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「……それ偽りなの……。」
「い、偽り……?偽物ってこと?え?言ってること分かんないよ!」
混乱する。
意味が分からない。
かすみの脳内、思考がぐちゃぐちゃになる。
心拍数が上がる。
呼吸が上手く出来ない。
景色が見えなくなっていく。
「か、かすみさん?」
「……落ち着いて?かすみちゃん、落ち着いて。」
手足が痺れはじめた。
二人の声が遠退いていく。
「早く、早く落ち着いて!」
エルの青い瞳がギラギラと輝く。
彼女が、かすみに向けて放つ言葉はどこか強制力のあるものであった。
「かすみ、しっかりして!ゆっくり呼吸……深呼吸して!」
ゆかりの瞳も赤く光っている。
彼女もまた、かすみへ声をかけている。
「なんで……なんで洗脳出来ないの!?かすみ!しっかりして!」
「落ち着け小娘!」
「いや、かすみ!かすみ!」
薄れ行く意識の中、遠くに聞こえた二人の声。
なぜだろう。
感情的になっている彼女らを見て、少なくとも同じ生き物だと思えて安心出来た。
横になり、目を閉じたかすみは、そのまま意識を手放した。
「はぁ……久しぶりに来てみれば……こりゃ酷い……。」
パニックになる二人の耳に届く声。
国民なら誰しもが知っているであろうそれ。
「え、え?」
「……城原美咲……?」
閉じていたはずの窓。
それが全開になっていて、バサバサとカーテンが揺れ動いている。
いつの間に入ってきたのか分からない。
しかし、彼女はそこにいた。
美咲だ。
過呼吸で気絶したかすみ。
徐々に呼吸が整っていく。
そんな彼女の鼻を摘まむ美咲。
「な、なにをしてるんですか!」
「……かすみに酷いことしないで!」
「うるさい。見てなさい。」
彼女らを見下している。
その感情が読み取れるような呆れた声。
鼻を塞がれたことで、口呼吸になるかすみ。
そんな彼女の様子を確認すると、美咲はそのまま彼女の口に自身の口を着けた。
ジュルジュル。
なにかを吸い取るような湿った音。
「やめ、やめろ!かすみの唾液は貴重なんだぞ!」
「なにしてんだ!やめろ!私もやったことないことするな!」
声を張り上げる二人。
彼女らの言葉を無視し、依然としてかすみとキスしている美咲。
頬が上気し、目がトロンと蕩けている。
二人の体感ではかなり長時間であった。
しかし、実際は数秒のことだ。
「い、偽り……?偽物ってこと?え?言ってること分かんないよ!」
混乱する。
意味が分からない。
かすみの脳内、思考がぐちゃぐちゃになる。
心拍数が上がる。
呼吸が上手く出来ない。
景色が見えなくなっていく。
「か、かすみさん?」
「……落ち着いて?かすみちゃん、落ち着いて。」
手足が痺れはじめた。
二人の声が遠退いていく。
「早く、早く落ち着いて!」
エルの青い瞳がギラギラと輝く。
彼女が、かすみに向けて放つ言葉はどこか強制力のあるものであった。
「かすみ、しっかりして!ゆっくり呼吸……深呼吸して!」
ゆかりの瞳も赤く光っている。
彼女もまた、かすみへ声をかけている。
「なんで……なんで洗脳出来ないの!?かすみ!しっかりして!」
「落ち着け小娘!」
「いや、かすみ!かすみ!」
薄れ行く意識の中、遠くに聞こえた二人の声。
なぜだろう。
感情的になっている彼女らを見て、少なくとも同じ生き物だと思えて安心出来た。
横になり、目を閉じたかすみは、そのまま意識を手放した。
「はぁ……久しぶりに来てみれば……こりゃ酷い……。」
パニックになる二人の耳に届く声。
国民なら誰しもが知っているであろうそれ。
「え、え?」
「……城原美咲……?」
閉じていたはずの窓。
それが全開になっていて、バサバサとカーテンが揺れ動いている。
いつの間に入ってきたのか分からない。
しかし、彼女はそこにいた。
美咲だ。
過呼吸で気絶したかすみ。
徐々に呼吸が整っていく。
そんな彼女の鼻を摘まむ美咲。
「な、なにをしてるんですか!」
「……かすみに酷いことしないで!」
「うるさい。見てなさい。」
彼女らを見下している。
その感情が読み取れるような呆れた声。
鼻を塞がれたことで、口呼吸になるかすみ。
そんな彼女の様子を確認すると、美咲はそのまま彼女の口に自身の口を着けた。
ジュルジュル。
なにかを吸い取るような湿った音。
「やめ、やめろ!かすみの唾液は貴重なんだぞ!」
「なにしてんだ!やめろ!私もやったことないことするな!」
声を張り上げる二人。
彼女らの言葉を無視し、依然としてかすみとキスしている美咲。
頬が上気し、目がトロンと蕩けている。
二人の体感ではかなり長時間であった。
しかし、実際は数秒のことだ。
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