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26.反省
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ギシッとベッドが軋む。
ミランダがうっとりとした表情で薄く笑い、私の鎖骨を指先でなぞる。
「ねえ、シェリル様。どうされたいか、ご希望はあります?」
その色香に、思わず飲まれそうになるのをグッと堪えて大きく息を吸い込んだ。
「ごっ、ごめんなさい! その噂は嘘なの!」
声が上擦って情けなく掠れてしまったけれど、十分に聞き取れるほどの声量だった。
冗談と思われたらおしまいだ。
そうなったら暴れて必死の抵抗をするしかない。
やぶれかぶれな気持ちで決意してキッとミランダを睨む。
けれどミランダの反応は予想外のもので、さっきまでのツヤっぽい表情は一変して気の抜けたものになっていた。
「なーんだ、やっぱり」
ミランダはつまらなそうに言って、抵抗するまでもなくあっさりと私の上からどいた。
「……え?」
「そうだと思った。だってお姉様ったら全然そんな匂いしないんだもの」
ベッドの隣へころんと横たわりながらミランダが言う。
「に、匂い?」
「そ。私、物心ついた頃から女性が恋愛対象なんですけど、そのせいかなんとなく同士の匂いって分かるんです」
淡い笑みを浮かべながら、至近距離でミランダが気負った様子もなく秘密を打ち明ける。
「もちろん外れることもあります。でも、シェリル様は当たりでしたね」
「そう、だったの……」
どう反応していいのか分かりかねて曖昧に返すと、ミランダが笑みを深くした。
「お兄様も知っています。だから私に白羽の矢を立てたんでしょうね」
「白羽の矢?」
唐突な言葉に疑問符が浮かんで問い返すと、彼女は困ったように笑った。
「ええ。こちらに来る前にお手紙が来たの。『妻が自分に遠慮して恋人を作らない。お前ならきっと彼女を大切にしてくれると思う。きっと好きになるはずだ。姿だけでなく心も美しい人だから。どうか彼女を幸せにしてやってくれ』って」
文面を思い出すように目を閉じながらミランダがそらんじる。
私はそれを聞いて、的外れな気遣いをと笑うよりも、大きなショックを受けてしまった。
「そんなことを……」
大切にしてくれる気持ちは嬉しい。
けれどどうしたって胸が痛んでしまう。
だって恋人を作らせようとするなんて。
やはり彼の中には本当に家族の情、あるいは友情しかないのだ。
「シェリル様のお噂は伺っていたので、会えるのを楽しみにしていました。でも、会ってがっかり。どう見ても同性愛者じゃないのですもの」
「ごめんなさい……」
ミランダは冗談めかして言ってくれている。
私を責めるつもりはないようだ。
だけど私は自分の考えなしな行動を深く反省した。
だって実際に同性愛者だというだけで、色々な不利益を被っている人たちが存在するのだ。
私が呑気にその立場に甘んじている裏で、心無い噂に本当に心を痛める人もいたはずだ。
私はそのことをすっかり失念して、自分の平穏のためにその噂を利用してしまった。
本当の当事者からしてみれば、失礼なことだっただろう。
「あら、そんな深く取らないでくださいな。シェリル様が偏見や差別をなさらないことはこの半月で理解していますもの」
落ち込む私にミランダが慌てたように言って、それから苦笑をこぼした。
「私のほうこそ、確認のために色々試すような真似をしてしまってごめんなさい」
私の手をそっと握りながらミランダが言う。
先程までの触れ方とは全く違う、親しみに満ちたものだった。
「試す……?」
「同性愛者じゃないならどうして噂を否定しないんだろうって。お兄様に取り入るために嘘をついたのかしらって。これまでの女性たちの例がありますから……」
言いづらそうに口籠ってそっと目を逸らす。
エドガーにまつわる痴情のもつれは昔かららしいから、もしかしたらミランダも当事者として巻き込まれたことがあるのかもしれない。
だってこんなに可愛いのだ。きっとエドガーの心を射止めるための最大の障害と判断され、敵視されてきたことだろう。
「そんなの、全然気付かなかったわ」
答える声が沈んでしまう。
試されていたことは全く問題ない。むしろ当然のことだとさえ思う。
エドガーの事情を知った上で、嘘をついて結婚まで持ち込んだ女。
ミランダから見たらそうとしか思えなかっただろうから。
だけど友人として過ごした日々を、心から楽しんでいたのは自分だけだったのかと思うと寂しかった。
「怖い思いをさせてしまってごめんなさい」
それをさっきの夜這いに対するショックだと思ったのか、ミランダが起き上がって深々と頭を下げた。
「いいえ……こちらこそ軽はずみなことをして本当にごめんなさい」
心底申し訳なさそうに言われて、私も慌てて身体を起こして謝罪をした。
だって結局は全部私のせいだ。
あの噂をすぐに否定して、リチャードとの婚約を継続していれば。
ミランダはこんなことをする必要もなかったし、エドガーだって自分を好きになるような迷惑な女と結婚せずに済んだのに。
しばらく謝罪合戦が続いて、それからミランダが小さく噴き出した。
「……ふふっ、もう本当に気になさらないで。お兄様を好きということは見ていてよく分かりましたから」
「えっ!?」
断定口調で言われて、かあっと頬が熱くなる。
そんなに分かりやすかっただろうか。
もしかしたらエドガーにもバレていて、だからこそミランダと私を引き合わせたのかもしれない。
そう気付いて今度は血の気が引いていく。
彼はとっくに私の気持ちなんか見抜いていて、私が他の女性たちのように暴走する前に他の人に目を逸らさせたかったのかもしれない。
「お兄様を愛してらっしゃるのでしょう? なぜお伝えにならないのです?」
「……どうして? 反対なのではないの?」
「まさか。そりゃおかしな方がお相手だったら嫌ですけど、シェリル様なら大歓迎です」
私の疑問にミランダが嬉しそうに微笑んだ。
「この半月の間で、私すっかりシェリル様のことが大好きになってしまいましたもの。恋人になれないのが本当に残念」
真っ直ぐな感情を向けられて、落ち込んでいたのが嘘のように胸が熱くなる。
試されていたのは本当だけど、友情を感じてくれていたのも本当だったのだ。
「嬉しい……私もミランダのことが大好きよ」
「そんな可愛いことを言われたら本当に襲ってしまいますわよ?」
照れながら言うと、すかさずミランダの目が細まって、蠱惑的な笑みと共に指先が私の頬に触れた。
「そっ、それは本当にごめんなさい」
慌てて頭を下げると、ミランダはおかしそうに笑い声を上げた。
ミランダがうっとりとした表情で薄く笑い、私の鎖骨を指先でなぞる。
「ねえ、シェリル様。どうされたいか、ご希望はあります?」
その色香に、思わず飲まれそうになるのをグッと堪えて大きく息を吸い込んだ。
「ごっ、ごめんなさい! その噂は嘘なの!」
声が上擦って情けなく掠れてしまったけれど、十分に聞き取れるほどの声量だった。
冗談と思われたらおしまいだ。
そうなったら暴れて必死の抵抗をするしかない。
やぶれかぶれな気持ちで決意してキッとミランダを睨む。
けれどミランダの反応は予想外のもので、さっきまでのツヤっぽい表情は一変して気の抜けたものになっていた。
「なーんだ、やっぱり」
ミランダはつまらなそうに言って、抵抗するまでもなくあっさりと私の上からどいた。
「……え?」
「そうだと思った。だってお姉様ったら全然そんな匂いしないんだもの」
ベッドの隣へころんと横たわりながらミランダが言う。
「に、匂い?」
「そ。私、物心ついた頃から女性が恋愛対象なんですけど、そのせいかなんとなく同士の匂いって分かるんです」
淡い笑みを浮かべながら、至近距離でミランダが気負った様子もなく秘密を打ち明ける。
「もちろん外れることもあります。でも、シェリル様は当たりでしたね」
「そう、だったの……」
どう反応していいのか分かりかねて曖昧に返すと、ミランダが笑みを深くした。
「お兄様も知っています。だから私に白羽の矢を立てたんでしょうね」
「白羽の矢?」
唐突な言葉に疑問符が浮かんで問い返すと、彼女は困ったように笑った。
「ええ。こちらに来る前にお手紙が来たの。『妻が自分に遠慮して恋人を作らない。お前ならきっと彼女を大切にしてくれると思う。きっと好きになるはずだ。姿だけでなく心も美しい人だから。どうか彼女を幸せにしてやってくれ』って」
文面を思い出すように目を閉じながらミランダがそらんじる。
私はそれを聞いて、的外れな気遣いをと笑うよりも、大きなショックを受けてしまった。
「そんなことを……」
大切にしてくれる気持ちは嬉しい。
けれどどうしたって胸が痛んでしまう。
だって恋人を作らせようとするなんて。
やはり彼の中には本当に家族の情、あるいは友情しかないのだ。
「シェリル様のお噂は伺っていたので、会えるのを楽しみにしていました。でも、会ってがっかり。どう見ても同性愛者じゃないのですもの」
「ごめんなさい……」
ミランダは冗談めかして言ってくれている。
私を責めるつもりはないようだ。
だけど私は自分の考えなしな行動を深く反省した。
だって実際に同性愛者だというだけで、色々な不利益を被っている人たちが存在するのだ。
私が呑気にその立場に甘んじている裏で、心無い噂に本当に心を痛める人もいたはずだ。
私はそのことをすっかり失念して、自分の平穏のためにその噂を利用してしまった。
本当の当事者からしてみれば、失礼なことだっただろう。
「あら、そんな深く取らないでくださいな。シェリル様が偏見や差別をなさらないことはこの半月で理解していますもの」
落ち込む私にミランダが慌てたように言って、それから苦笑をこぼした。
「私のほうこそ、確認のために色々試すような真似をしてしまってごめんなさい」
私の手をそっと握りながらミランダが言う。
先程までの触れ方とは全く違う、親しみに満ちたものだった。
「試す……?」
「同性愛者じゃないならどうして噂を否定しないんだろうって。お兄様に取り入るために嘘をついたのかしらって。これまでの女性たちの例がありますから……」
言いづらそうに口籠ってそっと目を逸らす。
エドガーにまつわる痴情のもつれは昔かららしいから、もしかしたらミランダも当事者として巻き込まれたことがあるのかもしれない。
だってこんなに可愛いのだ。きっとエドガーの心を射止めるための最大の障害と判断され、敵視されてきたことだろう。
「そんなの、全然気付かなかったわ」
答える声が沈んでしまう。
試されていたことは全く問題ない。むしろ当然のことだとさえ思う。
エドガーの事情を知った上で、嘘をついて結婚まで持ち込んだ女。
ミランダから見たらそうとしか思えなかっただろうから。
だけど友人として過ごした日々を、心から楽しんでいたのは自分だけだったのかと思うと寂しかった。
「怖い思いをさせてしまってごめんなさい」
それをさっきの夜這いに対するショックだと思ったのか、ミランダが起き上がって深々と頭を下げた。
「いいえ……こちらこそ軽はずみなことをして本当にごめんなさい」
心底申し訳なさそうに言われて、私も慌てて身体を起こして謝罪をした。
だって結局は全部私のせいだ。
あの噂をすぐに否定して、リチャードとの婚約を継続していれば。
ミランダはこんなことをする必要もなかったし、エドガーだって自分を好きになるような迷惑な女と結婚せずに済んだのに。
しばらく謝罪合戦が続いて、それからミランダが小さく噴き出した。
「……ふふっ、もう本当に気になさらないで。お兄様を好きということは見ていてよく分かりましたから」
「えっ!?」
断定口調で言われて、かあっと頬が熱くなる。
そんなに分かりやすかっただろうか。
もしかしたらエドガーにもバレていて、だからこそミランダと私を引き合わせたのかもしれない。
そう気付いて今度は血の気が引いていく。
彼はとっくに私の気持ちなんか見抜いていて、私が他の女性たちのように暴走する前に他の人に目を逸らさせたかったのかもしれない。
「お兄様を愛してらっしゃるのでしょう? なぜお伝えにならないのです?」
「……どうして? 反対なのではないの?」
「まさか。そりゃおかしな方がお相手だったら嫌ですけど、シェリル様なら大歓迎です」
私の疑問にミランダが嬉しそうに微笑んだ。
「この半月の間で、私すっかりシェリル様のことが大好きになってしまいましたもの。恋人になれないのが本当に残念」
真っ直ぐな感情を向けられて、落ち込んでいたのが嘘のように胸が熱くなる。
試されていたのは本当だけど、友情を感じてくれていたのも本当だったのだ。
「嬉しい……私もミランダのことが大好きよ」
「そんな可愛いことを言われたら本当に襲ってしまいますわよ?」
照れながら言うと、すかさずミランダの目が細まって、蠱惑的な笑みと共に指先が私の頬に触れた。
「そっ、それは本当にごめんなさい」
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