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宣戦布告
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夏休み最終日の朝。
むしろ、四捨五入すれば昼。
今は、そんな時間だ。
「う、うぅん……。」
もぞもぞ……。
宅の自室。
そして、そのベッドで寝ている利奈。
寝苦しい。
そのせいで、苦しそうに息が漏れる。
左右からの圧。
それが、彼女を苦しめていたのだ。
およそ十数日。
たかがそれだけ。
されどそれほど。
利奈にとってのたかがは、彼女らにとっては貧酸素で苦しむ魚が悶え、焦がれるほどの日数であった。
「……あー……。」
寝ぼけ眼。
しかし、そんな状況でも、自身の置かれた状況を察することの出来た利奈。
目を開く。
分かっている。
動けない。
両再度からのがっちりとした拘束。
空腹感。
しかし、我慢出来ないほどではない。
それでも喉の渇きは我慢出来ない。
「……ロボっち、ルナルーちゃん……おはよう。」
「……おはよう、利奈。」
「おはようございます、先輩。」
さも当たり前かのように挨拶を返す二人。
それは冷徹で抑揚のないものであった。
不満。
不法侵入している彼女らが、利奈に対してそのような感情を抱くこと自体がおこがましい。
しかし、確かにそれを彼女へ向けていた。
「うーんと……二人とも離してほしいな……。」
「……そんなこと、不可能。」
「先輩成分を接種しないとこの星を滅ぼしちゃいますけど、それでも良いですか?」
当然の如く却下。
しかし、はいそうですか利奈もと引き下がる訳にはいかない。
このままでは干からびてしまう。
「……言うこと聞いてくれればなー……。」
ボソリ。
呟くように小さく言う利奈。
それほどの大きさでも、すぐ両サイドにいる二人にはきちんと聞こえた。
敢えて含みを持った言動。
期待はさせているが、確約ではない。
しっかり逃げ道を用意していた。
シュババ……!
光の速さで利奈から離れる二人。
何とも浅ましい。
「り、利奈!離れた!私離れたよ!ご褒美!ご褒美頂戴!」
「っ!?ズルい!こんなポンコツロボットより私の方が速かったです!先輩、私にご褒美下さい!」
「ポ、ポン……!?この……他の星から来た分際で……っ!」
ぎゃーぎゃーと言い争う。
流石に看過出来ない。
「こらっ!二人とも止めなさい!」
さながら姉妹喧嘩を止める母のような怒鳴り声。
それを聞くと、彼女らはぴたりと争うを止めた。
しかし、代わりにその矢印が、利奈へと向いた。
むしろ、四捨五入すれば昼。
今は、そんな時間だ。
「う、うぅん……。」
もぞもぞ……。
宅の自室。
そして、そのベッドで寝ている利奈。
寝苦しい。
そのせいで、苦しそうに息が漏れる。
左右からの圧。
それが、彼女を苦しめていたのだ。
およそ十数日。
たかがそれだけ。
されどそれほど。
利奈にとってのたかがは、彼女らにとっては貧酸素で苦しむ魚が悶え、焦がれるほどの日数であった。
「……あー……。」
寝ぼけ眼。
しかし、そんな状況でも、自身の置かれた状況を察することの出来た利奈。
目を開く。
分かっている。
動けない。
両再度からのがっちりとした拘束。
空腹感。
しかし、我慢出来ないほどではない。
それでも喉の渇きは我慢出来ない。
「……ロボっち、ルナルーちゃん……おはよう。」
「……おはよう、利奈。」
「おはようございます、先輩。」
さも当たり前かのように挨拶を返す二人。
それは冷徹で抑揚のないものであった。
不満。
不法侵入している彼女らが、利奈に対してそのような感情を抱くこと自体がおこがましい。
しかし、確かにそれを彼女へ向けていた。
「うーんと……二人とも離してほしいな……。」
「……そんなこと、不可能。」
「先輩成分を接種しないとこの星を滅ぼしちゃいますけど、それでも良いですか?」
当然の如く却下。
しかし、はいそうですか利奈もと引き下がる訳にはいかない。
このままでは干からびてしまう。
「……言うこと聞いてくれればなー……。」
ボソリ。
呟くように小さく言う利奈。
それほどの大きさでも、すぐ両サイドにいる二人にはきちんと聞こえた。
敢えて含みを持った言動。
期待はさせているが、確約ではない。
しっかり逃げ道を用意していた。
シュババ……!
光の速さで利奈から離れる二人。
何とも浅ましい。
「り、利奈!離れた!私離れたよ!ご褒美!ご褒美頂戴!」
「っ!?ズルい!こんなポンコツロボットより私の方が速かったです!先輩、私にご褒美下さい!」
「ポ、ポン……!?この……他の星から来た分際で……っ!」
ぎゃーぎゃーと言い争う。
流石に看過出来ない。
「こらっ!二人とも止めなさい!」
さながら姉妹喧嘩を止める母のような怒鳴り声。
それを聞くと、彼女らはぴたりと争うを止めた。
しかし、代わりにその矢印が、利奈へと向いた。
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