蟻喜多利奈のありきたりな日常2

あさまる

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御亭御蔵高校による侵攻開始

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「……あ、あれ?」
ゆっくりと目を覚ました利奈。

何時間意識を失っていたのだろうか?
今まで何をしていただろう?
ぼんやりと、未だに重たい瞼を擦りながら思いだそうとする。


確かに巡っていく記憶。
その中で、いつもとは違うことがあったはずだ。

放課後、いつもは登校時のように路歩子とともに教室から一緒に下校している。
しかし、今日は彼女が待っていてほしいと言っていた。

「……あー。」
利奈の口から普段よりも低い声が出る。
さらに思出したことがある。

そうだ。
彼女は美佳絵と話があると言っていた。
それだけなら隣で待っていたはずだ。
しかし、どうやら込み入った内容であったようで、校門で待つこととなった。

そこまでは思い出せる。
しかし、その後が思い出せない。
どうやらその時に何かがあったようだ。


「……え?あれ?」

グラグラ……。
揺れている。
地震か?
違う。
その割には揺れ方がおかしい。

まるで、どこかへ移動しているようだ。
電車か?
それとも車か?

人的技術。
その可能性が大半を占める。
そのような結論の為、利奈は比較的冷静になれた。

その結果、どうなったか。
周囲を見渡せる余裕が生まれて来たのだった。

車内だ。
それが確定した。
どうやら後部座席を倒したワンボックスカーに寝かされていたようだ。

「おはよう、利奈ちゃん……いや、こういう時はおそよう……かな?」
下らない冗談を言ってみせる。

「……天菜お姉ちゃん……?」

「私もいますよ。」

「あっ……か、花府井先輩……どうもです。」

「はい、どうも数日振りですね、利奈さん。」

車内にいたのは天菜と梨居菜であった。
利奈には、現状がまるで分からない。
しかし、彼女の見知った顔がある為か、それほどは緊張や不安はなかった。

「えっと……ここは?と言うか、どこに向かってるの?」

「ここは車の中だよ……って、まぁ、見れば分かるか。向かってるところは私達の村だよ。」

私達の村。
つまり、御亭御蔵村ということだ。

「……え、え?」
予想外の目的地に困惑を口にする利奈。

なぜ?
理由が分からない。


「な、なんで……なんで!?」
利奈が再度口を開く。

「……もし……。」

「……?」

「もしも、今回、利奈ちゃんを連れ去ろうとしたのが、悪意ある者が連れ去ろうとしてたら……どうする?」
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