小児科医、姪を引き取ることになりました。

sao miyui

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家族になりました。

太陽の体調不良

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インフルエンザが治ってすぐ日菜が冬休みに入った。

俺ももう少しだけ頑張れば年末年始の休みに入る。


「ごめんな。せっかくの冬休みなのに。」

「大丈夫。太陽お仕事頑張ってね!」


日菜は俺が仕事の間上の自宅で1人で過ごしている。

だが家事は基本的に日菜に任せずに俺がやる。そんな毎日だった。


そんな日々に俺は少し疲れを感じていた。




無理矢理仕事はしているが…体が重い。


「先生大丈夫ですか?」

「大丈夫。次の患者さんで最後だよね?通して。」


割としんどい……

熱っぽい感じ。


患者も一通り見終わり、ようやくその日の診療は終えた。


「太陽大丈夫か?」

そう言ってきたのが一緒に働いている医師の東條とうじょう あらた

「大丈夫だ。最近ちょっと疲れてたからな……」

「おっと。フラフラじゃねーか。」


新は首元に手を触れるとベッドに横にした。

「熱測って。俺が診てやるから。」

「悪い…」

新は体温計を渡してきて診察を始めた。






「39℃か…インフルの検査しとくか。」

「だよな……」

インフルエンザの検査…人にするのは慣れてるけど苦手なんだよな。

「ほら、早くしろ。」

「はい…。」


「はい終わったぞ。」

「お、おう。」

「相変わらずこの検査苦手だな、お前。」

「むしろ得意な人いるのかよ。」


いるならみてみたい。




「お前さ、日菜ちゃんだっけ?お前が引き取る事なかったんじゃねーの?」

「…なんで。関係ないだろ。」

俺は少しムッとしてそう言い返した。
関係なくはないのに……。



「じゃあ日菜ちゃんはお前といて幸せなのか?お前はこれっぽっちも無理してないのか?こんな熱まで出して。」


何も言えなかった。

無理してないわけがない。

でも…だからと言って……

俺以外の人に預けて日菜が辛い思いをするのは目に見えてる。


「身内がダメなら施設に預けてもしょうがないだろ。」

ダメなんだよ…それは。

やっと少しは甘えてきてくれるようになったのに…… 


やっと少し心を開いてきたのに……



「子どもはお前のおもちゃじゃない。責任だってある。独り身のお前に……」


淡々と言葉を投げつける新。

俺の意見なんてこれっぽっちも聞く気がなさそうだ。








そんな話を聞いていると


「ダメ!!!」

そう言って日菜は俺のことを庇うように立ち両手を広げて新を睨んだ。


「日菜……」

「太陽を虐めないで!!日菜幸せだもん!日菜…太陽のそばにずっと居たいから毎日頑張ってるんだもん。」

日菜は泣いていた。
震えているようにも見えた。

「日菜…なんで…」

「太陽は日菜を守るって言ってくれた!だから太陽のことは日菜が守る!!」

日菜がそう言うと新は笑った。

「じゃあ日菜ちゃん。今は太陽具合が悪いから少し休ませてあげようか。俺は敵じゃない。ただ…2人が心配だっただけなんだ。でもその心配は必要なかったみたいだね。」


新は日菜の頭をポンポンと撫でると点滴を持ってきた。


「とりあえずインフルエンザは陰性だ。多分過労からの発熱だ。ひとまず明日は俺と平野ひらの2人で外来担当するからお前は休んでおけ。」
 
そう言って点滴をして部屋を出て行った。


 
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