8 / 31
蟻喜多利奈と親戚との関係
3
しおりを挟む
皆が彼女を見る。
そして、口々に呼ぶ。
まるでアイドルにでもなった気分だ。
「うん、皆ありがとうねー!」
ファンサービスかのように、笑顔を振り撒く利奈。
彼女自身、皆が迎え入れてくれており、悪い気はしなかった。
「都会はどうだい?ちゃんとご飯食べてるかい?」
老婆心からの言葉。
しかし、それでも利奈には嬉しいものであった。
「うん!もちろんだよ!しっかり食べてる!ほら、この通り!……おりゃっ!我ながら凄い筋肉っ!」
袖を捲り、腕を曲げて、そのひ弱な腕の筋肉を見せつける利奈。
説得力ないことこの上ない。
「……そ、そうかいそうかい。」
苦笑い。
利奈のその自信満々な顔を否定することが出来なかったのだ。
「そうだよー!だから、夏休みの間の力仕事は任せてね!」
察することの出来ない利奈が、ポンと胸を叩きニコニコと笑みを浮かべる。
その場にいた者達は思った。
こんな華奢な子に力仕事を頼むくらいなら、自分達でやった方が良い。
倒れてしまっては可哀想だ。
彼女は皆で守らなくてはならない。
「そ、それで、高校生活はどうだい?」
話題転換。
利奈へ質問がされる。
「え?そうだね、友達もたくさんいて楽しいよ。」
それから、利奈の話を皆で聞く時間となった。
その時は、彼女も笑顔で話していたし、彼らもニコニコと聞いていた。
あのような企みが裏で動いているなど、今の彼女には分かるわけもなかった。
彼女の話が尽きた頃には、夜になっていた。
平盆市では見ることの出来ない綺麗な月が昇っている。
「利奈ちゃん?そろそろ……。」
「あっ、うん、天菜お姉ちゃん教えてくれてありがとう!」
街灯が少なく、この時間であれば、当然外は真っ暗だ。
それなのに、利奈は天菜とともに外出しようとしている。
「利奈?どこかへ行くのかい?」
親戚の一人が彼女の行動に気づき、質問する。
「うん!天菜お姉ちゃんと森に行って来るね。」
「あー……そうかい、そういえば、そうだったね。気をつけて行ってきなさいね。」
「うん、大丈夫だよ!天菜お姉ちゃんも一緒だし!」
「任せて!生命に代えてでも利奈ちゃんを守るから!」
フンス!
鼻息荒く、宣言して胸を叩く天菜。
「あはは、こいつは頼もしい!村神の天菜ちゃんが宣言したなら利奈ちゃんも安全だな!」
がはは。
円を囲み、酒を呑んでいた者の一人が大声で言う。
そして、口々に呼ぶ。
まるでアイドルにでもなった気分だ。
「うん、皆ありがとうねー!」
ファンサービスかのように、笑顔を振り撒く利奈。
彼女自身、皆が迎え入れてくれており、悪い気はしなかった。
「都会はどうだい?ちゃんとご飯食べてるかい?」
老婆心からの言葉。
しかし、それでも利奈には嬉しいものであった。
「うん!もちろんだよ!しっかり食べてる!ほら、この通り!……おりゃっ!我ながら凄い筋肉っ!」
袖を捲り、腕を曲げて、そのひ弱な腕の筋肉を見せつける利奈。
説得力ないことこの上ない。
「……そ、そうかいそうかい。」
苦笑い。
利奈のその自信満々な顔を否定することが出来なかったのだ。
「そうだよー!だから、夏休みの間の力仕事は任せてね!」
察することの出来ない利奈が、ポンと胸を叩きニコニコと笑みを浮かべる。
その場にいた者達は思った。
こんな華奢な子に力仕事を頼むくらいなら、自分達でやった方が良い。
倒れてしまっては可哀想だ。
彼女は皆で守らなくてはならない。
「そ、それで、高校生活はどうだい?」
話題転換。
利奈へ質問がされる。
「え?そうだね、友達もたくさんいて楽しいよ。」
それから、利奈の話を皆で聞く時間となった。
その時は、彼女も笑顔で話していたし、彼らもニコニコと聞いていた。
あのような企みが裏で動いているなど、今の彼女には分かるわけもなかった。
彼女の話が尽きた頃には、夜になっていた。
平盆市では見ることの出来ない綺麗な月が昇っている。
「利奈ちゃん?そろそろ……。」
「あっ、うん、天菜お姉ちゃん教えてくれてありがとう!」
街灯が少なく、この時間であれば、当然外は真っ暗だ。
それなのに、利奈は天菜とともに外出しようとしている。
「利奈?どこかへ行くのかい?」
親戚の一人が彼女の行動に気づき、質問する。
「うん!天菜お姉ちゃんと森に行って来るね。」
「あー……そうかい、そういえば、そうだったね。気をつけて行ってきなさいね。」
「うん、大丈夫だよ!天菜お姉ちゃんも一緒だし!」
「任せて!生命に代えてでも利奈ちゃんを守るから!」
フンス!
鼻息荒く、宣言して胸を叩く天菜。
「あはは、こいつは頼もしい!村神の天菜ちゃんが宣言したなら利奈ちゃんも安全だな!」
がはは。
円を囲み、酒を呑んでいた者の一人が大声で言う。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
闇鍋【一話完結短編集】
だんぞう
ライト文芸
奇譚、SF、ファンタジー、軽めの怪談などの風味を集めた短編集です。
ジャンルを横断しているように見えるのは、「日常にある悲喜こもごもに非日常が少し混ざる」という意味では自分の中では同じカテゴリであるからです。アルファポリスさんに「ライト文芸」というジャンルがあり、本当に嬉しいです。
念のためタイトルの前に風味ジャンルを添えますので、どうぞご自由につまみ食いしてください。
読んでくださった方の良い気分転換になれれば幸いです。



蟻喜多利奈のありきたりな日常
あさまる
ライト文芸
※予約投稿にて最終話まで投稿済です。
※この作品には女性同士の恋愛描写(GL、百合描写)が含まれます。
苦手な方はご遠慮下さい。
この物語は、自称平凡な女子高生蟻喜多利奈の日常の風景を切り取ったものです。
※この話はフィクションであり、実在する団体や人物等とは一切関係ありません。
誤字脱字等ありましたら、お手数かと存じますが、近況ボードの『誤字脱字等について』のページに記載して頂けると幸いです。


ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる