78 / 151
11
11ー3
しおりを挟む
「ご、ごめん、やっぱり駄目だよね……。あはは……。紅花先輩と、エル様と帰るんだよね。」
苦笑いする彼女のクラスメイトの女子生徒。
気まずそうに、そうするしか出来ないでいたのだ。
いつもならそうだ。
しかし、今日は違うのだ。
こんな些細なことすら非日常になってしまうものなのだな。
「……今日は……。」
駄目だ。
「うん?」
言うな。
「……今日はその……。」
甘えるな。
「ゆかりんこ?」
彼女らの善意を利用するな。
「……行ける……と、思う。」
「本当に!?」
誘いはした。
しかし、断られると思っていた。
駄目で元々であったのだ。
それを、良い意味で裏切られた。
目を輝かせる。
「……うん。」
「嬉しいよ!」
申し訳ない。
違うのだ。
ただ誰かの側にいたかった。
それだけなのだ。
誰でも良かった。
この気持ちを一時的にでも忘れられるのなら何でも良かったのだ。
「あっ……。」
廊下を歩いていたゆかり。
そんな彼女へ向けられたであろうものだ。
彼女にとって、有象無象なものであれば無視していた。
しかし、そういうわけにもいかない。
その声の主。
それはエルであった。
「……あなたも今帰りなの?」
「え、えぇ……そうです。そちらも?」
「……。」
コクン。
頷く。
「そうですか……。」
明らかに元気がない。
原因は分かりきっている。
しかし、それはゆかり自身もだ。
それでいて、解決法が思いつかないから困ってしまう。
「……一人で帰るの?」
「いえ、クラスメイトの方達と……。そういうゆかりさんは?」
「……私もそう。」
なるほど。
後ろで熱い視線を向けているのが彼女のクラスメイトか。
納得するゆかり。
帰り道。
両隣にクラスメイト達。
彼女らと会話をしながら帰宅しているゆかり。
本来ならば、楽しいのだろう。
しかし、今の彼女には、何も感じることは出来なかった。
「早く……。」
「……うん?」
「早く紅花先輩と仲直り出来たら良いね。」
「……そうだね……。」
本当に、そうだ。
いつもよりもさらに力なくぽつりと呟くゆかり。
こちらからはどうすることも出来ない。
もどかしい。
もしも、このままの関係が続いていったらどうしようか。
どうなってしまうのだろうか。
不安。
それが、ネガティブな思考のせいで、より大きなものになっていく。
苦笑いする彼女のクラスメイトの女子生徒。
気まずそうに、そうするしか出来ないでいたのだ。
いつもならそうだ。
しかし、今日は違うのだ。
こんな些細なことすら非日常になってしまうものなのだな。
「……今日は……。」
駄目だ。
「うん?」
言うな。
「……今日はその……。」
甘えるな。
「ゆかりんこ?」
彼女らの善意を利用するな。
「……行ける……と、思う。」
「本当に!?」
誘いはした。
しかし、断られると思っていた。
駄目で元々であったのだ。
それを、良い意味で裏切られた。
目を輝かせる。
「……うん。」
「嬉しいよ!」
申し訳ない。
違うのだ。
ただ誰かの側にいたかった。
それだけなのだ。
誰でも良かった。
この気持ちを一時的にでも忘れられるのなら何でも良かったのだ。
「あっ……。」
廊下を歩いていたゆかり。
そんな彼女へ向けられたであろうものだ。
彼女にとって、有象無象なものであれば無視していた。
しかし、そういうわけにもいかない。
その声の主。
それはエルであった。
「……あなたも今帰りなの?」
「え、えぇ……そうです。そちらも?」
「……。」
コクン。
頷く。
「そうですか……。」
明らかに元気がない。
原因は分かりきっている。
しかし、それはゆかり自身もだ。
それでいて、解決法が思いつかないから困ってしまう。
「……一人で帰るの?」
「いえ、クラスメイトの方達と……。そういうゆかりさんは?」
「……私もそう。」
なるほど。
後ろで熱い視線を向けているのが彼女のクラスメイトか。
納得するゆかり。
帰り道。
両隣にクラスメイト達。
彼女らと会話をしながら帰宅しているゆかり。
本来ならば、楽しいのだろう。
しかし、今の彼女には、何も感じることは出来なかった。
「早く……。」
「……うん?」
「早く紅花先輩と仲直り出来たら良いね。」
「……そうだね……。」
本当に、そうだ。
いつもよりもさらに力なくぽつりと呟くゆかり。
こちらからはどうすることも出来ない。
もどかしい。
もしも、このままの関係が続いていったらどうしようか。
どうなってしまうのだろうか。
不安。
それが、ネガティブな思考のせいで、より大きなものになっていく。
0
お気に入りに追加
14
あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。


魅了が解けた貴男から私へ
砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。
彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。
そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。
しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。
男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。
元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。
しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。
三話完結です。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。


断腸の思いで王家に差し出した孫娘が婚約破棄されて帰ってきた
兎屋亀吉
恋愛
ある日王家主催のパーティに行くといって出かけた孫娘のエリカが泣きながら帰ってきた。買ったばかりのドレスは真っ赤なワインで汚され、左頬は腫れていた。話を聞くと王子に婚約を破棄され、取り巻きたちに酷いことをされたという。許せん。戦じゃ。この命燃え尽きようとも、必ずや王家を滅ぼしてみせようぞ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる