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唐突に頭上に強い発光を感じて思わず目をつぶる。
まぶた越しにも伝わるその強烈な光は、弱まる気配がなかった。
そろそろと目を開けて、おそるおそる上空を見上げる。
夜の空に、巨大な光の玉が浮かんでいた。
なにこれ。
一体なんなの。
人が死のうとしてる時になんのつもりよ。
腹立ちまぎれに目を眇めてじっと観察する。
どうやらこちらに向かってゆっくり降りてきているようだ。
少し光に慣れてきた目が、光の玉の中に人影を感知して目を見開いた。
親方ー! 空から女の子がー!
心の中で叫んでみるが、遠目にも女の子と言うにはどう見ても無理がある程度にでかい。
ゆっくり落ちてくるそれは、うちのベランダの少し外側を通る軌道だった。
このままでは下まで行ってしまう。
こんな謎現象、ほうっておけばいいのだろうけどなんとなく出来なかった。
恐々と両手を差し伸べて、光を放つその人物をキャッチする。
重さはほとんど感じなかった。
私の手に触れた途端、徐々に光が弱まっていく。
けれどまだ目がチカチカして、光の中の人物の顔はよく見えなかった。
もう少しで完全に消えるというところでハッと気づく。
これ光が消えたら重くなるやつ!
完全なる思い込みで、慌ててその巨躯ごと手を引っ込めて部屋の中に引き入れる。
入ったと同時にフッと光が消えて、その瞬間に本当に重くなった。
バランスを崩し、どさっと倒れこむ。
「……いったぁ~」
肘と膝を床にしこたま打ち付けて悶絶する。
コケた拍子に光の中の人物は部屋を転がり、その衝撃でか、低いうめき声を上げた。
へたり込んだままその背中を見る。
ようやく視力が正常値に戻り始め、それが長身の男だということがわかった。
こんな謎の生物、女一人暮らしの部屋に引き入れるのはまずかったのではないか。
今更に思い至り、にわかに焦り始める。
ついさっき自ら死のうとしていたとは言え、見ず知らずのわけわからない男に殺されるのは勘弁してほしい。
危機感が急上昇していくのをよそに、背中を向けたまま男がむくりと起き上がる。
そうして私の部屋をキョロキョロと見回したあと、こちらを振り返った。
その瞬間、衝撃と驚愕で息が止まる。
その顔に、その姿に、猛烈に見覚えがあった。
いや、実際は全く知らないし会ったこともないのだけれど。
その人は、実写化したらきっとこんな感じ、と無邪気に妄想していた時と寸分違わぬ姿をしていた。
「……ここはどこだ。俺は……死んだのではないのか」
極上のワインのような濃密な声。
戸惑う表情すら美しく、まるで芸術品そのもの。
こんな奇跡のような人が、この世に存在するはずなんてないのに。
そこにいたのは、六年間焦がれ続けた魔王様だった。
まぶた越しにも伝わるその強烈な光は、弱まる気配がなかった。
そろそろと目を開けて、おそるおそる上空を見上げる。
夜の空に、巨大な光の玉が浮かんでいた。
なにこれ。
一体なんなの。
人が死のうとしてる時になんのつもりよ。
腹立ちまぎれに目を眇めてじっと観察する。
どうやらこちらに向かってゆっくり降りてきているようだ。
少し光に慣れてきた目が、光の玉の中に人影を感知して目を見開いた。
親方ー! 空から女の子がー!
心の中で叫んでみるが、遠目にも女の子と言うにはどう見ても無理がある程度にでかい。
ゆっくり落ちてくるそれは、うちのベランダの少し外側を通る軌道だった。
このままでは下まで行ってしまう。
こんな謎現象、ほうっておけばいいのだろうけどなんとなく出来なかった。
恐々と両手を差し伸べて、光を放つその人物をキャッチする。
重さはほとんど感じなかった。
私の手に触れた途端、徐々に光が弱まっていく。
けれどまだ目がチカチカして、光の中の人物の顔はよく見えなかった。
もう少しで完全に消えるというところでハッと気づく。
これ光が消えたら重くなるやつ!
完全なる思い込みで、慌ててその巨躯ごと手を引っ込めて部屋の中に引き入れる。
入ったと同時にフッと光が消えて、その瞬間に本当に重くなった。
バランスを崩し、どさっと倒れこむ。
「……いったぁ~」
肘と膝を床にしこたま打ち付けて悶絶する。
コケた拍子に光の中の人物は部屋を転がり、その衝撃でか、低いうめき声を上げた。
へたり込んだままその背中を見る。
ようやく視力が正常値に戻り始め、それが長身の男だということがわかった。
こんな謎の生物、女一人暮らしの部屋に引き入れるのはまずかったのではないか。
今更に思い至り、にわかに焦り始める。
ついさっき自ら死のうとしていたとは言え、見ず知らずのわけわからない男に殺されるのは勘弁してほしい。
危機感が急上昇していくのをよそに、背中を向けたまま男がむくりと起き上がる。
そうして私の部屋をキョロキョロと見回したあと、こちらを振り返った。
その瞬間、衝撃と驚愕で息が止まる。
その顔に、その姿に、猛烈に見覚えがあった。
いや、実際は全く知らないし会ったこともないのだけれど。
その人は、実写化したらきっとこんな感じ、と無邪気に妄想していた時と寸分違わぬ姿をしていた。
「……ここはどこだ。俺は……死んだのではないのか」
極上のワインのような濃密な声。
戸惑う表情すら美しく、まるで芸術品そのもの。
こんな奇跡のような人が、この世に存在するはずなんてないのに。
そこにいたのは、六年間焦がれ続けた魔王様だった。
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