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家族になりました。
闘い
しおりを挟むそれから毎日が闘いの日々だった。
「日菜、朝ご飯持ってきたよ。まずお熱計ろうな。」
「うん…。」
そう返事をする日菜だが、体が怠いのか元気がない。
「39.8℃…」
まぁ…そう簡単には下がらねぇよな…。
にしても…いくら近いと言ってもこんな状態の日菜を置いて仕事って…
インフルエンザは毎年死者だって出ている怖い病気だ。
このまま置いていって良いのだろうか。
「飯食えそうか?」
「あとで食べるっ」
「じゃあ水分は少しで良いから取ろう?」
「あとで飲むっ」
「なぁ…やっぱり一緒に小児科行こうよ。ベッドもあるし、俺もすぐ様子見に行けるし、、」
「動きたくない。」
「じゃあ抱っこして連れて行くから!な?」
「やだ。もー大丈夫だからほっといて。」
そう言って泣き出してしまった日菜は本当に怠いのだと伝わってくる。
……仕方ない。
合間に見にくるしかない。
「じゃあ本当に俺仕事行っちゃうよ?いいの?」
「早く行ってよ」
……そんな言い方しなくても。
「分かった!ここに飲み物置いておくからこまめに飲むこと!一口でも良いからご飯も食べるんだよ?分かった?」
「分かったってば……」
嫌そうにそう言う日菜は本当に辛そうだった。
このままずっと見ていてあげたいが仕事だからしゃーない。
俺は階段を降り仕事を始めた。
午前中の診療はすごく混雑していた。
冬のこの時期は毎年インフルエンザの患者さんが多いけど、こうも多いと流石に疲れる。
あっという間に昼休みになり、俺は急いで2階の日菜の部屋へと向かった。
おでこを触ってみるとまだだいぶ暑い。
飲み物も朝持ってきたご飯も全然減っている様子がない。
「日菜、少しで良いから何か飲もうよ。」
「……やだ。」
「なんだったら飲める?買ってくるから。」
「……要らない。」
「そんなに水分取れないならまた点滴するしかなくなるよ?」
「やなの!!!もーー!!!太陽嫌い!!!」
そう言って泣き出す日菜。
思わずため息が出てしまう。
こんな時…美波はどうしていたのだろうか…。
「とりあえず、もう一度熱測ろ?」
俺がそう言うと素直に熱を測ってくれた日菜。
「じゃあ、ピッピなる前にお口アーンして?」
日菜はだるそうに口を開けた。
喉が腫れてるな。
こりゃ飲み物じゃなく唾飲むのも辛いよな。
んで熱も40.5℃。
高いな…。
まだ小さいし辛い治療は避けてあげたいんだけど、こうも水分も取れないなら逆に心配だから点滴頑張ってもらいたいけど……
怒るよな。
「日菜、日菜の身体まだ辛いって言ってるからもう少しねんねしようか。」
「うん……」
しばらくトントンとリズムよく叩いているとすぐに眠ってくれたので、その後脱水と栄養が取れてないのが心配だったから点滴をした。
早く治るといいけど……
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