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57.私は戦うことを選んだ
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まぶたの向こう側が明るい。
どうやら朝が来たらしい。
少し寝坊してしまったようだ。
頭が重く、まぶたがなかなか開けられない。
いつもより疲れが残っているみたいだ。
どうしてだっけ、と寝ぼけた頭で考えて、少しずつ昨日の出来事を思い出していく。
ああそうか、昨日はいろんなことがあった。
海軍が来て、問答無用で襲われて、応戦して、それで。
それにしてもなんだかいつもよりベッドが狭い気がする。
漫画みたいに、酔っぱらって何か大きい荷物でも拾ってきてしまったのだろうか。
そのうえ謎の拘束感があって身動きが取りづらい。
一体どういう状況なの?
ぼんやりした頭のまま、薄く目を開ける。
「起きたか」
「ひぃっ」
「ひぃっておまえな……」
若干傷付いたようなリアクションで、目の前の男がぼやく。
「なっ、ななな、なんで」
「どっかの誰かさんがしがみついて離してくれなかったもんで」
疲れたように言ってあくびをする。
言われてみれば私の腕はウィルの背中に回されていた。
どうやらあのまま寝てしまったらしい。
一気に昨夜のことを思い出して全身が熱くなる。
「ごっ、ごめん!」
慌てて手を離しウィルを解放しようとするが、背中にウィルの腕が回されていて思うように動けなかった。
なるほど謎の拘束感の正体はこれか。
気付いたところで、それで落ち着けるわけもないのだけど。
その上もう片方の腕は何故か私の首の下で腕枕状態になっている。
これで動揺するなという方が間違っている。
「おめー力つえーよ」
深いため息とともに、呆れたように言いながら何故かウィルが私の頭を撫でる。
げんこつでも食らうならまだしも、優しく触れられたら混乱が深まるばかりだ。
顔を真っ赤にして戸惑っていると、ウィルの手が私の頬に触れた。
「元気になったか」
「……うん」
問われて自分の状態を確認してみれば、震えは止まって心はすっきり整理できていることに気付く。
全ての不安がなくなったわけではないけれど、ウィルのおかげでだいぶ心が軽くなっていた。
「もう大丈夫」
「無理してねぇか」
「してない。心配?」
「そらそうだろ……」
人を殺すということに、完全に開き直ることはまだ出来なさそうだ。
だけどこの船が襲われたらきっとまた同じことをする。
相手が強くなくても、みんなが苦戦しなくても、次からは積極的に戦闘に参加するだろう。
いつかはそれを後悔する日が来るかもしれない。
血で汚れた手を見て、絶望するときがあるかもしれない。
でも、もうそれでいい。
そんな日が来ても、私はきっとそれを受け止められる。
ウィルがこうやって私のために心を砕いて、心配してくれるなら。
「ありがとう、ウィル」
素直に微笑んで言うと、なんとも言えない顔をされる。
なんか変なこと言ったかしら、と焦りかけたがすぐに安心したような表情になった。
「なら、いい」
言って抱きしめられる。
それにどんな意味があるかは分からないが、どぎまぎしながら抱き返した。
トクトクと、ウィルの心臓の音が聞こえる。
それに聞き入るようにうっとり目を閉じる。
「……おし、メシにすっか」
「うん!」
ずっとこのままでいたかったけれど、名残を惜しむ気持ちを押さえて元気に返事をした。
ウィルのおかげで、今日も一日元気に過ごせることだろう。
どうやら朝が来たらしい。
少し寝坊してしまったようだ。
頭が重く、まぶたがなかなか開けられない。
いつもより疲れが残っているみたいだ。
どうしてだっけ、と寝ぼけた頭で考えて、少しずつ昨日の出来事を思い出していく。
ああそうか、昨日はいろんなことがあった。
海軍が来て、問答無用で襲われて、応戦して、それで。
それにしてもなんだかいつもよりベッドが狭い気がする。
漫画みたいに、酔っぱらって何か大きい荷物でも拾ってきてしまったのだろうか。
そのうえ謎の拘束感があって身動きが取りづらい。
一体どういう状況なの?
ぼんやりした頭のまま、薄く目を開ける。
「起きたか」
「ひぃっ」
「ひぃっておまえな……」
若干傷付いたようなリアクションで、目の前の男がぼやく。
「なっ、ななな、なんで」
「どっかの誰かさんがしがみついて離してくれなかったもんで」
疲れたように言ってあくびをする。
言われてみれば私の腕はウィルの背中に回されていた。
どうやらあのまま寝てしまったらしい。
一気に昨夜のことを思い出して全身が熱くなる。
「ごっ、ごめん!」
慌てて手を離しウィルを解放しようとするが、背中にウィルの腕が回されていて思うように動けなかった。
なるほど謎の拘束感の正体はこれか。
気付いたところで、それで落ち着けるわけもないのだけど。
その上もう片方の腕は何故か私の首の下で腕枕状態になっている。
これで動揺するなという方が間違っている。
「おめー力つえーよ」
深いため息とともに、呆れたように言いながら何故かウィルが私の頭を撫でる。
げんこつでも食らうならまだしも、優しく触れられたら混乱が深まるばかりだ。
顔を真っ赤にして戸惑っていると、ウィルの手が私の頬に触れた。
「元気になったか」
「……うん」
問われて自分の状態を確認してみれば、震えは止まって心はすっきり整理できていることに気付く。
全ての不安がなくなったわけではないけれど、ウィルのおかげでだいぶ心が軽くなっていた。
「もう大丈夫」
「無理してねぇか」
「してない。心配?」
「そらそうだろ……」
人を殺すということに、完全に開き直ることはまだ出来なさそうだ。
だけどこの船が襲われたらきっとまた同じことをする。
相手が強くなくても、みんなが苦戦しなくても、次からは積極的に戦闘に参加するだろう。
いつかはそれを後悔する日が来るかもしれない。
血で汚れた手を見て、絶望するときがあるかもしれない。
でも、もうそれでいい。
そんな日が来ても、私はきっとそれを受け止められる。
ウィルがこうやって私のために心を砕いて、心配してくれるなら。
「ありがとう、ウィル」
素直に微笑んで言うと、なんとも言えない顔をされる。
なんか変なこと言ったかしら、と焦りかけたがすぐに安心したような表情になった。
「なら、いい」
言って抱きしめられる。
それにどんな意味があるかは分からないが、どぎまぎしながら抱き返した。
トクトクと、ウィルの心臓の音が聞こえる。
それに聞き入るようにうっとり目を閉じる。
「……おし、メシにすっか」
「うん!」
ずっとこのままでいたかったけれど、名残を惜しむ気持ちを押さえて元気に返事をした。
ウィルのおかげで、今日も一日元気に過ごせることだろう。
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