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10.専属メイド
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「改めてよろしくね、シェリルさん」
「こちらこそよろしくお願いいたします、お義母様」
優しい笑みと共に手を差し出され、私も自然と笑顔になる。
不思議な魅力を感じさせる義母を、初対面の時にすぐに好きになった。
握手を交わす私たちを、エドガーがにこにこと見守っている。
血の繋がりはないはずなのに、義母と彼はなんだかよく似ているように見えた。
「至らないところも多いかとは思いますが、精一杯努力いたします」
「なに、そんな堅苦しいことは言いっこなしだ。君と家族になれて嬉しいよ」
義母の肩を愛しげに抱きながら義父が言う。
親しみのこもった声に、無意識に緊張していたらしい身体から程良く力が抜けていった。
彼らに迎え入れられて屋敷に足を踏み入れる。
無事に結婚式を終え、今日から私もライケンス侯爵家の一員だ。
「しばらくは慣れないことも多いだろうが、分からないことは彼女に聞くといい」
なんとなくソワソワしているのを察してくれたのか、エドガーが微かに笑いながら整列している使用人たちの方を見た。
「彼女?」
「君専属のメイドだ。紹介しよう。アンバー、こちらへおいで」
「はい」
その声に応じて、並んで出迎えてくれた中の一人がツイと優雅に進み出る。
「アンバーと申します。どのようなご要望にもお応えいたしますので、なんなりとお申し付けくださいませ」
妙に色気と余裕を感じさせる笑みを浮かべて、アンバーと名乗った女性が頭を下げる。
スラリと背が高く、有能だというのが一目で分かる洗練された所作だった。
さらに言えばエドガーを前にしても少しの動揺も見られないことに感心してしまう。
ざっと見回したところ、女性の使用人は極端に少ない。
その数少ない女性たちも、エドガーに秋波を送るようなそぶりは一切なかった。
このお屋敷で働くには、有能なことに加えて、美形への耐性という点をクリアする必要があるのかもしれない。
「ありがとう。では早速、お部屋へ案内していただいてもいいかしら」
なるべく親しみを込めて言う。
これからずっとこのお屋敷でお世話になるのだ。できるなら快適に過ごしたい。
それにはまず、専属メイドに好かれなくてはならない。
そう考えて緊張する。
自慢じゃないけれど、初対面で嫌われるのは得意なのだ。
「ええもちろんです。お荷物は男性使用人がお持ちいたしますので、シェリル様は何もお持ちにならなくて結構です」
感じよく言って、アンバーが微笑を浮かべる。
どうやら好感度は低くないらしい。
結婚相手の争奪戦のライバルという立場でなければ、第一印象はそんなに悪くないのかもしれない。
ホッとしたのと同時に、「ではどうぞ」とアンバーが私の横に並んでそっと背中を押した。
「えっ、あ、ええ」
いきなり触れられたことに驚きながら歩き出す。
私専属ということは共に過ごす時間も長いはずだ。だからできるだけ仲良くしたい。
きっと彼女もそう思ってくれているのだろう。
だけど初対面でこれはさすがに距離が近すぎるのではないか。
戸惑いながらエドガーの方を振り返ると、彼は穏やかな表情で「食事の時間まで部屋でゆっくりしておいで」と特に気にした様子もなく言った。
義父母も何も言わないところを見ると、このお屋敷ではこれが普通なのかもしれない。
「長旅とお式でお疲れでしょう。美味しい紅茶をお淹れいたしますね」
「あ、ありがとう」
「そのあとにマッサージでもいたしましょうか?」
「それはさすがに悪いわ」
「遠慮なさらないでくださいませ。私がしたくて言っておりますので」
「ええとじゃあ……お願いしようかしら」
一体どう答えるのが正解なのだろうか。
失礼のないようにしなければ。せっかく珍しく好意的に接してくれる女性なのに、初日から嫌われたくはない。
ぐるぐる考えながら、結局は何も言い出せないまま、二階に用意された私の部屋までアンバーに押され気味で辿り着いてしまった。
「あの、ありがとう、あとは自分でできるから」
完全にペースを乱されて、やや挙動不審になりながらアンバーから距離を取る。
その様子を見て不快感を覚えたのか、彼女に眉間に微かにシワが寄った。
「……シェリル様、もしやとは思いますが……」
アンバーが私の頭から爪先まで無遠慮に視線を巡らせたあと、難し気な顔で自分の顎に手を当てる。
「な、なにかしら」
また態度が悪いとか性格がきついとか言われてしまうだろうか。
「……いえ。なんでもありません。お食事のお時間になりましたらまた参ります」
けれど心配する私を安心させるように言って、アンバーがにこりと笑う。
その隙のない笑みが、最初のものより冷たく見えるのは私の考えすぎだろうか。
それ以降、アンバーが不用意に私に触れてくることはなくなった。
別の家から来た人間への距離感を一瞬で理解してくれたらしい。
ただ、そのせいか今度は距離が開きすぎている気がしなくもない。
もちろん意地悪をされたりお世話をサボられたりということはない。
たとえ私が嫌われたのだとしても、公私混同をするような人間では侯爵家の使用人は務まらないから。
彼女は真面目で勤勉で、何事もテキパキとこなしてくれる。
だけどすっかり他人行儀だ。
悪いことではないのだけれど、一番最初との落差が激しくて少し寂しく感じてしまう。
家族以外との人間関係の構築を長いこと諦めていた私にとって、何をどう改善すればいいのかという答えは見つけられなかった。
女性に嫌われやすいのは、どうやら容姿だけの問題ではなく性格やコミュニケーション能力の方にもあったらしい。
気付きたくなかった事実を目の当たりにして、新しい部屋の中で一人肩を落とした。
「こちらこそよろしくお願いいたします、お義母様」
優しい笑みと共に手を差し出され、私も自然と笑顔になる。
不思議な魅力を感じさせる義母を、初対面の時にすぐに好きになった。
握手を交わす私たちを、エドガーがにこにこと見守っている。
血の繋がりはないはずなのに、義母と彼はなんだかよく似ているように見えた。
「至らないところも多いかとは思いますが、精一杯努力いたします」
「なに、そんな堅苦しいことは言いっこなしだ。君と家族になれて嬉しいよ」
義母の肩を愛しげに抱きながら義父が言う。
親しみのこもった声に、無意識に緊張していたらしい身体から程良く力が抜けていった。
彼らに迎え入れられて屋敷に足を踏み入れる。
無事に結婚式を終え、今日から私もライケンス侯爵家の一員だ。
「しばらくは慣れないことも多いだろうが、分からないことは彼女に聞くといい」
なんとなくソワソワしているのを察してくれたのか、エドガーが微かに笑いながら整列している使用人たちの方を見た。
「彼女?」
「君専属のメイドだ。紹介しよう。アンバー、こちらへおいで」
「はい」
その声に応じて、並んで出迎えてくれた中の一人がツイと優雅に進み出る。
「アンバーと申します。どのようなご要望にもお応えいたしますので、なんなりとお申し付けくださいませ」
妙に色気と余裕を感じさせる笑みを浮かべて、アンバーと名乗った女性が頭を下げる。
スラリと背が高く、有能だというのが一目で分かる洗練された所作だった。
さらに言えばエドガーを前にしても少しの動揺も見られないことに感心してしまう。
ざっと見回したところ、女性の使用人は極端に少ない。
その数少ない女性たちも、エドガーに秋波を送るようなそぶりは一切なかった。
このお屋敷で働くには、有能なことに加えて、美形への耐性という点をクリアする必要があるのかもしれない。
「ありがとう。では早速、お部屋へ案内していただいてもいいかしら」
なるべく親しみを込めて言う。
これからずっとこのお屋敷でお世話になるのだ。できるなら快適に過ごしたい。
それにはまず、専属メイドに好かれなくてはならない。
そう考えて緊張する。
自慢じゃないけれど、初対面で嫌われるのは得意なのだ。
「ええもちろんです。お荷物は男性使用人がお持ちいたしますので、シェリル様は何もお持ちにならなくて結構です」
感じよく言って、アンバーが微笑を浮かべる。
どうやら好感度は低くないらしい。
結婚相手の争奪戦のライバルという立場でなければ、第一印象はそんなに悪くないのかもしれない。
ホッとしたのと同時に、「ではどうぞ」とアンバーが私の横に並んでそっと背中を押した。
「えっ、あ、ええ」
いきなり触れられたことに驚きながら歩き出す。
私専属ということは共に過ごす時間も長いはずだ。だからできるだけ仲良くしたい。
きっと彼女もそう思ってくれているのだろう。
だけど初対面でこれはさすがに距離が近すぎるのではないか。
戸惑いながらエドガーの方を振り返ると、彼は穏やかな表情で「食事の時間まで部屋でゆっくりしておいで」と特に気にした様子もなく言った。
義父母も何も言わないところを見ると、このお屋敷ではこれが普通なのかもしれない。
「長旅とお式でお疲れでしょう。美味しい紅茶をお淹れいたしますね」
「あ、ありがとう」
「そのあとにマッサージでもいたしましょうか?」
「それはさすがに悪いわ」
「遠慮なさらないでくださいませ。私がしたくて言っておりますので」
「ええとじゃあ……お願いしようかしら」
一体どう答えるのが正解なのだろうか。
失礼のないようにしなければ。せっかく珍しく好意的に接してくれる女性なのに、初日から嫌われたくはない。
ぐるぐる考えながら、結局は何も言い出せないまま、二階に用意された私の部屋までアンバーに押され気味で辿り着いてしまった。
「あの、ありがとう、あとは自分でできるから」
完全にペースを乱されて、やや挙動不審になりながらアンバーから距離を取る。
その様子を見て不快感を覚えたのか、彼女に眉間に微かにシワが寄った。
「……シェリル様、もしやとは思いますが……」
アンバーが私の頭から爪先まで無遠慮に視線を巡らせたあと、難し気な顔で自分の顎に手を当てる。
「な、なにかしら」
また態度が悪いとか性格がきついとか言われてしまうだろうか。
「……いえ。なんでもありません。お食事のお時間になりましたらまた参ります」
けれど心配する私を安心させるように言って、アンバーがにこりと笑う。
その隙のない笑みが、最初のものより冷たく見えるのは私の考えすぎだろうか。
それ以降、アンバーが不用意に私に触れてくることはなくなった。
別の家から来た人間への距離感を一瞬で理解してくれたらしい。
ただ、そのせいか今度は距離が開きすぎている気がしなくもない。
もちろん意地悪をされたりお世話をサボられたりということはない。
たとえ私が嫌われたのだとしても、公私混同をするような人間では侯爵家の使用人は務まらないから。
彼女は真面目で勤勉で、何事もテキパキとこなしてくれる。
だけどすっかり他人行儀だ。
悪いことではないのだけれど、一番最初との落差が激しくて少し寂しく感じてしまう。
家族以外との人間関係の構築を長いこと諦めていた私にとって、何をどう改善すればいいのかという答えは見つけられなかった。
女性に嫌われやすいのは、どうやら容姿だけの問題ではなく性格やコミュニケーション能力の方にもあったらしい。
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