あなたにかざすてのひらを

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疎外感。
そう言い切ってしまうほど大それたものではない。
しかし、かすみはそんなものを抱いてしまっていた。


「こうなってしまっては埒が開きません。」

「……でもどうするの？」

「良いよ、表出なよ？二対一でも良いよ？」
好戦的な美咲。
その目がギラリと金に光る。

「良いでしょう。幼馴染という立場にあぐらをかいてるあなたに吠え面かかせてあげます。」

「……やってやる……！」

二人の目も、それぞれ光り出した。
バチバチ……。
三人の間に火花が飛び散るような睨み合いが起きた。

「表に出るって……外……雲一つない青空で、多分暑いよ？」
空気の読めないかすみの一言。
しかし、存外これが良かったのかもしれない。

「争い事は良くないですね。」

「……その通り。平和的に解決しよう。」

三人の間に渦巻いていたものが鎮火。
喧嘩する雰囲気ではなくなった。

「へ？え？ど、どういうこと？」
手の平返し。
エルとゆかりの態度の急変に戸惑う美咲。

「多分この炎天下の中外に出たくないだけなんじゃないかな？」
美咲の疑問にかすみが答える。

それはあくまで予想でしかない。
しかし、それは核心を突いていた。

この空の下、日陰のないような場所を歩きたくなどない。
いくらかすみに会う為とはいえ、ここまで来ただけでも誉めてもらいたい二人であった。

「はぁ……情けない……。」
ため息混じりに美咲が言う。

「……仕方がない。人には向き不向きがある。そうだよね、かすみちゃん？」
ススス……。
かすみに賛同を得ようとするゆかり。
なんともスムーズに彼女の横を陣取った。

「え？まぁ、そうだね？……どうして近づいたの？」

「……私に向いてることがかすみちゃんに近寄ることだから。」
そう言うと、二人の距離はゼロ距離になり、ゆかりはかすみの腕に絡みつくように自身の腕を組ませた。

「なっ！？あなた一人だけ抜け駆けをっ！？」

「おい、チビ！調子に乗り過ぎだぞ！」

エルと美咲。
二人がゆかりへ声を張り上げる。
互いに向いていた怒りの矢印が、ゆかり一人へ向かったのだ。
それが彼女の作戦であったなど、二人には分からなかった。

「……きゃー恐い。二人が怒ってるー。……助けて、かすみちゃん。」
棒読み。
露骨なものだ。
そして、さらにかすみに密着するゆかりであった。