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そんな複雑な事情があったのか。
記憶がないせいだろうか。
かすみは、どこか他人事のように聞いてしまっていた。
「今回も、多分彼女のお陰でかすみさんとこうして話せるようになったんでしょうね……。」
「……またも悔しいけど、きっとその通り……。」
その言葉の通り、ゆかりが悔しそうにしかめっ面をする。
「あはは、ならお礼、言わなきゃだね。私もお礼するから、皆で言おう?」
二人に笑顔でそう提案するかすみ。
良かった。
これなら上手くいきそうだ。
自分の気持ち。
そして、ゆかりやエルの気持ち。
それらの関係で、きっと今まで通りとはいかないだろう。
しかし、徐々にまた、隣を歩ける日が来るだろう。
そんな期待をするかすみ。
「そう?なら、そのお礼、今言ってもらおうかな?」
ふわり。
時間がゆっくり流れているような感覚。
三人の前に、美咲が現れた。
いつ?
どこから聞いていた?
全く分からない。
まるで、最初からいたかのように、自然に現れたのだった。
「み、みさちゃん!?」
「えぇ、あなたの美咲よ、私の可愛いかすみ。」
かすみへ微笑む美咲。
「あなたの美咲?」
「……わたしのかすみ?」
エルとゆかり。
彼女らが、美咲の言葉を抜粋し、復唱する。
その声は、かすみにとって低く恐いものであった。
「どうも、あなた達の恩人の白原美咲よ?それ以上の詳細はいらないわよね?」
「そうですね、画面を通したあなたは……城原美咲は美しく、お芝居も上手です。……まぁ、それも近くで見る白原美咲は何てことのないものですが……。」
「……小娘の言う通り。芝居が上手なようだね。皆、あんたの腹黒さに気づいていない。」
「もう!さっきまでの素直さはどこに行ったの、二人とも!」
エルとゆかり。
突然毒舌になった彼女らに、かすみが反発する。
「ふふふ、やっぱり私のかすみは素直で可愛いわね。他のなりそこないおは大違い。」
「みさちゃんも挑発しないの!……なりそこない?」
美咲を宥めようとしたところで、気になるものが聞こえた。
それはどういう意味なのだろう?
「こいつらは、なりそこないなの。私こそ、始まりの吸血鬼、穢れのない純度百パーセントの存在なの。」
「……。」
「……。」
ギロリ。
彼女を睨む二人。
しかし、反論は出来ないようで、言葉を発することはなかった。
記憶がないせいだろうか。
かすみは、どこか他人事のように聞いてしまっていた。
「今回も、多分彼女のお陰でかすみさんとこうして話せるようになったんでしょうね……。」
「……またも悔しいけど、きっとその通り……。」
その言葉の通り、ゆかりが悔しそうにしかめっ面をする。
「あはは、ならお礼、言わなきゃだね。私もお礼するから、皆で言おう?」
二人に笑顔でそう提案するかすみ。
良かった。
これなら上手くいきそうだ。
自分の気持ち。
そして、ゆかりやエルの気持ち。
それらの関係で、きっと今まで通りとはいかないだろう。
しかし、徐々にまた、隣を歩ける日が来るだろう。
そんな期待をするかすみ。
「そう?なら、そのお礼、今言ってもらおうかな?」
ふわり。
時間がゆっくり流れているような感覚。
三人の前に、美咲が現れた。
いつ?
どこから聞いていた?
全く分からない。
まるで、最初からいたかのように、自然に現れたのだった。
「み、みさちゃん!?」
「えぇ、あなたの美咲よ、私の可愛いかすみ。」
かすみへ微笑む美咲。
「あなたの美咲?」
「……わたしのかすみ?」
エルとゆかり。
彼女らが、美咲の言葉を抜粋し、復唱する。
その声は、かすみにとって低く恐いものであった。
「どうも、あなた達の恩人の白原美咲よ?それ以上の詳細はいらないわよね?」
「そうですね、画面を通したあなたは……城原美咲は美しく、お芝居も上手です。……まぁ、それも近くで見る白原美咲は何てことのないものですが……。」
「……小娘の言う通り。芝居が上手なようだね。皆、あんたの腹黒さに気づいていない。」
「もう!さっきまでの素直さはどこに行ったの、二人とも!」
エルとゆかり。
突然毒舌になった彼女らに、かすみが反発する。
「ふふふ、やっぱり私のかすみは素直で可愛いわね。他のなりそこないおは大違い。」
「みさちゃんも挑発しないの!……なりそこない?」
美咲を宥めようとしたところで、気になるものが聞こえた。
それはどういう意味なのだろう?
「こいつらは、なりそこないなの。私こそ、始まりの吸血鬼、穢れのない純度百パーセントの存在なの。」
「……。」
「……。」
ギロリ。
彼女を睨む二人。
しかし、反論は出来ないようで、言葉を発することはなかった。
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