あなたにかざすてのひらを

あさまる

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15ー4

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「ふ、二人とも落ち着いて……。ね?ゆかりちゃん恐がってるから……。落ち着いて話し合おうよ……?」
オロオロ……。
事態を上手く飲み込めない。
しかし、ゆかりに助けを求められ、なんとか彼女を助けようとするかすみ。

「ぐっ、ぐぬぬ……。」

「かすみ……なんでそんな奴を庇って……。」

「と、とにかくほら、宿題やろう?早いうちに終わらせて遊ぼうよ、ね?」
かすみのその言葉に賛同する三人であった。

一つの机を三人が囲み、宿題に取り組む。
残った美咲は手持無沙汰となってしまっている為、かすみのベッドに横になり、天井を見ていた。
そんな彼女は、心なしか深い呼吸をしていた。

「私、今日いる意味ある?」
不意に発せられた美咲の声。

「そうですね、ありません。ですのでお引き取り頂けますか?」

「……帰って良いよ。」

「ご、ごめんね、暇だよね……。」

何とも辛辣なエルとゆかり。
一方かすみは彼女を気にしているようだ。

「元はと言えば、私達が今日宿題をする為に集まろうとしてたところに強引に入り込んだのはあなたでしょう?」

「……ふてぶてしい。」

「ぐっ、こんな奴ら普段ならすぐに潰せるのに……かすみの枕の魔力が……。」
美咲はわざとらしくかすみの枕を自身の胸元に持っていくと、そのまま抱き締めた。

「なっ!?それはいくらなんでもずる過ぎます!」

「……抗議する……!それは許されない行為……!断罪されるべき……!」

「ほれほれ、とっとと夏休みの課題やりなよー。」
形勢逆転。
優位になり、調子に乗る美咲。
にやにやとにやけながら、二人を煽っている。

「くっ、終わったら覚えておきなさいよ……!」

「……腹立たしい。私、こいつ嫌い……!」

ぶつぶつ……。
文句を言いつつも、二人は言われた通り課題をするのであった。


一時間ほど経過した。
そろそろ集中力も切れ、他事をしてしまう時間帯だ。

「……もう駄目。休憩しよう……。」
最初に音を上げたのはゆかりであった。

「そうですね、私も同意見です。」

「ならお菓子でも持ってくるね。」
立ち上がるかすみ。
どうやら三人とも休憩で良いようだ。

「なら私も行くよ。」
彼女の動作に反応し、着いていこうとする美咲。

「なっ!?」

「……え?」

どうするべきか。
突如選択を迫られるエルとゆかり。
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