蟻喜多利奈のありきたりな日常2

あさまる

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御亭御蔵高校による侵攻開始

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「……え?え?」
何が何だか分からない。
しかし、なにやら良くないことが起きようとしていることだけは分かった。
しかし、止めようがない。

無力。
自分にはどうすることも出来ない。
自己嫌悪に陥る利奈。

「利奈ちゃん、あれがあるからこっちに帰って来られないんだよね?」
取り繕った優しさ。
しかし、利奈にも分かる。
それは怒りに満ちていた。

「そ、それは……。」
否定も肯定も出来ない。
どちらの選択肢を選んでも悪い結果になりそうだ。

「良いよ、利奈ちゃん。……こんなの私が今から消して上げる……。……いや、そもそもこんなところがあるからいけなかったんだ……。」
そもそも答えなど期待していなかったようだ。
天菜がさも当たり前かのように言う。

「ちょ、な、何を……。」

「だから、消すんだよ、あれを……。」
そういうと、天菜がそちらへ手の平を翳す。

爆発。
周囲が揺れるほどの激しい音。
平盆高校を灰色の煙が包み込む。

「あ、あぁ……そんな……。」
想像以上の光景に、絶望の表情になる利奈。

まだ一年未満。
しかし、それでも思い出のたくさん詰まった場所だ。
それが、赤子の手を捻るかのごとく崩れ去った。
全てが無に帰した。
そう思ってしまった。


「……我が主……。」

「うん、分かってる。……バレてたみたい。」

「……え?」
二人がそんなやりとりをしていた。
彼女らの表情は、どこか悔しそうだ。


平盆高校。
本来なら、木っ端微塵になっているはずの校舎。
しかし、傷一つない。
そんなあり得ない状況は、彼女らによって作り出されていた。

「……まさかここまで派手なことをやってくれるとはね……。」

「……それで、姉様……どうします?迎え撃ちますか?」

蜜柑とあずさ。
彼女らがいた。

恐らく近いうちに天菜達が何らかのアクションを仕掛けてくる頃だろう。
そう思い、校内にいたのだ。

「いや、止めておこう。……私のお人形さんが一緒にいる。万が一にも怪我はさせたくない。」

「……分かりました。」
蜜柑の言葉にやや機嫌を悪くするあずさ。

利奈がいる。
そして、彼女を怪我させたくない。
そんなことで、迎撃のチャンスを不意にしてしまった。
それが悔しくて、同時に蜜柑にそれほど大切にされている彼女に嫉妬してしまったのだ。

「もう、そんな顔しないの。……あずさ、あんたには感謝してるんだから。」
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