あなたにかざすてのひらを

12

12ー11

「すみません、カバンだけ持っててもらって良いですか？」

「うん。」
受け取る為、手を伸ばすかすみ。

彼女に自身のスクールバッグを渡すエル。
そして、日傘を差したまま、門の目の前に立った。

軽くしゃがみ込み、ジャンプする。
すると、彼女らよりも高いその門を軽々と越えてしまった。
彼女が人間ではないという証だろう。
そして、エルはそのまま敷地内の奥へと向かっていってしまった。

乱暴は止めてくれ。
怪我だけはしないでくれ。
そんなかすみの言葉を忘れているのだろうか。

門の前に立つしか出来ないかすみ。
彼女の耳に、何度も爆発音が届いた。


数分後。
バキバキと音を立てて門が開かれた。
そこにいたのはボロボロで傷だらけのエルだった。

「すみません、お待たせしました。ゆかりさんとの話し合い、少しばかり長くなってしまいましたね。」

「もう！怪我しないでって言ったじゃん！」

「あはは、すみません。では、行きましょうか。」

「馬鹿……。」
そう呟き、ゆかりの家へと向かうかすみであった。