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「まず、エルちゃんとゆかりちゃん、それとみさちゃんは、じゃなかった……えっと、女優の城原美咲さんはその……きゅ、吸血鬼?……なんだよね?」
「え、えぇ。そうです。その通り、間違いありません。」
エルがかすみの言葉を肯定する。
「それで、記憶を操作出来るんだよね?……それで、二人はその……私の記憶を……。」
自身で言っていても、未だにその現実を言葉にすることを躊躇ってしまう。
それほど、非現実的なことなのだ。
「……うん、操作した。改竄した。それで、本当は幼馴染じゃないのに、私達はかすみちゃんと幼馴染だと思い込むようにした。本当は、あの女優がかすみちゃんの幼馴染。」
言い淀んでいるかすみ。
そんな彼女の言葉を、ゆかりが代わりに言う。
それらは、かすみが前にも聞いたことのあった内容だ。
その為、今回はある程度は冷静に聞くことが出来た。
しかし、そうなると、新たに疑問が浮かんでくる。
「な、なんで私だったの?」
「え?」
「……なんでって?どういうこと?」
かすみの質問を聞き返すエル。
そして、彼女に質問で返すゆかり。
「いや、他にもいっぱい私よりも良い人いるはずなのに、なんで私なんだろうって思って……何か理由があるのかな?」
「……そんなの決まってるよ、かすみちゃん以外、私達は興味ないから。」
「それではかすみさんが理解出来ないですよ。」
エルがゆかりへ言う。
「私にしか興味がない……?」
余計に意味が分からなくなる。
卑屈な言い方になってしまうが、かすみはそれほど自分に価値があるとは思えないのだ。
自分よりも賢い者。
自分よりも身体能力の高い者。
自分よりも美しい者。
それら全て、腐るほどいる。
そんな彼らを押し退けて、自分が選ばれた理由が分からなかったのだ。
何か含みがあるわけではない。
それは、純粋な疑問であった。
「ちなみに、かすみさんは、紅花の家と、私達の関係はご存知ですか?」
何のことだ?
分からない。
かすみには、何も心当たりがない。
つまり、知らないということなのだろう。
「いや、ごめん。分かんない。」
ここは素直に言おう。
かすみがそう言う。
「そうですか。では、順を追って説明しますね。」
エルが言う。
紅花の家。
つまり、かすみの家系は、代々吸血鬼とともに繁栄して来た。
血を捧げることで、富と名声を手に入れて来た。
「え、えぇ。そうです。その通り、間違いありません。」
エルがかすみの言葉を肯定する。
「それで、記憶を操作出来るんだよね?……それで、二人はその……私の記憶を……。」
自身で言っていても、未だにその現実を言葉にすることを躊躇ってしまう。
それほど、非現実的なことなのだ。
「……うん、操作した。改竄した。それで、本当は幼馴染じゃないのに、私達はかすみちゃんと幼馴染だと思い込むようにした。本当は、あの女優がかすみちゃんの幼馴染。」
言い淀んでいるかすみ。
そんな彼女の言葉を、ゆかりが代わりに言う。
それらは、かすみが前にも聞いたことのあった内容だ。
その為、今回はある程度は冷静に聞くことが出来た。
しかし、そうなると、新たに疑問が浮かんでくる。
「な、なんで私だったの?」
「え?」
「……なんでって?どういうこと?」
かすみの質問を聞き返すエル。
そして、彼女に質問で返すゆかり。
「いや、他にもいっぱい私よりも良い人いるはずなのに、なんで私なんだろうって思って……何か理由があるのかな?」
「……そんなの決まってるよ、かすみちゃん以外、私達は興味ないから。」
「それではかすみさんが理解出来ないですよ。」
エルがゆかりへ言う。
「私にしか興味がない……?」
余計に意味が分からなくなる。
卑屈な言い方になってしまうが、かすみはそれほど自分に価値があるとは思えないのだ。
自分よりも賢い者。
自分よりも身体能力の高い者。
自分よりも美しい者。
それら全て、腐るほどいる。
そんな彼らを押し退けて、自分が選ばれた理由が分からなかったのだ。
何か含みがあるわけではない。
それは、純粋な疑問であった。
「ちなみに、かすみさんは、紅花の家と、私達の関係はご存知ですか?」
何のことだ?
分からない。
かすみには、何も心当たりがない。
つまり、知らないということなのだろう。
「いや、ごめん。分かんない。」
ここは素直に言おう。
かすみがそう言う。
「そうですか。では、順を追って説明しますね。」
エルが言う。
紅花の家。
つまり、かすみの家系は、代々吸血鬼とともに繁栄して来た。
血を捧げることで、富と名声を手に入れて来た。
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