヒバリにHPポーションを投げ、補填出来たことを確認してホッとする。
ひたすら投げるだけの簡単なお仕事……ただし気を揉む。
「この攻撃は横に飛んで、斜めからの振りかぶりは盾を当ててそらして、正拳突きも横に飛ぶ! あとぶん回しは後ろに飛ぶ!」
前回の戦いからなにかを学んだヒバリは、大きな独り言を呟きながら、自分の何倍もの体格差があるゴーレムの攻撃を、避けたりそらしたりと忙しない。
若干ハラハラしながら見守っていると、ヒタキが大きな声で「あ!」と言うので、そちらに視線を向ける。
彼女が両手に持っていたナイフの1本が無くなっているので、多分それ関係だと思うけど。
「ナイフ投げたら関節に刺さって抜けなくなった。がっくし」
「メイ聞きましたわね! あのナイフを狙って大鉄槌を打ち付けなさい。きっとゴーレムの足が壊れますわ!」
「めっ!」
ヒタキの悲しい嘆きに反応したのはもちろんミィで、的確にメイへ指示を出した。
ヒタキがナイフを見て、なんとも言えない表情を浮かべているけど、これも魔物を倒すための尊い犠牲ということで諦めてくれ。
よそ見をしていると思われそうだけど、ヒバリにポーションを投げる作業を忘てはいない。
あと、小桜と小麦にはMPポーションかな。
何度もにゃん術で頭の溝にある文字を消そうと頑張っているが、さすがにゴーレムも自身の弱点だと分かっているのか、しっかり手で守るので上手くいっていない。
けど、守るものがたくさんあるのは大変らしい。どんどんゴーレムの動きが鈍ってくる。
リグが何をしているのかと言うと、頑張って糸を吐いているんだけど、ゴーレムに通用するわけも無く、ちょっと落ち込み気味の背中が悲しい。
チラッとこちらを見たので、手招きで呼び戻しておいた。
そしてHPが半分を切ったヒバリの背中に向け、HPポーションを放る。よし、投擲成功率は6割だ。
卓越したジャンプ技術により俺の頭に着地したリグに、簡単な提案をしてみる。
「リグ、俺のMPも全部使って、強い糸吐けるか?」
「シ、シュッ!」
「ゴーレムに一泡吹かせてやろう」
「シュッシュ」
妹達のために、一瞬の隙を作ることが出来れば、って感じ。
リグからOKをもらったので、俺は早速行動に移すことにした。
◆ ◆ ◆
リグ自身のMPと、俺の【MP譲渡】で渡したMPを使い、しっかりがっしりした糸を、投網のように投げてもらう。
ゴーレムは邪魔くさそうに糸を払うも、今度はちゃんとまとわりついた。
ゴーレムが腕を振り上げた瞬間、リグの体がフワッと持ち上がったので、俺は糸を掴み踏ん張った。
なんとなく読めてはいたけど、俺が踏ん張っても、あの岩で出来たゴーレムに力で勝てはしない。
そして、俺とリグは面白いくらい簡単に宙を舞った。
わぁ、良い天気だぁ。
「ふぁっ! あばばば! ツグ兄ぃが空飛んでるんですけど!」
「でも今が攻め時ですわ! メイ!」
「めっ!」
俺とリグが空を飛んだことに驚いたヒバリだったが、彼女以外の対応は早い。
ミィとメイの猛攻が始まった。
時間がゆっくり進むのを感じながら、俺は来る衝撃に備え、体に力を入れた。
俺がリグを離せばスマートな着地が出来るかも、なんて思ったが体は動かない。
痛くないから大丈夫だと信じて目を瞑る。
「おーらぁーいおーらぁーい」
ヒタキの間延びした声が聞こえて、衝撃の代わりに細くて柔らかいものに包まれた。
恐る恐る目を開くと、珍しく満面の笑みを浮かべたヒタキの姿。
お姫様だっこ……いや、コレは横抱きでただの救助活動。気にしたら負け。
上機嫌なヒタキと苦笑いの俺が顔を見合わせていると、ガラガラと大きなものが崩れる音がして、ヒバリが声を張り上げた。
「よっし! ゴーレム倒した! ひぃちゃん、ツグ兄ぃは!」
「ん、無事。リグも無事」
「シュ~」
ヒバリに返事をするヒタキの肩越しに視線を向けると、あれだけ大きな敵だったゴーレムが岩の塊と化し、光の粒となって消え去ろうとしていた。
って、早くヒタキから下りないと。
「た、助かったよヒタキ。ありがとう」
「ん」
ちょっと恥ずかしいけれど、ヒタキの機転によって俺とリグが助かったので、ちゃんとしっかり感謝しなければ。
それにしても、もう少し考えて行動しないとダメだな。
俺の作戦は、ゴーレムじゃなくてヒバリを一泡吹かせた感じになってしまったし。反省。
ゴーレム戦は俺とリグが空を舞った一瞬に決まり、トドメの一撃は、小桜と小麦のにゃん術だったらしい。
俺達の糸を振り払うため片腕が使えず、もう一方の腕はヒバリの相手。
すると足元ががら空きになるので、ミィとメイがゴーレムの関節に刺さっているナイフを執拗に狙い、狙い通り足に亀裂を入れることに成功する。
ゴーレムは石で出来ていて重いので、自重に耐えられず、片足は崩れ去った。
片膝をついた分ゴーレムの頭も下がり、チャンスとばかりに小桜と小麦がにゃん術で攻撃。
あとは時間の問題ですぐに倒すことができ、今に至るってわけだ。
俺も一応役には立ったわけだけど、自分とリグの身を危険にさらしているので落第点だな。
「ゴーレム倒したし、ギルドに報告してから反省会でもする?」
武器をしまったヒバリが俺達を見渡し、とりあえずといった感じで提案した。
ヒタキがヒバリの近くに寄り、至極真顔で「ギルドには行くけど、私は過去を振り返らない女」と一言。皆でひとしきり笑ってから、アインドへ向かう。
「過去は振り返らないにしても、今回の作戦はもう少し練った方が良かったのは確かですわ。情報収集も不十分でしたものね。情報は世界を制しますのに」
「んん~、私達は屍を越えて前進するのです」
「む、自分達の屍で前進する件について」
楽しそうに話しながら歩くヒバリ達の後ろに、俺とペット達が続く。
リグは俺の頭の上にいるから良いとして、メイや小桜、小麦は疲れてないんだろうか?
視線を落としメイ達を見ると、それはそれは元気な姿が目に映った。スキップしそうな勢いだ。
元気なのは良いことだ。うん。
ヒタキ大先生のスキルのおかげで、魔物に絡まれること無くアインドに帰還。
ささっとギルドにゴーレム退治の報告をして、いつものように噴水広場の端っこに陣取った。
するとヒバリが「ねぇねぇ、こいつを見て」と、自身のインベントリからアイアンバックラーを取り出す。
アイアンバックラーは真ん中が大きくヘコんでおり、その他にも大小様々なヘコみがあって、もはや盾としての機能は無さそうだ。
もちろん説明文には破損と書いてあり、次は鍛冶屋へ行かないと……かな。
ところが、ヒバリは盾をしまい、俺に向かって両手を突き出してきた。
「むふ~、お駄賃くれたら鍛冶屋さん行ってくるよ」
「え、ついていかなくても良いのか?」
「お駄賃! お駄賃! お、だ、ち、ん!」
「えー。まぁ良いけど」
見る者も楽しくなるニコニコ笑顔で手を差し出してくるものだから、俺はお正月にお年玉を孫へあげる祖父母の気分を味わいつつ、多めにお駄賃を渡した。
ヒタキもミィもついて行くだろうし、なんか食べたいものがあったら買ってお食べ、って感じで。
「じゃあ行ってきます!」
「ツグ兄ぃ、お留守番よろしくね」
「めっめめぇめ~!」
元気に走り去っていくヒバリ達3人を見送り、俺とメイ達は芝生の上に座って、ちょっと休憩。
仲の良さそうな親子が座って、ベンチが全て埋まったので、たまにはこういう自然を感じられる場所に座ればいいと思う。
寝転がってる人もいるけど、それはしなくていいや。
インベントリの隅にちょっと残っていたクラーケンボールを取り出し、期待に満ち溢れたリグ達に渡そうとすると、違うと首を横に振られた。
これはもしや、マシュマロキャッチを、このクラーケンボールでやって欲しい、と?
受け止められる自信があるなら良し、俺の投げで良ければやろうじゃないか。
右からリグ、メイ、小桜、小麦が横一列に並び、俺がクラーケンボールを投げるのを今か今かと待ちわびている。
そこまで数が無いので、クラーケンボールを4つに割り、まずはリグへ軽く投げる。
リグは少し身を屈め、簡単だと言わんばかりに跳び上がり、クラーケンボールをくわえ、クルッと前転して着地した。
幸せそうに口をモグモグさせていて可愛らしい。
「素晴らしい運動神経を持ってるみたいだな。ほい、ほいほい。おー、ちょっと羨ましい」
手放しで褒めてあげたいが、クラーケンボールを持っているし、メイと小桜小麦も投げて欲しいと待っている。
ポンポンポーンっと軽く投げると、メイも小桜も小麦も、軽やかな動きでくわえてモグモグ。
3回それをやって、在庫がなくなりおしまい。美味しく楽しめたはず。
「「にゃにゃっ」」
「ん? あ、帰ってきたな」
小桜と小麦が小さく鳴きながら俺の方を見て、プイッと顔を背けた。
その先を見ると、ヒバリ達がホクホクした表情を浮かべ、帰ってくる姿が見える。
妹達はクレープのような、具材をなにかで巻いた食べ物を持っていた。
本当に色々売ってるんだなぁ。
◆ ◆ ◆
ヒバリから肉巻きクレープを受け取り、俺は興味津々のリグと一緒に食べ始めた。
座ったヒバリ達もメイ達と食べ始め、ゆったりとした時間が流れる。
リグに食べさせるのが楽しく、俺はほとんどあげてしまった。
残った紙ゴミを地面に置くと、規定の時間待てば消え去る。
同じ食べ終えたヒバリが自身の口をグィッと拭い、俺の方を見た。
「さて、一大イベントはまだ終わってないよ~!」
「そうですわね。たくさん考えたイベントが残っておりますの」
ミィもヒバリの言葉を肯定するように頷き、手を合わせてニッコリ微笑む。
ゴーレム退治で一大イベントが終わった気でいたけど、楽しそうな彼女達を見れば、それが間違いであることは一目瞭然。
くふくふと謎の声で楽しそうに笑うヒバリを横目に、ヒタキがウインドウを開いて見せてきた。
覗き込むと……ええと【子供職場体験・アインド騎士団】か。
騎士団の職場体験って、具体的にはなにをするんだ?
俺の気持ちをヒタキは察したのか、画面をスクロールして体験内容の場所を指で示す。
【子供職場体験・アインド騎士団】
・15歳以下のお子様を対象としており、勇敢なアインド騎士団の職場体験をすることが出来ます。
・保護者の方の付き添いを必須とさせていただきます。
・職場体験の主な任務は、市民の安全を守る見回りです。
・見回り時は随行員の指示に必ず従ってください。
主な内容はこんな感じか。
見回りついでに、市民へのアピールの意味合いもありそうだ。
騎士団員について回った市民が、憧れて入団してくれたら良いな、って思惑があるかもしれない。推測だけども。
「ここでしか体験出来ないイベント、それは騎士団の職場体験」
「子供向けですので大したことはいたしませんが、普通では出来ないことはとても心が躍りますわ」
「ツグ兄ぃ、一緒に見回りして治安守ろう~!」
「ツグ兄がいないと無理、だから」
答えはもちろん「良い」に決まっているので、俺はしっかりと頷いた。
でも……と、暗くなってきた空を見上げる。
ゴーレムとの戦闘に意外と時間を取られたので、今から職場体験をすると遅くなってしまう。仕切り直ししないと。
1
お気に入りに追加
12,727
あなたにおすすめの小説
人間だった竜人の番は、生まれ変わってエルフになったので、大好きなお父さんと暮らします
吉野屋
ファンタジー
竜人国の皇太子の番として預言者に予言され妃になるため城に入った人間のシロアナだが、皇太子は人間の番と言う事実が受け入れられず、超塩対応だった。シロアナはそれならば人間の国へ帰りたいと思っていたが、イラつく皇太子の不手際のせいであっさり死んでしまった(人は竜人に比べてとても脆い存在)。
魂に傷を負った娘は、エルフの娘に生まれ変わる。
次の身体の父親はエルフの最高位の大魔術師を退き、妻が命と引き換えに生んだ娘と森で暮らす事を選んだ男だった。
【完結したお話を現在改稿中です。改稿しだい順次お話しをUPして行きます】
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
卒業パーティーで魅了されている連中がいたから、助けてやった。えっ、どうやって?帝国真拳奥義を使ってな
しげむろ ゆうき
恋愛
卒業パーティーに呼ばれた俺はピンク頭に魅了された連中に気づく
しかも、魅了された連中は令嬢に向かって婚約破棄をするだの色々と暴言を吐いたのだ
おそらく本意ではないのだろうと思った俺はそいつらを助けることにしたのだ
全能で楽しく公爵家!!
山椒
ファンタジー
平凡な人生であることを自負し、それを受け入れていた二十四歳の男性が交通事故で若くして死んでしまった。
未練はあれど死を受け入れた男性は、転生できるのであれば二度目の人生も平凡でモブキャラのような人生を送りたいと思ったところ、魔神によって全能の力を与えられてしまう!
転生した先は望んだ地位とは程遠い公爵家の長男、アーサー・ランスロットとして生まれてしまった。
スローライフをしようにも公爵家でできるかどうかも怪しいが、のんびりと全能の力を発揮していく転生者の物語。
※少しだけ設定を変えているため、書き直し、設定を加えているリメイク版になっています。
※リメイク前まで投稿しているところまで書き直せたので、二章はかなりの速度で投稿していきます。
魔法が使えない令嬢は住んでいた小屋が燃えたので家出します
怠惰るウェイブ
ファンタジー
グレイの世界は狭く暗く何よりも灰色だった。
本来なら領主令嬢となるはずの彼女は領主邸で住むことを許されず、ボロ小屋で暮らしていた。
彼女はある日、棚から落ちてきた一冊の本によって人生が変わることになる。
世界が色づき始めた頃、ある事件をきっかけに少女は旅をすることにした。
喋ることのできないグレイは旅を通して自身の世界を色付けていく。
【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます
まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。
貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。
そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。
☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。
☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。
不貞の子を身籠ったと夫に追い出されました。生まれた子供は『精霊のいとし子』のようです。
桧山 紗綺
恋愛
【完結】嫁いで5年。子供を身籠ったら追い出されました。不貞なんてしていないと言っても聞く耳をもちません。生まれた子は間違いなく夫の子です。夫の子……ですが。 私、離婚された方が良いのではないでしょうか。
戻ってきた実家で子供たちと幸せに暮らしていきます。
『精霊のいとし子』と呼ばれる存在を授かった主人公の、可愛い子供たちとの暮らしと新しい恋とか愛とかのお話です。
※※番外編も完結しました。番外編は色々な視点で書いてます。
時系列も結構バラバラに本編の間の話や本編後の色々な出来事を書きました。
一通り主人公の周りの視点で書けたかな、と。
番外編の方が本編よりも長いです。
気がついたら10万文字を超えていました。
随分と長くなりましたが、お付き合いくださってありがとうございました!
子爵家の長男ですが魔法適性が皆無だったので孤児院に預けられました。変化魔法があれば魔法適性なんて無くても無問題!
八神
ファンタジー
主人公『リデック・ゼルハイト』は子爵家の長男として産まれたが、検査によって『魔法適性が一切無い』と判明したため父親である当主の判断で孤児院に預けられた。
『魔法適性』とは読んで字のごとく魔法を扱う適性である。
魔力を持つ人間には差はあれど基本的にみんな生まれつき様々な属性の魔法適性が備わっている。
しかし例外というのはどの世界にも存在し、魔力を持つ人間の中にもごく稀に魔法適性が全くない状態で産まれてくる人も…
そんな主人公、リデックが5歳になったある日…ふと前世の記憶を思い出し、魔法適性に関係の無い変化魔法に目をつける。
しかしその魔法は『魔物に変身する』というもので人々からはあまり好意的に思われていない魔法だった。
…はたして主人公の運命やいかに…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。