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自身の命よりも大切な存在であるかすみ。
そんな彼女の身体を、万が一にも壊さないようにしなければならない。
その為、慎重過ぎるくらいが調度良いだろう。

ゆっくりと力を込めるエル。
そして、その弱い刺激でかすみの肩甲骨付近を上下に擦る。

「あっ、あぁー……そこっ、そこ良いっ……。」
妙に色気のある声を出すかすみ。

「……。」
ごくり。
生唾を飲むエル。

「あっ……んっ……。気持ち良い……。」

「……。」
駄目だ。
耐えろ。
理性と欲望がせめぎ合う。

エルの心の中。
そこには、理性のコップがある。
決して小さいわけではない。
その中に、彼女の欲望が注がれていく。
そうなれば、徐々に空きがなくなっていくのは当然だ。

それでも、依然として注がれ続ける。
それは自身ではどうしようもならない、抗えないものだ。

「ふふふ、エルちゃんテクニシャンだね。気持ち良いよ……。」
首だけ振り返り、エルを見る。

血行が良くなったせいだろうか。
彼女の頬はほのかに染まっている。
そしてそのせいだろうか、いつもよりも大人びた魅力がある。
それに、振り返る際に、エルの鼻へ彼女の髪の香りが届き刺激した。

もう駄目だ。
限界だ。

水面張力で何とか耐えていた理性のコップ。
それは、どぼどぼと勢い良く溢れ出してしまった。


「かすみさん!」

「えっ?うわっ!?」

かすみを押し倒してしまうエル。
うつぶせに倒れ込んだかすみ。
彼女は、エルに押し倒されたということ以外、何が何だか分からないでいた。

「す、すみません……。」
肩で息をし、エルが謝る。
かすみに覆い被さるように床に両手をついている。
今まさに、自身の手の中にかすみがいるという状況に、興奮を隠せない。

「だ、大丈夫だよ。びっくりしちゃったけど怪我とはは多分してないだろうし……。」
あはは。
苦笑いするかすみ。

きっと、この状況に対しての謝罪だろう。
そう思ったかすみ。
しかし、違った。

「……。」
そういう意味ではない。
それは、これから起こすことに対するものだ。

好感度など知らない。
今後、気まずくなるかどうかなど、知ったことではない。

ぐいっ!
エルがうつぶせのかすみの肩を掴み、乱暴に仰向けにする。

「うわっ!?」

そのまま彼女の顔に、自身の顔を近づける。
正確に言えば、唇と唇を近づけようとした。
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