上 下
88 / 151
12

12ー7

しおりを挟む
目にも止まらぬ早さで二人がその場を去る。
さらに言えば、自力で走っていたのはエルだけであった。
かすみは、そんな彼女に引っ張られていただけなのだ。
足がもつれそうになりながら走っていく。

間もなく校庭に出る。
そんなところで立ち止まってしまうエル。

「ど、どうしたの?」

「いえ、その……この先は……。」
日傘を準備するエル。

「あっ、そうだったね……。」
息切れをしているかすみ。
それを整える為にも調度良かった。

肩で息をするかすみ。
そんな彼女を見て、ごくりと唾を飲むエル。

「……。」
エルの視線が、唇からゆっくりと首元へと移動していく。
今の彼女の目には、そこから滲み出ている汗しか見えていなかった。

「な、舐める?なんて……。」
もちろん、冗談だ。
しかし、そんなものは彼女に通じなかった。

「い、良いんですか!?」
かすみが予想していた遥か上のリアクション。

今さら駄目だなど言えない。
拒否など出来ないだろう。

「う、うん。」
そっぽ向くかすみ。

夕日に照らされているせいか。
それとも、別の理由か。
もしくは、そのその全てが原因か。

エルから見える彼女の耳。
それは、真っ赤になっていた。

ごくり。
彼女を見て再度、唾を飲むエル。
「で、では遠慮なく……。」

その言葉の後、すぐであった。
かすみの首筋。
そこに生暖かい感触がした。
水分を含んだそれが、彼女の首を縦横無尽に這い回る。

「っ!?……うっ、うぅ……。あっ……。んっ……。」
じわりじわり。
時にゆっくりと、時に早く、かすみの首這うエルの舌。
それが、かすみの首の敏感な箇所を的確に刺激する。
声を我慢しようと口を手で覆うが、それでも声が漏れてしまう。

かすみの身体から力が抜け、ペタンとその場に座り込んでしまった。
座り込む彼女にお構い無しに、上から覆い被さるエル。


「こ、これくらいで大丈夫です……ありがとうございました。」
とても満足していない様子のエル。
彼女がそう言い、少し距離を取る。

「そ、そっか……そ、それなら良かった。」
先ほどよりも息が上がり、身体が熱を帯びているかすみ。
そして、目に涙が浮かび、トロンと蕩けている。

「そうですね……これで良かったんだと思います……。」

「?」
意味深なことを言っているエル。
そんな彼女に対して、首を傾げるかすみ。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

淫らに、咲き乱れる

あるまん
恋愛
軽蔑してた、筈なのに。

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

天を彩る

坂餅
恋愛
 ある日、高校二年生の尾鳥彩羽は同級生の、なぜかこの女子校で一学年に一人いる超絶美人の生徒である篠原天理が、自分の下の名前で呼び、見つけると嬉しそうに微笑むのか理由が分からなかった。  二人の関わるようになった、先月の文化祭を思い出すが理由は分からなかった。  理由が分からないのなら本人に直接聞けばいいではないかと、翌日彩羽は天理に直接聞いてみることにした。  天理になぜかと理由を聞くが、天理は顔を赤くして逃げてしまい聞くことできない。  それと同時に彩羽は、なぜ自分がそれ程までに天理にこだわるのか、自分の本心を自覚してしまう。  放課後、ようやく天理を捕まえることができた彩羽は理由を聞く。  そしてその理由を聞き、天理と自分の抱く感情が同じことを知る。  しかしその感情を知らない天理、その答えを見つけるまで彩羽は天理のそばにい続けることを約束するのだった。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

薄志と堅強

四国ユキ
恋愛
【完結まで毎日更新】出会いから付き合うまでの王道百合。タイトルは固いですが、イチャイチャする物語です。

タイツによる絶対領域

御厨カイト
恋愛
お昼前の授業も終わり昼休みになると、いつも私は彼女である澪と一緒に屋上でのんびり話をしながら過ごしていた。今日も私の膝の間に座り、嬉しそうに体を左右に揺らす澪とまったりと雑談をしていたのだが、その話の流れで澪の足を触る事に。しかし、そこで澪は足が弱いことが発覚し……

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

処理中です...