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養護教諭。
そこにいる彼女を洗脳した。
しかし、その知識は元の人格に依存する。
適当なことを言っているわけではないはずだ。
「はい、寝不足です。」
再度言う。
「……本当に?」
「はい。」
「……神に誓って?」
「はい。」
「……もし、かすみちゃんに何かあったら一族郎党皆殺しするけど、大丈夫?」
「はい。」
「……そう。なら良い。ありがとう、もう戻って良いよ。」
安堵。
「え?……あ、あれ?」
キョロキョロ。
辺りを見渡す。
まるで今までの記憶がなく、現状を確認しているようだ。
「……先生大丈夫?」
「えっ!?い、磯飛さん!?あれっ?え?」
ゆかりに声をかけられたことで余計に混乱しているようだ。
「……先生ボーッとしてたみたいだから勝手にベッド使わせてもらっちゃった。」
「え?あっ、そうなの?」
「……うん。今かすみちゃん……紅花先輩が寝てるから静かにね?」
「え、えぇ。分かったわ。」
「……なら、私教室に戻るけど、紅花先輩のことお願いします。」
慣れない敬語を使い、頭を下げるゆかり。
それに了承すると、彼女は満足したようで、そのまま室内を出た。
ゆかりの居なくなった保健室。
そこには、かすみの寝息だけが聞こえていた。
「可愛かったな……。この子、ゆかりんこと仲良いのかな?……羨ましいなぁ。」
かすみを見て、誰に言うでもない本音をぽつりと呟いた。
「……さて。」
廊下を歩くゆかり。
かすみはもう大丈夫だろう。
次の目的地へ向かう。
他の者とは違う。
鼻をつく不快な血の臭い。
それを頼りに進んでいく。
すぐに見つかった。
人気のない空き教室。
そこに彼女はいた。
エルだ。
「……エル、かすみは保健室に運んだよ。」
「体調……体調はどうでしたか……?」
「……ただの寝不足だって。」
「そう……そうですか……。良かった……本当に良かった……。」
「……今はエルが心配なんだけど……。」
「私?私ですか?」
「……焦燥しきっているように見える。」
「ふふふ、かすみさんだけしか見えていないと思ってましたが、意外と周りのことよく見てるんですね。」
力なく笑うエル。
「……まぁ、あんたと私は一応、腐れ縁だからね。」
「そうですね……そうでしたね、すっかり忘れていました。私とあなたは……唯一の生き残り……でしたもんね。」
そこにいる彼女を洗脳した。
しかし、その知識は元の人格に依存する。
適当なことを言っているわけではないはずだ。
「はい、寝不足です。」
再度言う。
「……本当に?」
「はい。」
「……神に誓って?」
「はい。」
「……もし、かすみちゃんに何かあったら一族郎党皆殺しするけど、大丈夫?」
「はい。」
「……そう。なら良い。ありがとう、もう戻って良いよ。」
安堵。
「え?……あ、あれ?」
キョロキョロ。
辺りを見渡す。
まるで今までの記憶がなく、現状を確認しているようだ。
「……先生大丈夫?」
「えっ!?い、磯飛さん!?あれっ?え?」
ゆかりに声をかけられたことで余計に混乱しているようだ。
「……先生ボーッとしてたみたいだから勝手にベッド使わせてもらっちゃった。」
「え?あっ、そうなの?」
「……うん。今かすみちゃん……紅花先輩が寝てるから静かにね?」
「え、えぇ。分かったわ。」
「……なら、私教室に戻るけど、紅花先輩のことお願いします。」
慣れない敬語を使い、頭を下げるゆかり。
それに了承すると、彼女は満足したようで、そのまま室内を出た。
ゆかりの居なくなった保健室。
そこには、かすみの寝息だけが聞こえていた。
「可愛かったな……。この子、ゆかりんこと仲良いのかな?……羨ましいなぁ。」
かすみを見て、誰に言うでもない本音をぽつりと呟いた。
「……さて。」
廊下を歩くゆかり。
かすみはもう大丈夫だろう。
次の目的地へ向かう。
他の者とは違う。
鼻をつく不快な血の臭い。
それを頼りに進んでいく。
すぐに見つかった。
人気のない空き教室。
そこに彼女はいた。
エルだ。
「……エル、かすみは保健室に運んだよ。」
「体調……体調はどうでしたか……?」
「……ただの寝不足だって。」
「そう……そうですか……。良かった……本当に良かった……。」
「……今はエルが心配なんだけど……。」
「私?私ですか?」
「……焦燥しきっているように見える。」
「ふふふ、かすみさんだけしか見えていないと思ってましたが、意外と周りのことよく見てるんですね。」
力なく笑うエル。
「……まぁ、あんたと私は一応、腐れ縁だからね。」
「そうですね……そうでしたね、すっかり忘れていました。私とあなたは……唯一の生き残り……でしたもんね。」
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